0作品目 選考員 葛西直人
ジリリリリリ・・・!
選考開始のベルが鳴る。
俺は今日も新人賞に送られて来る小説を評価するのだ。
俺の名前は(葛西直人かさいなおと )小説家だ。
歳は33、妻子持ちだ。
外見は、黒の眉毛にかかる程度の短髪、細身の身体に端正な顔立ち。
学生時代はバスケをやっていて結構モテた記憶がある。
選考員で来る時はいつも一張羅の上下紺の四つボタンのスーツを着て行く。
この選考員が新人賞の小説を評価する部屋は、いたって普通の会議室の様な感じだ。
会議で使うようなテーブルが横に1列あり、パイプ椅子に座りながら選考する。
窓はドアを開けて部屋に入り目の前に学校の教室みたいな窓が4面ある。
俺達選考員はテーブルの前にある台の上の重なっている封筒に入っている作品を自分の所に持っていって見るのだ。
選考の仕方は出版社によって違うみたいだが、ここの出版社はこの様に選考する。
今日も新人賞に送られて来た作品を見て評価しなければいけないのだが・・・
どうしよう・・・腹の調子が悪い!
何故だ!昨日夕食で食べたカキフライか?
それとも今朝朝食で食べた賞味期限切れの納豆か?
どうしよう、思い当たる事が多すぎる!
だが俺はプロの小説家で選考員だ、腹痛などに負けてたまるか!
俺は前から作品を持って来て封筒から出し、題名を見た!
フローズンライト・・・
内容は、世界中が氷の世界になってしまう話か・・・
今の俺が見るにはかなりストイックな作品だ!
いいや!俺は見るぞ、見てちゃんと評価するんだ。
俺は腹を抑えながらフローズンライトを読み始めた。