表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/67

31

 


 さて、ログイン!

 今日ものんびり隠居生活しましょうかねぇ…



「ふあぁ…」



 何て言うか、毎回寝てる状態から起きるもんだから、あくびが出るな。

 それに今日のログインは昨日、と言うか普段より若干早いし。

 …関係ないな、うん。


 で、普段より早いお陰でまだリコリスは来てないが…どうしようか?

 別に結果が気になりすぎて早まっただけではない。

 ただ今日は、いつもより早い時間からログイン出来て、遅い時間まで続けられるだけだ。

 つまり、普段より長い時間ログイン出来るってわけ。



「う~ん…」



 で、迷った挙句向かったのは台所。

 更に手にしたのは、トマトークと料理の作り置き。

 冷蔵庫っぽい設備は備え付けだから、そこに保存してあるんだ。



「頂きます…」


「アァ…ダレカ…!」



 適当に一食分を取り出して、食べる。

 物言わぬ料理は、美味い上にステータスもしばらく上がるし文句は無い。

 トマトの主張は激しいが…


 こうやって一昨日に採れた野菜類はそこそこ消費してはいたが…

 それでもまだ結構残ってる。

 こうして出汁を染み込ませた大根とか(ふか)し芋とか…色々と調理して食ってはいるんだがな。

 これらは調理中に耳をふさいで離れていても良いしな。


 ちなみにトマトはまんまで食っている。

 つーか調理法が思いつかない。

 一応ジュースにならないかと試してみているが…携帯料理キットじゃあ無理だしな。

 ミキサー無いし…


 いや…電動ミキサーが入ってたら世界観ぶち壊れるか…

 …まぁとにかく、思いつく限りではカットサラダにスープ、そしてジュースか?

 切って食うくらいなら丸かじりした方が若干大人しいしな。

 それに切り分けて食う奴も居ないし…



「ごちそうさまでした…」



 ちなみにだがあれ以降、破邪のアビリティポイントの消費軽減は起こっていない。

 もっと条件がキツくなってたり、別に条件があるか…だろう。

 これ以上食っていても期待出来ないって事なんだろうな。

 まぁいいや、美味いし。

 さて、そろそろいつものと行きますか…

 収穫だ、収穫。



「今日も一日頑張るぞい…っと」



 …なんとなく言わなくちゃいけない衝動に駆られた。

 で、言葉を口走ったら早速収穫作業に入る。

 とは言っても、やる事はコマンドを呼び出すだけなんだけどな。

 集中、採取…



「ハーベスト…」



 このコマンドも探索のレベルアップで範囲収穫が可能になったし…便利だ。

 範囲はぶっちゃけて狭いが、範囲内の同種の採取アイテムを一気に採取可能なので一本一本慎重に収穫する必要が無いだけで作業も楽チンだ。

 という訳で、十分に成長したチーユ草を片っ端から収穫していく。



「…ん?」



 で、なんだか違和感。

 適当に一本、ハーベストで手に取ったのだが他のチーユ草が収穫されない。

 他のチーユ草と見た目はほぼ変わらないんだけどな。

 少し光ってる様に見えるくらいか…?

 しかしこれ…雑草なのか…?

 ここ二、三日育てていた中では初だな。

 取り敢えず、鑑定してみるか…



・ソウルプラント レア度5

 カテゴリ:お守り

 基本防御性能:1

 耐久:20/20


 特殊能力:キャラ自身のHP最大値-99%(最低値10)

      被ダメージ固定化1ダメージ(固定・割合ダメージを除く)

      ドレイン攻撃無効

      ソウル攻撃無効

      装備中、コマンド[生命力変換]使用可能



 不思議な力を持つ、謎の植物。

 身につけていると所有者の生命力を圧縮し、また死神の魔の手から防ぐと言われている。

 また、生命サイクルの早い土地に生えるとされており、生命循環の象徴の一つとされている。



「…なんだこれ?」



 どうにも雑草ではなさそうだが… 

 試しにちょっと装備してみようか。

 装備欄の装飾の所にぶち込んで…と。



「…何か、変わったか?」



 最大値がどうこう書いてあったが、装備してみた所でHPバーは満タンそのものだ。

 つかこのゲーム、HPとMPは普通じゃ細かい値が見れないんだよな。

 これって自分に鑑定とか出来る様になったら分かるんだろうか…?



「いえ何も変わってませんよ?」


「おわっ!」



 装備して何か変わったか確かめている内に、リコリスが来ていた。

 油断していたな…ちょっとビビった。



「それよりファルマ、どうしたんですか?」


「あぁ、何か面白いものが収穫できた」


「へぇ…どんな物です?」


「えっと、これ」



 そう言って装備欄からソウルプラントを外してリコリスに渡そうとしたのだが…



「ちょ…!?ファルマ!?」


「なんだ?」



 はいはい、ファルマですよ。

 そんなに驚いて…一体どうしたんだ?

 何か急いで視線を動かして…コマンド入力してるけど…



「ウォーターヒール!」



 何でか分からんが…ヒールを掛けられた。

 さっきまで俺のHPバーは満タンだった筈だが…

 見ればHPバーは枯渇寸前からグングン伸びていき、3割程まで回復した。

 …あれ!?



「なんでHPあんなに減ってんの!?」


「知りませんよ!それを渡そうとしたら急に無くなって…」


「あぁ!そうか!」



 あれだろ?一度減った分は回復しないって奴だろ!

 だから装備を解除した瞬間に、HPが99%減った状態になったと。



「いや、自分だけで納得しないでくださいよ!」


「あぁ悪いな!」



 しかしまたとんでもない物を手に入れたな。

 ますます隠居生活が捗るわぁ…



「何いきなり老けた顔してるんですか!」


「まぁまぁ、カリカリしていたら皺が増えますぞ?ばーさんや」


「だ…誰かバァさんですかぁぁぁ!!」



 人を老け顔なんて言うから弄ったらこの反応…

 やっぱ彼女、芸人に向いてないかな…?



「で、面倒だから端的に説明するとこれのせいだな」


「なんです…ってまたとんでもない物を…」


「聞いて驚け!畑で採れたぞ!」



 一応補足しておく…があまり意味もないな。

 鑑定を使ったリコリスが呆れ顔でこっちを見ている。



「取り敢えず折角だから収穫を手伝ってくれよ」


「えぇ~…」


「ほら、これあげるからさ」



 何か嫌そうな顔して拒否されたので、取り敢えずソウルプラントで釣ってみる。

 多分、これレアアイテムだと思うんだが…



「そんなピーキーな物、流石に使えませんよ!」


「ナニィ!」


「という訳で、私は中で休んでるんで…じゃ!」



 ってな感じでそそくさと逃げやがった…

 まぁ畑の方は俺の担当みたいな所はあるからな。

 あまり気にせずやっていこう。

 つーかなんだか三日目にしてリコリス、馴染みすぎじゃね?



「あ、冷蔵庫にある大根の煮物貰っていいですか~」


「おう良いぞ!食え食え」



 正に勝手知ったるなんとやら…

 許してる俺も俺だがな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