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「ラメリー」


 王様は、この世界に馴染むようにと名前をくれた。私も気に入り、その名で呼んでもらうことにした。

 冒険ものの本を読んでいると、わからないことだらけ。だから、部屋を出ては戦いのシーンをメラマヴロさんにやってもらう。この世界では魔法もあるそうだけれど、主に剣術と体術を言葉で教えてくれた。

運動不足を解消するために、私も動きを真似てみる。身体能力は無駄に高いの。

他にも体型を戻る努力をしつつ、物語を書いていく。初めは日本語で書いていたけれど、覚えたてのこの世界の言葉で書いてみた。

苦戦しながらも、塔の部屋に住んでからちょうど三十日で完成できた。

 ずっと興味を示していた王様が、読ませてほしいと頼んできたので困ってしまう。王様が楽しめるような話だろうか。好みに合うかわからないから、私は他人に勧めることはしない。読んでもらいたいものは別だけれど。

 王様に頼み込まれたので、ページからちぎって渡して置いた。三日後に返される。


「素敵な話だった、楽しかったよ」


 優しく告げられた感想に、胸がガッと熱くなった。顔見知りに読まれることは苦手だったけれど、嬉しくて嬉しくて、涙が溢れてしまう。


「大丈夫かい?」


 心配されたけれど、精一杯嬉しさを表現するためににっこりと笑う。


「私は大好きなのです。物語が大好きなのです。書かずにはいられないのです」


 また誰かに読んでもらえて、素敵だと言ってもらえて、嬉しくて嬉しくて涙が止まらなくなってしまった。

泣き止むまで、王様は頭を撫でてくれる。彼はなんだか、祖父のように思えた。実の祖父の記憶なんてないけれど、でもおじいちゃんってこんな存在なんだろうと、胸の奥が温かくなる。


「君の文章は読みやすくて、好きだよ。また書けたら、読ませてくれるかい?」

「はいっ、ぜひ!」


 優しい言葉に笑顔を返すけれど、言い換えたら語彙が少ないって意味かな。確かに勉強不足か。元々日本語だって豊富に使えているわけではない。ちょっと反省してしまう。でも、難しい言葉を使うように専念して背伸びをしてしまうと、つまらないものになってしまうから。次はなに書こうかな。


「……ところで、メラマヴロが好きなのかい?」

「!? やだな、そんな! ……違います」


 王様が耳打ちしたから、部屋の隅に立っているメラマヴロさんに聞こえないように声を潜めた。


「これは君とメラマヴロの話ではないのか?」

「モデルです。私と彼の出来事を取り入れてみただけです」


 顔を赤くしながらも、誤解をとく。物語の終わりでは、永遠に守ることを約束してキスをした。メラマヴロさんはしてないと話しておく。


「私の立場と酷似した少女ですが、私より冷静で美人ですよ。願望を取り入れたりもしますが、大抵は勝手に頭の中で物語が進むんです。今回みたいに実際の出来事をこんなにたくさん取り入れたのは初めてで」

「つまり、君はメラマヴロとこうなりたいと」

「違いますって!」


 王様がからかうものだから、私は真っ赤になる顔を両手で押さえた。そういう見方をされると恥ずかしい。穴に入って埋まりたくなる。


「作者と主人公は別物なんです! 私は書く側でしかないです!」

「はは。わかったよ。わかったから」


 ぽんぽん、と王様は笑って宥めた。


「エレクドラーロを出してくれるかい?」


 話題を変えてくれたので、胸を撫で下ろしてあの宝石を出す。


「ドラゴンの夢を見るそうだね」


 メラマヴロさんから聞いたのか。コクコクと頷くと、王様は私の両手を使って宝石を包むと、その上からシワのある大きな手で包んだ。


「やはり、君が持つべきだ」


 翡翠の瞳を細めて、王様は言った。


「物語の中でも書いていたね。導かれるように、宝石の元に来たのだと。恐らくこの宝石が、君をこの世界まで導いたのだろう」


 エレクドラーロが、私をこの世界に連れてきた。


「太古にはドラゴンが飛び回っていたが、今は召喚の石の中にしかいない。それは国の秘宝、エレクドラーロ。(あるじ)を選ぶ石なのだ。主の魔力がなければ、表に出られない。主を欲して、そして君を導いた。今まで何の反応を示さなかったが、君が現れてから命の時計が進んだ。君が、エレクドラーロの主なんだ」


