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 しかし、これからどうしようか…?

 成り行きってのもあるけど、ぶっちゃけノリで人質とった感あるしな。

 未発見種族だったエルフを…

 ってか…もしかして…?



「この一連の流れはそういう事か…?」



 ポーション高騰と、それに伴う過剰採取の実態。

 その本当の目的は、森を荒らしてこうしてエルフを誘き出すため…?

 いや、正確には森の住人と言い換えた方がいいか?

 まぁ森を攻略する上で、森に住まう者の協力が欠かせないと踏んだんだろう。



「何を…一人で…?」


「あぁ、済まない」



 まぁもっとも、俺はこうして考え事をしている暇は無い…か?

 どうにかしてこの状況、切り抜けないと…

 まずはその為に頭をまわすべきだな。



「森を荒らした連中の目的はこれなのか…と思ってな」



 わざと大きな声で、周りに聞かせるような口調で話す。

 こいつは何を言っても頭に血が昇ってそうだから無駄だろう。

 けど、他の周りの奴なら少しは聞き入れてくれるんじゃないか?

 まぁ甘い予想だがな。



「何…?」


「あぁ最近この森だけでも無く、近くの町周辺でこんな事態になっている。

 俺はその調査をしている者だ!」



 昨日から始めた訳だが…そこはいいだろう。

 向こうは俺の事を知らないみたいだし。

 所詮ハッタリだよな。

 で、周りの連中は俺の言葉に驚いた様な、意外だと言わんばかりな態度を取る。



「さて、と言う訳で色々と聞きたいのだがいいだろうか?」


「この状況で…誰が貴様に…!」


「だけど放したら襲われるだろ?」



 別に俺だってこうしたくてやってる訳じゃない。

 こいつが襲ってくるのが悪いのだ。

 穏便に話が出来れば良かったんだがな。

 威嚇目的で弓なんて打つから…



「くっ…」


「と言う訳で話をしたいのだが、責任者は誰だ?」



 まぁ別に話せるなら責任者じゃなくてもいいんだけどさ。

 つーわけでこの女エルフは論外だったりするのだが…



「…私だ」


「はぁ…」



 こいつが責任者って言い始めたから厄介な訳だ。

 思わずため息が溢れる。

 話が出来る様な状態では無いし…



「それで、返答は?」


「誰が森を荒らしていた奴などと…!」


「だから俺は森を荒らそうとしてた訳じゃないって」


「嘘だ!お前ら、私に構うな!やれ!」



 どうにも俺は彼女の中では森荒らしらしい。

 まぁここまでくれば一種のイベントだって分かるけどさ。

 NPCの限界って奴?

 どうしても敵対しなきゃならないんだぁ~…的な?

 …どうしようか?



「お前ら!私の言うことが聞けないのか!」



 …とか思ったら妙である。

 何か色々と叫ばれてるが、誰ひとりとして襲い来る奴が居ない。

 俺はてっきりこのまま捕まる辺りかと思っていたのだが…

 これはこれで丁度いいか。



「他の奴でいい、このまま敵対するかこちらの要求を呑むか…選べ!」



 敵対してこの女エルフを傷つけると言う目に見えた結果を引き起こすか、穏便に話をするか…

 どう考えても後者に秤が傾くだろう。



「分かった、要求を呑もう」



 フード集団の一人がそう言ったのが聞こえた。

 それをきっかけに武器を構えていた連中は武器を収めて、全員フードを外す。

 俺、動くなって言ってた気がするんだが…?



「…分かった」



 まぁいいや。

 これはこれで向こうも交渉の意思を示したんだから。

 ここは一つ、NPCの限界って事で…

 で、一人の男が前に出てくる。

 こいつが交渉するって事でいいのか?



「だが、彼女を放してはくれないか?」


「俺もそうしたいが…」



 こいつら全員が敵対の意思が無いとしても、だ。

 ただ一人、彼女にはある。

 それをタダで解放するってのはどう考えても無理な要求だ。

 ってか出てきたこいつは…どうやらさっきの声の主か?



「確かに襲われる危険があっては出来ないだろう」


「そういう事だ」


「分かった」




 で…少し考えたような素振りを見せてから周りに目配せする。

 無駄に察しがいいな。

 ってか本当にNPCか?

 なんだか少し怪しくなってきたぞ…?


 で、その様子に気づいてか…取り抑えていてた女エルフが暴れだす。

 くそ!暴れんなよ!

 無傷で抑えてるのも結構大変なんだぞ!



「待て!アルベルト!…おい!聞いて…」


「我らの名誉と誇りに掛けて、この場で貴方に危害を加えない事を誓おう!」


「アルベルトォ!貴様ァ!」


「これでどうだろうか?」



 是も非もないだろうに、全く…

 まぁぶっちゃけ名誉だの誇りだの…鼻で笑って一蹴出来るものでもあるが…

 それは俺が現代社会の人間だからだろうな。



「あ、あぁ分かった!」



 俺としては特に異論は無い。

 ってかぶっちゃけ抑えているのも限界だ。

 こちとら低レベルだしな。

 それに見合ったSTR(パワー)じゃあどうにも無傷で抑えておくのは力不足なようだ。

 腕の一本、外したり折ったり出来れば別だけど…

 なので即座に解放してやる、というか半ば勝手に抜け出された。



「貴様!私の言うことが聞けないのか!?」


「誰か、姉さんを!」


「「「ハッ!」」」



 で、そのままこちらに目もくれずに男のエルフ…アルベルトって言ったか?

 そいつの胸ぐらに掴みかかったが…逆に周りの連中に取り押さえられてるな。

 と言うかこいつがリーダーでいいんじゃないの?

 なんでこの女エルフは自分が…なんて言ったのか。

 …建前って悲しいものだな。


(コマンド使用により、短剣のレベルが上昇しました!)


 で、ようやく戦闘終了の合図とも言えるインフォが流れた。

 戦闘状態では出ないからな、これ。

 ともかく、これでシステム的にも一段落ついたって扱いなんだろう。



「さて、お客人…」



 とか何とか考えていたら、だ。

 やる事を済ませたって感じでこちらに向き直られる。

 振り向きイケメンだな、うん。



「ファルマだ、アルベルトさん?でいいのか」


「えぇ、ではファルマさん…お話を」


「あぁ、そうだな」



 まぁもうこの際NPCかどうかなんてどうでもいいか。

 取り敢えず森の現状について聞くことになるだろう。

 自分から言い出した事だが…ちょっと面倒だな。

 敵対されないだけ良いんだけどさ。



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