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「セバスさん、まずは例の薬品について話を聞きたいんだが…」
「そうでしょうな、ではまずは…」
そういうとセバスさんは懐から2つの瓶を取り出す。
「これは…?」
「手に取って見て構いませんよ」
「じゃあ、遠慮なく」
早速二つとも鑑定にかける。
コマンドを選択。
集中、鑑定、…でそこの薬品を選択っと。
・活性化複合薬 レア度4
効果:HP回復(微)
服用後3時間活性効果Ⅰ
虚弱回復Ⅰ
弱った体を活性させる効果を複合させた水薬。
虚弱状態を治療または緩和しつつ、一定時間だが体に活力を漲らせる事が可能。
副作用は無いが、活性の効果は低い。
あくまで体が一時的に弱った際の治療に使おう。
・戦士のブーストポーション レア度4
効果:HP回復(中)
服用後30分肉体ブースト効果Ⅱ
ブースト反動軽減Ⅰ
前に出て武器を振り回す戦士が、切り札として良く持ち歩く薬品。
一時的に肉体を強化し、普段以上の力を引き出すことが出来る。
ただし効果が切れると身体虚弱状態を引き起こす為、注意が必要。
体の弱った者が、無理矢理にでも動くために服用する事もある。
「虚弱に限った話ではないですが、肉体の不調に対する薬は大まかに分けて二つに分けられますな」
「直接その不調を治すものと、不調を誤魔化すものか?」
「その通りで御座います、ファルマ殿」
この場合だと虚弱回復は前者、活性効果とブースト効果は後者だな。
効果時間にもよるが、大体時間が短いものは誤魔化す方法を取る奴も多いんじゃないか?
例えば毒の効果時間を継続回復の効果時間でやり過ごしたりとかさ…
まぁこの手の話は、RPGをちょっとやり込んだ奴なら一度は体験していると思う。
…と、話が逸れた。
「特に、不調を治すものは効果が高いほど高価なのもありますが何より希少でしてな…
大抵はこの様な効果の低い物を組み合わせた複合薬の使用か、一時的に誤魔化しの利く強化薬で快方まで代用するのが一般的ですな」
そう言ってセバスさんは懐に先ほどの薬をしまう。
成る程、大体話が分かってきたぞ…
「じゃあ、この薬じゃ効果が出ないほど状態が悪化した方がいる、といった所で合っているか?」
「…流石のご慧眼に脱帽いたしますな。」
ギラリ…
なんか、糸目の人の目が人並み程度に開く瞬間ってこんな擬音が聞こえてきそうな感じだよな。
今、目の前にいるセバスさんがまさにそうだ。
というか事あるごとにここの屋敷の人達はピリッとした空気を纏うんだよな…
謙遜の一言を入れる空気じゃねぇや、これ。
「私の依頼はずばり、通常よりも重篤化した虚弱症状…あなた方でいうところの虚弱Ⅲに対抗できる薬品です」
「ふむ…それなら」
ここからが本題という事で、先ほどのお返しとばかりにアイテムボックスから瓶を引っ張り出す。
察しは付くと思うが、試作ヘルブーストポーションだ。
アイテムボックスから取り出したコイツを、コトリとテーブルの上に置く。
もちろん、瓶は未開封のままだ。
「これは…?」
「一定時間ブースト効果のある薬品だ、さっきの奴より効果があるとは思うぞ」
「少々、確認させて頂いてもよろしいかな?」
「もちろんどうぞ」
それを聞くとすぐに品定めを始めたセバスさん。
ついでにこっちは、出されたお茶を頂きながら待つ事にする。
…ちょっとブルジョワっぽさを出しながら、程よい香りと適度な温さがいい口休めになっている的な雰囲気を出してみようか。
「なんか随分と慣れた雰囲気だな」
「そうか?」
ぶっちゃけ、このちょっとした時間でやる事が無くて暇なだけなんだがな。
まぁ、上手く雰囲気が出ているならいいか。
「あぁ…ちょっと臭いがきついから、開けるのは注意してくれ」
「…えぇ、分かりました」
一応セバスさんが流れで蓋を開けそうだったので、一言だけ注意したのだが…
蓋に届いていた手にそっと力を込めて、ギュッと蓋を閉じなおしたな。
流石に応接間にどの程度か分からない悪臭をまき散らすのは、嫌なんだろう。
言っておいて正解だった。
それから品定めが行われる事暫く…
「このポーションで、そちらの要求は満たせそうだろうか?」
そろそろ頃合いだろうと思ったので、話を再開する。
セバスさんから「えぇ」と肯定的な声色での返答と共に、悪臭放つ液を封じた瓶が再度テーブルの上に置かれた。
「確かに効果がある品で有難いですが、治療薬であれば更に歓迎ですぞ?」
「悪いがそっちは手掛かりもないんだ」
「ふむ…そうでしたか」
偶然の産物で単騎待ちしているだけだしなぁ。
それにこれを超えるような、良いアイデアが早々浮かんでくる訳もない。
というか、栽培する野菜のレパートリーを増やさない事にはアイデアも何も無い訳だが。
今度はニラとか生姜とかシソ辺りを育ててみるか…?
「では、今回の依頼はこちらのポーションを24本納品、という事でいかがでしょう?」
「期日は?いつまでに用意すればいい?」
「素材の調達もあるでしょうから、数日の間であれば構いませんよ」
「それなら問題ない、引き受けよう」
取りあえず、今回の依頼された量は2ダース分の納品になった。
素材に関しては栽培が可能だから、明日にでも何とかなるんじゃないだろうか?
それにしても…一本で5000ミルスとちょっとかぁ…
単価での価格としては、先日売りさばいた骨を抜いてトップに出たな。
やっぱ相場で考えるならぼろ儲けなんだろうか?
まぁそこら辺は、使ってないであろう悪臭ポーションと製薬分のチーユ草を譲ってもらうついでに、リコリスに聞いておこう。
「では、交渉成立という事で…」
にこやかな笑顔で差し出された手に対して、こちらもガシッと握手を返す。
ちょっと茶番じみているが、形式というのは大事なんだろう。
視界の端に、クエスト内容の更新が表示されているし。
「では商談の話はこれくらいにしましょうか、執事殿」
「えぇ、そうですな使者殿」
さて、ここまでの話も大事だが、ここからの話はもっと大事だ。
今度は使者として…アルベルトから頼まれた役目を果たすとしますか!
ここまで読んで頂きありがとうございます。
ブックマーク、評価等頂けましたら幸いです。
次話は令和になりそうです。