 主を選ぶドラゴンの宝石に、導かれたのは私。

 ぎゅ、と王様には握られた私は、少しポカンとしてしまったけれど、吹き出した。


「まるで勇者の物語みたいですね」


 勇者に選ばれて、戦いにいかなくてはいけない主人公みたい。でも私は違う。私はそんな主人公にはならない。やっぱり書く側となるんだ。

 メラマヴロさんに恋しないで、ただ物語を書く方を取る。それが私の性だ。

 けれども、エレクドラーロのおかげでいい経験が出来たから、感謝している。この経験を元に物語がたくさん書けそう。この世界の本も面白いし、意欲は尽きない。


「どうやって、ドラゴン出すのですか?」


 ドラゴンの姿を見たいから、私は訊ねてみた。

 私の魔力の量は多くはないらしく、先ずは魔力を増やすことからしなくてはいけないそうだ。毎食、得体の知れないドロッとした薬を飲まされた。魔力を開花させるための薬で、この世界では子どもから飲むらしい。潜在能力を引き出され、魔力が多い者は魔法使いの道に進むそうだ。聞いていたら、それを元に物語が書きたくなってしまい、冒険ものを更に読みあさって取り掛かった。

 部屋にいる時は机にかじりついて執筆をしていて、外に出ればふらふらと気ままに歩く。そんな私とずっと行動をともにしているメラマヴロさんは、退屈していないだろうか。彼の目を見ても、感情も心情も読み取れない。困っているのか、呆れているのか、わからない。仕事だから割り切っているのだろうか。部屋に立ち尽くしたり、私のあとを歩いたり、退屈な日々のはず。

 森の中を歩いていきながら、ちらちらとメラマヴロさんを振り返る。黙ってついてくるだけ。

 足を止めて、向き合ってみた。

相変わらず、重たそうな黒い鎧に身を包んでいる。黒い髪と黒い瞳。じっと見上げていても、メラマヴロさんはなにも言わない。

 私はにっこりと笑みを浮かべてから、パンと鎧を叩いた。


「メラマヴロが鬼!」

「!?」


 勝手に鬼ごっこを始めて、走り出した。真っ直ぐに突っ走る。鎧を着た身では、私を捕まえるのは難しいだろう。


「止まってください!」

「捕まえてくーださい」

「それ以上はっ!」


 そう言えば、ここまで城を離れたのは初めて。迷っちゃうかもしれないと不安になったあと、カッと光が目を眩ませた。途端にずるっと滑ったかと思えば、遥か下に地上。草原が広がっているように見えたけれど、今度は強風が吹き荒れて目を瞑る。強風に向かって、身体が引き寄せられた。

 落ちかけたけれど私の腕を掴んで、メラマヴロさんが引き上げてくれる。


「大丈夫ですか!?」


 メラマヴロさんが取り乱した様子で問う。私は腰が抜けてしまい、ポカンとしてしまった。膝をついて、怪我がないかを確認してくる。


「……この城、浮いているのですか?」

「……そうだ」

「……」


 浮いている城。私は身を乗り出して確認してみた。メラマヴロさんがしっかり腕を掴んでくれたから、私も握り返す。まるで絵画に見えてしまうほど、地上は下にある。どうりで陽射しがいつも眩しいわけだ。


