表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/67

38

 


 やはり、現実はそう甘くは無いようだ。

 いや、甘くないどころでは無いか…

 途轍もなく厳しい様にも思える。

 三匹一組で出現したフォレストワスプを相手にしながら、つくづくそう感じた。



(コマンド使用により、呪術のレベルが上昇しました!)

(コマンド使用により、短剣のレベルが上昇しました!)



 戦闘が終わったのだが、そこには特に大した喜びも無い。

 ただ戦闘をこなしていて…とにかく異常を感じたと言うか…

 俺の鎧を見て思う事があったんだろうか?

 まぁ、そりゃあ同類の甲殻やら何やらが着るものになってるんだから…怒るだろうけど。

 それでも…何だか違和感が拭えない。

 何て言うか…死に物狂いだったと言うべきだし。


 少なくとも蜂にとっては生きる為の戦闘ではなかった様に思えた。

 仲間を気にかけずに、とにかく個々に特攻という特攻を仕掛けて排除しに掛かってきた。

 誰かが生き残ればいい、みたいな意識って言うの?

 そんな奴相手に更に環境も悪いので、どうにも被弾は避けられなかった。

 チクリチクリと刺されたり噛まれたり、HPは6割程度まで減ってしまったし。

 まぁヒールでそれは完治するからいいんだけどさ。


 それに、こんな被害を出して探索しても何処もかしこも全滅だ。

 何がって?

 …採取ポイントだよ!




・ピピッドの実 レア度3 採取評価1



 森に多く群生している植物の実。

 消臭作用があり、臭い消しの材料によく使われる。

 一部の野生動物や魔物はこれを自身の虫除けや巣の臭い消しに使う。

 しかしこの果実にはそのような効果はない。




(コマンド使用により、探索のレベルが上昇しました!)


 今のは近くの採取ポイントに生えていた木苺みたいな実を一粒採取し、鑑定してみた。

 ちょっとでも期待をした矢先にこれだよ!

 流石に薬効が無いんじゃあ採取する気にもならない。

 とった一粒は食べてみた所で、蜂に襲われたっ所だ。

 ちなみに、実は苦かったです…


 しかし…どうにもチーユ草乱獲の被害はここまで広がっているらしい。

 まだ森の浅い所だし、目を付けられたんだろう。

 しかし、それにしてはちょっと妙だ。

 たしか…薬師の目的はチーユ草だろ?

 過剰採取による品質の低下は、そのせいで起こってると思っていたが…



「チーユ草、どこだよ…」



 それを採るのに、ついでに近くに生えている他のも採っていくってなら分かる。

 だが見渡す限り、そんな物どこにも無い。

 と言うかこの採取ポイントにはこれしかないぞ…?

 朽ちた木の洞に生えていた代物だし。



「こりゃあ、何かありそうだな」



 リコリスは確かに薬師はチーユ草で儲ける為にって言っていた。

 それはある部分で間違ってないんだろう。

 だが更にもう一歩踏み込んで、他に別の目的があるんじゃないか?

 森や草原からの恵みが採れなくなって困る事、いや得する事…?



「まぁいいや」



 どうせ考えても答えは企んだ奴にしか分からない事だろう。

 それに考えたって、広義の意味で何処かの危機って事態に収束だけだし…

 こういう発想をしっぱなしだとやがては中二病になるのだ。

 一度感染した俺の抗体が告げている、間違いない。

 治っているのかは不明だがな!


 つーか目の前の問題を直視しようじゃないか。

 今これが採れなくなって困るのは…俺だ。

 後から過剰採取しに来る奴が居るっていうのが心の底から気に食わないが…



「汚染調査…!」



 とにかく調査だ、調査!

 という訳で今使える調査系のコマンドを展開!

 まぁ呪われていない事はほぼ確実だけどさ…

 何かが分かれば儲け物って奴だ。

 で、周辺マップが表示されたのだが…



「見事に黄色いな…」



 採取ポイントだけ、見事に黄色に染まっている。

 こないだの畑の時はたしか赤かった…よな?

 この場合はどうなるんだ?

 試しに、ポチッとな!



(Warning!土地の生命力が枯渇しています!

 この状態では土壌汚染の耐性が激減します!)



 あぁ、汚染への警告って事ね。

 注意が必要だから、はよなんとかしろと。

 原因は見たまんま、生命力が枯渇してるのか…

 う~ん…



「アースヒール!」



 ちょっと迷った末、試しにヒールを使ってみた。

 まぁ意味は無かったみたいだがな…

 回復の光で地面が仄かに発光したが、汚染調査のマップには特に変わった様子はない。

 依然として注意域の段階だ。



「今は打つ手なし…か?」



 ウインドヒールを使ってもいいが…効果に期待は出来ないだろう。

 何せウインドヒールは、初期から一度に複数人可能かつ射程が範囲型ってのが特徴だ。

 ただその分回復量は犠牲になっていて、アースヒールより遥かに下だ。

 反対にアースヒールは回復範囲はかなり狭いが、圧倒的な回復量を誇る。

 って話が逸れたな。

 とにかく、使っても効果は見込めないだろうよ。



「となると、無駄足かぁ…!」



 本当に魔物の素材しか成果無ぇじゃねぇか…

 どれも品質が高い物ではないし。

 …半分くらい俺のせいだけどさ。

 とか考えながら、帰ろうと町の方向に足を向ける。

 まだ森のかなり浅い部分だし、十分に帰れるだろう。


 …って、そういえば他にも成果があったな。

 呪術の強さが分かった事だ。

 ありゃあ生物相手にとんでもない性能を誇るな…

 使い方を間違えないようにしようと思う反面、早く呪術で呪化以外のコマンドが出ないものか…と期待してしまう。

 武器での攻撃コマンドに組み合わせられるコマンドが追加されれば尚良いんだがなぁ…




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