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「という訳で明日も宜しくです!」


「おう、じゃあな!」



 なんやかんや植え付けも終わり、リコリスのポーション作りも終わり…

 今日は解散って事で、やらなきゃいけない事は全て終わった。

 しかしこれでログアウトするのはちょっと物足りないな。


 つーか明日は休みだし…

 今日は徹夜してもまったく問題ない。

 まさか…何か呼び出される事態もある訳無いしな。

 俺の周りは平和そのものだ。



「ふぅ…どうしようか…?」



 しかしやる事やっていざ自由ってなると、何をすればいいか迷うな。

 昨日と同様になんか適当に使えそうなアイテムの試作に走ってもいいんだが…

 木と石ころじゃあ作れるものも限られるし…しかし金属もそこそこ値が張るしな…



「よし、誰もいなさそうな所に探索に行こう!」



 そもそも隠居生活の目的が、しばらく身を隠す事だったしな。

 別にバレなきゃいいんだよ、バレなきゃ!

 つーか流石にこう何日も引きこもってばっかだと、気が滅入る!

 俺は引きこもりになりたい訳じゃない、これ以上目立たずに過ごしたいだけなのだ。


 それに…それにだ。

 換気してもまだ匂いが残ってる気がする。

 ぶっちゃけちょっと長居していたくないってのがデカイ。

 どっかに消臭剤の元とか無いかな…

 という訳で、今日は消臭剤の元でも探しに出かける事にする。

 何気に、このゲームでまだ三度目となる町からの外出だ。


 ちなみに最初はこのゲームのコマンドシステムに慣れる為にちょっと最初の町近くで狩りをして、二度目で魔窟に飛ばされた。

 その時は同じく始めたばっかの新人辺りと組んで、チュートリアル的なダンジョンとなる誘いの洞窟に行こうとしてたんだっけ?

 そしてパーティの募集をかけたと同時に、あの女がギルドに入ってきてパーティに参加したいだの言い出したんだよな…

 本当、迷惑でしかない。


 で…流石に40レベルの奴と組んでも意味ないから断ったら、俺ごと一緒に魔窟に飛びやがったし。

 そして『あ、間違ったにゃ!』だもんな。

 あの狙ってやったって顔は恐らく忘れないだろう。

 それからギルドに帰せと文句を言ったら、モンスターをトレインさせて自分だけ帰りやがったし…

 去り際の『お前みたいな雑魚を鍛えてやるわっちはなんて優しいにゃ~』って言葉だ。

 これで、戻ったらこいつに復讐しようって決めたんだよな。


 って何で俺はあいつの事を考えてるんだ…?

 そうか、三度目の冒険だからか。

 よくよく考えたら、そのせいで未だに一度もパーティさえ組んでないんだよな…

 実はこうして隠居なんて言ってる場合でも無いのか…?


 まぁ、いいか。

 今誰かと組んだって碌な事にならないだろう。

 実力より先に、何故か名前が知られたしな。

 そのせいで、実力や目的の一致以外で組む以外に、面白半分で組もうと提案する奴もいるだろ。

 見世物の動物扱いされるのは御免だ。



「はぁ…」



 なんて考えていたら、いつの間にか町の門まで来ていたようだ。

 プレイヤーは一人居ない、NPCの衛兵がポツンと二人立っているだけの静かな門だ。

 間違っても活気付いている南では無いな。

 で、ここから先は町の外…モンスターの出るエリアだ。

 たしか…名前はアイン草原だったかな?

 この町の名前と同じだ。


 この街は最初と言うこともあって、草原に囲まれている。

 初心者向けって事もあって自ら襲いかかってくるモンスターが殆ど居ない平和な草原に、だ。

 そこから東北は山脈、西は大森林となっている。

 唯一南にはしばらく草原が続き、これ幸いにと攻略がされて行ってるって訳だ。

 どう考えてもプレイヤーを誘導する気満々だよな、これ。


 おまけにモンスターに関しても地形に応じた奴が出てくる様で、南以外はそもそも圧倒的にプレイヤーに不利だ。

 寒冷ペナルティやら、見通しの悪い所での擬態持ちやら、足場の悪い場所での空中位置のモンスターやら…

 まぁそこまでは関係ないか。

 せいぜい今日は行っても入口くらいだろうし。



「さて、ここはどの方角だ?」



 間違い無く南では無いのは確かだろう。

 となると西か北か、それとも東か?

 まぁそんなに人はいないだろうよ。

 一応それなりに気を引き締めながら、取り敢えずまっすぐ探索と行きますか…



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