「どうやって地上に降りるのですか?」

「道はある。戻ってください」

「……ああ。はい。ありがとうございます」


 メラマヴロさんに引き戻されてから、私は礼を言う。


「礼には及びません。貴女を守ることが、私の仕事です」


 凛とした態度で返したメラマヴロさんは、もう危ない目には会わさないと言わんばかりに手首を握った。ちょっと笑わせてみようと思っただけなのに、緊張が高まってしまったみたい。申し訳ない。私の方はたくさん笑わせてもらったのにな。

 メラマヴロさんを笑わせる方法を考えてみながら、城へ引き返す。手首は握られたままだ。子守りに手を焼いている図。腕輪みたいに繋いでいるより、手を握った方がいいと思う。メラマヴロさんの腕を掴んで1度放してもらってから、革の手袋をしたその手を握る。ニッと笑ってから、繋いだ手を揺らしながら歩いていく。


「メラマヴロ。仕事は楽しいですか?」

「……楽しい……考えたこともないです」

「真面目ですねー。私は執筆が楽しくて楽しくて、しょうがないです。寝ても覚めても、物語を考えてます」


 スキップするような足取りで、声を弾ませた。


「……知っています」

「?」


 メラマヴロさんが囁くように静かに言った意味がわからず、首を傾げる。言い直してくれない。


「……訂正します。楽しいです」

「本当に? 本当に本当に?」


 楽しいと言ってくれたから、私は詰め寄った。鎧にべったり貼り付いて、黒い瞳を覗き込む。

「はい」と、黒い瞳は真っ直ぐなまま。


「じゃあなんで笑わないんですか?」

「……護衛中は気を抜けません」

「……そうですか」


 仕事中だからこそ、真顔。

ちょっと不服だけれど、真面目なメラマヴロさんに終始笑えとは言えない。

 でも、少し表情を変えてほしくって、頬を摘まんで引っ張る。メラマヴロさんは驚いたように目を見開いたから、私は満足して部屋に戻ることにした。


 物語は膨れ上がってしまい、一先ず三十日で一章を書き上げる。本を通して、この世界のあらゆることを学べたから、それを元に書いた。世界には狂暴なモンスターが溢れているそうで、人間とは違う生き物が数え切れないほどいるそうだ。何枚か絵を見たけれど、想像だけでカバーして冒険を描けたと思う。

 読んでくれた王様も、面白いと声を上げてくれた。早く続きを書いてほしいと言ってもらえたから、私も喜んで書くと胸を張る。

 日記が二年分書けそうな本は残り僅かだから、新しい本を貰えた。日記用と、小説を書く用の二冊。二章も頑張ろう。そのために、エレクドラーロの件だ。

 毎食飲んだ薬のおかげで、魔力は膨れたらしい。魔力を込める方法を、メラマヴロさんから教えてもらう。念じると同じで、簡単だった。

 まるで打ち上げ花火。でも焦げた匂いも、爆音もない。光がドラゴンの姿をしたかと思えば、弾けて消えてしまう。

見守っていた王様は、クスクスと笑った。


「ちゃんと想像をしなければならない。君は得意だろう? 大きすぎては君の魔力が足りない。小さくて構わないよ」


 大きすぎては魔力が足りない。小さめ。小さめのドラゴンを脳裏に浮かべる。よく夢に出てくる琥珀色のドラゴン。もう一度、念じた。

 また花火のように光が現れたかと思えば、ドラゴンの形になる。大型犬サイズのドラゴン。琥珀色の皮膚、大きくて固そうな翼、大きくつぶらな瞳は赤、長い尻尾。目の前に想像したドラゴンがいる。

