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 結局の所ゲームだし、元々農作業なんぞ分からん。

 なのでこういうもんなんだと思う事にしよう。

 それに…一応は自分で消費する目的だ。

 それこそ味が良ければどんな形でも品質でも…種類だってどうでもいい。

 喋る事なんて誤差だよ、誤差。


 それに何も悪い事じゃない。

 喋る以外にも生命力が豊富らしいし、それに活力も漲るようだ。

 もしかしたらHPの回復効果なんかも期待出来るんじゃないか?

 取り敢えず、一口囓ってみる事にする。



「キャ…」



 そうして手に取ったのは、一つのトマトーク。

 手頃な大きさの物をチョイスした。

 根菜類は土が付いててちょっと抵抗があるからな…



「いただきます…」


「イタダカレテ…シマウノデスネ…」



 一応、きちんと両手を合わせて言うのは忘れない。

 あと、地味に言ったことに反応すんのやめてくんねぇかな?

 すげー食いづらくなるんだけど…



「あむ…」


「ンアァァァァア!!」



 …とか考える傍ら、実食。

 口に入れた瞬間…まずトマトークの果肉が、炸裂弾の如く口の中で精一杯の旨味を弾けさせた。

 トマト特有の旨味って言えば良いのか?



「コレガァァァ…スクイ!…スクイナノデスネェェエ!!」



 それがこのトマトークの果肉のちょっとだけ甘くて、それでいてしっかりと酸味が効いている味をより良いものに引き立てている。

 そして種付近のゼリー状になっている部分は果肉と釣り合いを取るように甘めになっている。

 果肉と合わせると、程良く酸味と甘みがマッチするんだな。

 トマトが嫌いでなければ、普通に美味しいと思う一品だろう。

 とか考えながら一口、もう一口と進んでいく。



「コレデ、モウ…」



 それにこれだけ食べ進めても、トマトークの皮が口に残ったりはしない。

 普通なら口に残ったり歯に挟まったりして嫌なんだけどな。

 気にせず食えるってのは何て言うかありがたい。



「アァ、トウサマ…カアサマ…」



 そしてそのまま最後の一口。

 ヘタだけ綺麗に残して食べきったトマトークは、アイテム判定が無くなったのかすぐに消滅していく。



(アリガ…ト……ウ)



 完全に消滅するその瞬間、そんな言葉が聞こえた気がした…



(条件達成により、破邪取得時に消費するアビリティポイントが減少しました!)



 もう、何を言っていいのか分からないな!

 この世界は野菜に何を求めているんだろうか。

 でも取り敢えず…泣いていいかな…?

 なんだか…涙が溢れてくる。






 さて、気を取り直してこのトマトークの評価だが…普通に美味しかった。

 だかもう一度食べるかと聞かれれば…答えはNoだ。

 だって苦しんだ挙句にありがとう、だぜ?

 食べる度にこんな罪悪感MAXでセンチメンタル展開が起こるんじゃあなぁ…

 いつか欝になるわ、こんなん!


 おまけに何故か、破邪取得の為の消費アビリティが減ったし。

 確認してみたら…確かに7消費から5消費に減ってるな。

 そして変化があったのはそこだけでは無かったみたいだ。

 各種バフのところには最大HP上昇Ⅱやら回復速度上昇Ⅱ、状態異常効果時間短縮Ⅲなどなど…

 本当に力が漲るんだなぁってラインナップのバフが軒並み掛かっていた。

 それになんだかステータス値に変化が起こっているし。

 …具体的にはこんな感じだ。




ファルマ Lv10


 ステータスポイント:0

 ステータス一覧

 STR:20(+2)

 VIT:20(+2)

 AGI:30(+3)

 DEX:23(+2)

 MAG:18(+2)

 WIL:16(+1)



 所持アビリティポイント:18

 所持アビリティ一覧

・基本・共通:[溜める] [集中] [構える]

・短剣Lv8:[突く] [払う] [踏み込む] [縦切り] [投擲] [撫で斬り] [飛び退く]

・風魔法Lv12:[風魔法] [放出] [射出] [展開] [囲む] [治療] [支援] [妨害] [付加]

・土魔法Lv5:[土魔法] [探知] [隆起] [軟化]

・呪術Lv1:[呪化]

・探索Lv8:[警戒] [採取] [鑑定] [開錠] [隠密] [看破]

・料理Lv1:[見習い料理]

・製作Lv1:[素人製作]



 獲得スキル

・短剣威力上昇Ⅰ

・短剣コマンド性能上昇Ⅰ

・風魔法威力上昇Ⅱ

・風魔法コマンド性能上昇Ⅰ

・土魔法威力上昇Ⅰ

・土魔法コマンド性能上昇Ⅰ

・コマンド枠増加+1




 上昇値の合計だけ見れば、単純に4レベル分のドーピング…

 つまり、こうして多少のリアル精神力を犠牲にすれば多大なドーピング効果が得られる訳だ。

 …リアル精神力を犠牲に出来れば、な?

 暫らくの間、食いながらこんな事が起こるってのには…俺は耐えられそうもない。

 食いながら、だったらだけどな。


 …という訳で食べる前に口封じをしてみようと思う。

 つまり…料理に挑戦だ。




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