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ゲーム内の夕日に照らされながら帰ってきた俺の背中には、さぞ哀愁が漂ってる事だろう。
マジで…何もなかったしな。
採取の結果は徒労というには相応しい結末だ。
まぁどうせ隠居生活だし良いんだがな。
それに魔物の素材は手に入ったんだ。
今日はそれで良しとしよう。
「さて、何か作るか!」
と、家に帰ってきてすぐに早速製作キットを展開させる。
使ってやれないなら売り払うのも手だが、今は売り払うのも厄介そうだし…
何より手に入った物を死蔵させるのは勿体無いしな。
ってか料理然り、製作然り…何事も手探りで色々とやってみるのが楽しいんだ。
だからそこら辺は、一切攻略サイトでも確認せずに進めている。
一応、どういったビルドにしようかくらいは攻略サイト様で確認したけどさ…
それもこんな形でかなり崩れているって言う…
「で、これで何を作るか…」
ウルドッグの骨十数本、毛皮や牙…そして爪が数個。
フォレストワスプの大翅が2枚と小翅が3枚に甲殻が1つに脚4つ、そして針が3本だ。
なんだかうだうだと考えながらも取り出したのは今日の成果、使える物と言い換えてもいい。
尚、肉はそういう事で使えないので出してさえいない。
「このハネ、綺麗だな…」
で、まず目が行ったのはフォレストワスプの翅だな。
こうして見てみるとなんだか茶色の半透明が、妙におしゃれに見えてくる。
現実であればそんな事を気にする間もなく逃がすか、原型を留めない殺処分コースだからかな?
余計に魅入ってしまうな。
それに翅に縦横無尽に刻まれた筋も、ステンドグラス的な感じに見えて…こないだろうか?
・森蜂の翅団扇 レア度3 作成評価5
カテゴリ:片手武器
威力:1(斬性能:100 突性能:0 打性能:100)
耐久30/30
特殊能力:一部の風魔法、火魔法の性能上昇
舞踊コマンド使用時、低確率で魅了Ⅰの追加効果
フォレストワスプの翅を加工して作られた団扇。
木製の柄に3枚の小翅が張り合わせられ、固定されている簡素なデザイン。
扇ぐと凉めそうだ。
これを持って踊れば、そこそこには映える事だろう。
当然だが戦闘用ではない。
(コマンド使用により、製作のレベルが上昇しました!)
という訳でちょっくら団扇にしてみた。
どういう訳で団扇になったのかは、不明だがな…
そこそこ見栄えのいい物に仕上がった自信がある。
で、何故か武器判定が出た。
だがそこにツッコミを入れる気は無い。
「あ~…涼しい」
早速使ってみたが、やはり団扇だ。
ここら辺の気候って寒すぎず暑すぎずって感じだが…
まぁあると便利だしな。
そしてなんというか、この労力を使って風を生み出すって工程よ。
差し引きがギリギリでプラスって感じが…堪らなく良い感じだ。
そして何より、祭りで持ち歩くと風情が出そうだ。
ファンタジーの世界で風情も何も無いがな。
ってか団扇より…扇子の方がいいだろうか?
持ち運び便利だし。
それにゲームの武器で扇ってマイナーではあるが、見かけるしな。
暇があったら作ってみるか。
ま、今はある材料で思いつくものを作っていくがな。
・狼犬バイト&クロウ レア度3 作成評価6
カテゴリ:ナックル
威力:18(斬性能:100 突性能:90 打性能:90)
耐久144/180
特殊能力:併用装備可
装備時、特定のコマンド成功率にペナルティ(小)
クリティカル発生率上昇(微)
出血の状態異常効果時間延長3秒
装備中防御力+4
野性味溢れる獣のナックル。
石のナックルダスターをベースにウルドッグの素材を組み合わせたカスタム品。
鋭い獣の爪と牙で攻撃力と性能がそれなりに増した。
獣の切れ味で獲物を引き裂く事が出来る。
・ワスプニードルダーツ レア度3 作成評価3
カテゴリ:投擲武器
威力:18(斬性能:0 突性能:100 打性能:0)
耐久:18/20
特殊能力:命中時、確率で毒Ⅱ付与
クリティカル発生時、追加で25or50ダメージ
森に住む蜂の針を加工して作ったダーツ。
石のダーツの先端に針を仕込んだカスタム品。
毒袋ごと仕込まれた針が時折、対象に毒を盛る。
耐久が低いので何度も使いまわす事は難しい。
なるべく三本一セットにして持ち歩こう。
・気味の悪い甲殻面 レア度3 作成評価9
カテゴリ:頭装備
基本防御性能:8
耐久:120/120
特殊能力:視界制限(中)
威圧効果増加(中)
偽装効果(小)
甲殻をベースに作ったお面。
簡素な作りだが。気持ちの悪さが前面に出ている良いデザインとなっている。
これを装備した相手と相対するのは勇気が要るだろう。
また顔を覆える大きさで、顔を隠したい時にも便利。
(コマンド使用により、製作のレベルが上昇しました!)
まぁこんなもんだろ。
殆どがグレードアップって言うか、既存装備の改良に落ち着いてしまったが…
そこは仕方ない、そもそも材料が足りないし…
数匹の魔物からとれる素材じゃあせいぜいこんな物が限界だ。
もっとまともな武器防具には沢山素材がいるだろう。
それなら近々隠居明けに買えばいいし…
で、時間を見れば夜も大分更けて来た。
製作にもそこそこ時間が掛かるからなぁ…
ちなみにゲーム内でも深夜まっしぐらだ。
プレイヤーなんて一人も見かけない。
…そもそも家の付近には人が寄り付かないんだがな!
で、何が言いたいかというと…そろそろ俺も眠くなってきた訳で…
「よし、今日はもう寝よう」
明日は折角の休みだ。
という事は朝から存分にゲームが出来る訳で…
今日で疲れて、明日楽しめないようではいけないからな!
という訳で早速ベッドに潜り込んでログアウトだ!