私は思いっきり抱き締めて、座っていたベッドに倒れた。


「やっと会えたね! エクドラ!」


 ドラゴンも同じく喜んでくれているのか、亀みたいな手足でしがみついて、頬擦りしてくる。


「エクドラ……あの物語のタイトルだね。やっぱり、主人公が手にした宝石は、召喚の石なんだね?」


 王様が覗き込むから、私は元気よく頷いた。


「そうなんです、二章でやっと使えるように……あ。これ以上はだめです!」


 勢いで言ってしまいそうになって、指でバツ印を作り唇に押し付ける。先を話したくなってしまうのは、私の悪い癖だ。楽しんでもらえるとつい。

 ドラゴンは私を締め上げるみたいに、きつくしがみついた。ちょっと痛い。なんだなんだ、甘えてるのか。可愛いなぁ。顔をマッサージするように撫で回してみれば、気持ち良さそうに目を閉じた。


「この子との出来事を入れたいので、外で遊んできていいですか?」

「ああ、一緒に行こう」


 今日は王様もお散歩。手を差し出されたので手を握って、メラマヴロさんも一緒に城を出た。

 すぐにドラゴンは翼を動かして、森の上を過ぎて飛んでいく。気持ち良さそうに飛び回っていったから、きっとずっと待っていたんだろう。飛び回れる瞬間を。よかったね。

 ドラゴンは私の方に飛んできたかと思えば、私を掠めるようにくるくると回る。私も一緒になって、くるくると回った。楽しそうで、楽しそうで、私は笑みを溢す。このシーンを書こう。

 エレクドラーロは、一時間もしないうちに宝石の中に戻ってしまった。私の魔力ではそう長くはドラゴンの姿を保てない。使いすぎると、回復まで時間がかかるそうだ。だから毎日ドラゴンとして召喚したいなら、小さいサイズで一回だけにした方がいいとのこと。筋肉のように使えば魔力も増えるから、持続も増えるらしい。

 しょんぼりと背を丸めたけれど、腕を大きく広げて背伸びをしてから、決意を固めた。エレクドラーロと時間を増やして、物語の二章目も頑張るぞ。


 二章は時間がかかり、毎日書いていたのに60日もかかった。でも時間をかけた分、より面白くなっていると王様が言ってくれる。


「更に引き付けられて、また続きが楽しみでしょうがないよ。ラメリー、三章も書いてくれるんだよね?」

「勿論です! 三章も驚かせて楽しませてみせます!」


 もう三章も頭にあるから、早く読ませたい気持ちでいっぱいだ。また時間をかけてしまうことが申し訳ない。ちゃんと書き上げる約束したから、頑張る。


「そうだ、今夜はパーティーがある。出るかい?」

「パーティーですか……」


 パーティーと聞いて、私は思わず表情を歪めてしまう。私が参加しても、楽しくなさそう。


「せっかくですが、遠慮します」

「そうかい? あらゆる種族の貴族が参加するのだが」

「……」


 あらゆる種族、に私は食い付く。人間以外の生き物。本でたくさんの種族を知った。大半は幻想的な容姿。ぜひともお目にかかりたい。でも社交の場には出たくない。だからと言って遠巻きに見るのは失礼すぎる。固まって脳内で葛藤した末に、書くことに専念することに決めて、やっぱり断った。

 酔っぱらいが誤って入ってこないためにも、部屋の鍵は閉めておくようにとのことだ。酔っぱらいだなんて、お酒を上品に飲むようなパーティーではないのかな。

 気にせずに、三章の構想を深く練って、夜遅くまで書き始めてみた。眠気に負けそうになった頃に、蝋燭の火を消してベッドに入ろうとした。でも、窓の下に灯りが見えたから、覗いてみる。

 森の中で騎士らしき人達が笑っているみたいだ。硝子に額を押し付けてまで見てみれば、ジョッキも持っていた。王様が言っていた酔っぱらいは、ああいう人達のことかな。なんて思っていたら、意外な人物を見付けた。その中にメラマヴロさんがいる。しかも、一緒になって笑っているものだから、ぐいっと硝子を押し付け凝視した。四階くらいの高さだから、はっきりと見えているわけじゃないけれど、あの黒い鎧と黒髪は間違いない。

