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 さて…まずやらなきゃいけないのは先制攻撃だ。

 わざわざ気づいていない獲物の前に飛び出す理由もないし。

 二十メートル以上に距離があるし、それにカムフラージュとクワイエットブリーズの効果もある。

 攻撃をしても警戒はされるだろうが、明らかに方向が特定出来る様な物で無ければ二撃目、三撃目くらいまでならたたき込めるだろう。

 という訳で、コマンド展開…



「病魔の風…!」



 本当は病魔の大気を使いたい所だが…それは少しMPの消耗が大きすぎる。

 大体だが…病魔の大気は一回で病魔の風の4~5倍の消費になるし。

 それに一箇所に固まってるんだから、広範囲に放つ必要はないだろう。

 で…獣達は気持ちの悪い風が体を撫でた事にどうやら警戒し始めた様だ。

 だが、まだ先制攻撃されたと気が付いていない…かな?

 もう少し…行けるか?



「病魔の風!」



 まぁそろそろバレるだろし、もう身を隠す必要もないか。

 思いっきり姿を出しながら、風を吹かせる。

 で、もういっちょ!



「ウインドカッター!…魔傷風!」



 こっちに気がついたウルドッグ達だが…病魔の風も、甘い狙いで放った風の刃組も避ける事は無かった。

 つーか避けられないだろうな、一応は風だ。

 風の刃系統は空気が乱れる程度でほぼ不可視に近い隠密性だし、風そのものに至ってはそんな事も起こらない。

 ウインドカッターと魔傷風でそれぞれ一体ずつ傷つけ、風はモロに直撃だ。


 これはいい感じに先制攻撃出来たんじゃないか?

 まぁこれ以降はウルドッグ達が凄まじく殺気立って襲って来るが…

 骨よりはマシだな、うん。

 さて、次のコマンド…っと



「トレンブルピー!」



 さて、集団戦で気を付けなければならない重要な事は何か?

 恐らくだが囲まれない事、相手の行動をとにかく阻害する事、そして下手に攻めない事だ。

 最初の二つは、まぁ言葉通りだ。

 包囲されて多対一は論外だし、戦いは相手がして欲しくない事をやるのが一番だ。

 例として、ウルドッグの群れが走って攻めてきたら?

 地面を揺らせてダッシュを阻害する魔法で走れなくさせてやればいいのだ。

 別解として、後続だけを風で吹き飛ばすってのもある。



「スローイング!」



 まだ接近までは余裕があるので、作ってから試していないダーツ3本組を投げてみる。

 揺れで足の止まった獣に当てるのは、今のDEXなら楽勝らしい。

 いい感じにウルドッグの顔に一本、胴に二本に刺さった。

 よし、もう一つ投げられそうな奴!



「スローイング!」



 どうにも、スローイングはクールタイムが短い。

 殆ど共通クールタイムと同じだ。

 これ幸いにと、石のククリナイフも面白そうだったので投げてみた訳だ。

 だって、見た目ブーメランに似てるし…



「ギャイン!」



 しかしダーツよりは効果的だったみたいだ。

 手負いにしていたウルドッグの額に刺さり、ウルドッグは消失した。

 よし、後14匹!



「ウインドムーブ!」



 そろそろ接近戦に備えて風の支援魔法を入れておく。

 しかし、これだけ魔法コマンドを使ったせいか、そろそろMPが半減って所だ。

 ちょっと控えていかないとな… 

 なんて考えていたら早速二体程、既に至近距離まで詰め寄ってた。

 お互いに連携して噛み伏せようしてきやがるか…?



「プッシュエアロ!」



 取り敢えず後続に続かれると鬱陶しい事この上ない。

 この二体に集中する意味も込めて、後ろから詰めてこようとしている奴らは吹き飛ばしておく。

 風魔法、風魔法、放出で組んだコマンドだから、前のよりもずっと効果が高いはずだし…大丈夫だろ。



「はぁ…」


「ガッ…!」



 それで、接近してきた一匹目の飛びつきを避けて無理のない程度に刃を滑らせて切り裂く。

 魔法で動きが機敏になったお陰か、カウンターが狙いやすい狙いやすい…

 鎧の防御力はそこそこある方だが過信するのは危険だと思うし、喰らわないでおくのが一番だと思うし。



「でりゃ!」


「キャウン!」



 二匹目は…なんとなく成功するかな?程度にやってみた回し蹴りでの撃ち落としに挑戦してみた。

 まぁ…成功したな!だが足が痛いぜ!

 しかし…犬に襲われるゾンビゲーっぽい動きが出来たと思うぞ?

 それから追撃、短剣シャベルでバッサリ切り裂くとシュワって感じに消失した。

 これで13匹か…?

 いや、視界の端でさっき切り裂いた片割れも消えたから、12か。


 しかしどうにも攻撃力が高すぎるせいか、バサっと切れるな。

 それにHPバーもグイグイと減っていくし…

 ちょっと手応えが無いな。

 まぁ集られたらこっちもヤバイし…おあいこって事で。



「ってあれ…?」



 プッシュエアロで吹き飛ばしたとはいえ、どうにも追撃に向かってこない。

 どいつもこいつもなんか…超弱ってるって言うの?

 辛うじて起き上がってるのが半数、横たわったままなのがもう半数…

 …なんでだ?



「ん…病気…?」



 遠目からギリギリ確認出来るウルドッグの一体から、病気Ⅲと疲労の状態異常が見られた。

 HPが減ってる気はしないが…なんだこれ?

 スタミナを減らすとか…か?



「だとしたら好都合か」



 長期戦になればなるほど呪術は有効的な戦術になるな。

 少なくとも単発での火力にはあまり期待が出来ない短剣とは相性の良さが伺える。

 それに…状態異常も言わずもがな、だ。

 鍛えていけばカーススパルタンの様な、追加効果で継続ダメージの出るコマンドとか出るだろうか?

 まぁ…それは後々分かるか。


 今はこの弱った獣共を何とかしよう。

 こうして弱らせたままなのはこっちとしても気持ちの良いものでは無いし。

 さっさと経験値になって貰おうか。



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