 しゅん、としてしまう。私には一度も笑ってくれないから、やっぱり楽しくなかったのかな。かれこれ五ヶ月も一緒なのに。私は常に笑顔なのに。ずるいな。

 膨れていたら、視線に気付いたのかメラマヴロさんが顔を上げたので、勢いよく窓から離れる。ばたん、と私は床に倒れた。床に横たわって、むっすりとする。


「……お仕事ですもんねー。いいもんいいもん」


 ベッドに這うように入り、シーツにくるまって、深呼吸して眠った。


 エレクドラーロは小さいサイズで、二時間ほどは飛び回ることができるようになった。私の背中にしがみついて甘えることも多くって、面白い。

 私は木によじ登ったりして、エレクドラーロを捕まえようとした。エレクドラーロは面白がって、何度も私に向かってくる。


「危ないです。降りてください」


 木から落ちて怪我することを心配したのか、下からメラマヴロさんが言った。

昨夜のことを思い出して、ムカムカしたので無視をする。もっと上によじ登って、エレクドラーロと戯れた。

 メラマヴロさんの心配が的中。エレクドラーロの翼が当たった拍子に、バランスを崩して落ちる。目の前にいたメラマヴロさんが、見事に受け止めてくれた。どきっとしたけれど、鎧は固くてちょっと痛い。


「大丈夫ですか? 怪我は?」

「……大丈夫です、すみません」


 私を抱えたまま、擦り傷がないかと手をとり確認する真面目なメラマヴロさん。ときめきと真面目さに免じて、許してやろう。なんて勝手に怒り、勝手に許す。心底子どもじみていると反省して、膨れっ面をする。メラマヴロさんは大人すぎた。


「……私に怒っているのですか?」

「別に!」


 見抜かれてしまい、ぎょっとする代わりに声を上げてしまう。だめだ、幼稚だ。私、幼稚だ。


「……戻りましょう」

「はい……」


 地面に足をつけようと伸ばしたけれど、届かない。メラマヴロさんは、私を抱えたまま城に向かって歩き出した。まるで怒っている理由を白状することを待っているように、じっと私を見ている。

 そうきたか。言うものか。ますます子どもに見られてしまう。そっぽを向いて、物語に集中力を全て注いだ。エレクドラーロは私の胸に飛び込んで、一緒にメラマヴロさんに運ばれた。



 部屋を与えられてから、二百日目。三章は進むにつれて、マンネリ感が拭えなくなってしまい、書き進められずベッドにゴロゴロする時間が増えてしまった。

 なにかが足りない。本の知識と想像力では補えないものが、足りない。

呻いて、思い悩む。魔法の戦闘シーンも迫力がない。剣術の方はメラマヴロさんと実際に体験しているから、大丈夫と自負している。あと、登場人物達。やっぱりあのパーティーに参加するか、覗いておくべきだった。後悔でどでかいため息をついていたら、王様が部屋を訪ねてきた。待たせている唯一の読者に、申し訳なさでいっぱいになる。


「ラメリー。浮かない顔だね。大丈夫かい?」

「おじいちゃん……あまり進まないの、ごめんなさい!」


 がばっと王様に抱きつく。

 前に祖父のようだと話したら、おじいちゃんと呼んでも構わないと言ってくれた。たまには、甘えたい時に、呼ばせてもらっている。

頭を撫でてもらえるから、好き。

 私は秘宝に選ばれたから、ここに住まわせてもらえて、物語まで書かせてもらっている。その上に、王様が祖父なんて、シンデレラみたい。

 ずっとこの生活が続けば、幸せな人生だな。

 なんて思っていたら、王様は私の前で片膝をついて、私の両手を握った。


「ラメリー。魔物討伐一行の報告係りをやってくれないだろうか?」


 優しく微笑んだ王様が、そんな提案をしたから、目を見開く。

冒険の物語に悩むならば冒険に行け、と言われた気がした。




20150804

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