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美術との出会い

今回でやっと話があらすじに追いつきます。

これからどんな風にシサアク(本作品の略。今思いついた。)が展開していくのか

私自身も楽しみです。

午後1時過ぎ、サイトは道立しおさい高校の校門の前にいた。


午前の授業を公園でサボり、途中で不良に絡まれたため頭がかなり混乱していたが、


潮風で頭を冷やしたらどうにか気持ちが落ち着いてきた。始業の時間まですこし時間がある。


そう思っていたら学び舎から生徒の賑やかな声が聞こえてきてサイトは少し憂鬱な気分になった。


でも、さっき不良に言われた「逃げてばかり」という称号を返上するために気合を入れて校門をくぐった。


上履きに履き替えるといつもと少し雰囲気が変わったような気がした。あれ?昨日も3時間目からだけど


学校に来たぞ?何だこの違和感は?サイトは何かに引き寄せられるかのようにその違和感の主をさがした。


それは1枚の絵だった。これは昨日帰りの時に無かった。今日はじめて飾られた絵であるようだった。


その絵は生徒が学校に通う通学路を描いていた。登りのきつい坂道を正面から見た絵、それはまるで難攻不落


のエベレストを登り切った登山家がみせるような頂上からの下界を見下ろす優越感、高揚感を絵のタッチから


醸し出していた。なんなんだ、この絵は。サイトはしばらく絵の前から動けなかった。



その絵は細部の雲に至ってまで細かく動きが描かれていて今にも道を横切ろうとしている歩行者を持ち上げて


天空へ連れて行ってしまうのではないか、というような躍動感に満ちていた。


今にも動き出しそう、と言うよりはそこにこの絵のような世界がある、と言っても過言ではない程完成度が高かった。


サイトは絵の隅の方までじっくり絵を眺めた。見れば見るほど発見がある。始業のチャイムがなっても終業のチャイムが


なってもそれに気づかなかった。


やがて、生徒がぞろぞろとこっちへやってきた。一日の授業が終わったのだ。サイトはやべぇ、と思ったがこの絵に出会えたこと


によって学校に来るモチベーションができた気がした。長時間絵を見続けた心地よい疲労感に包まれていると後ろから


聞いたことのある歯切れの悪い声が聞こえた。


「あれ?・・・斉藤君、来てたんだ?」


大和が言うと、サイトはどうしていいか分からずにおおきなモーションで頭をかき始めた。大和は続けた。


「この絵、先輩の伊達っていう人が描いたんだ・・・そんなに好きなら美術部においでよ」


サイトは誰がいくかよ、と言い残すと足早に上履きを履き替え学校を後にした。


たぶん帰ったら学校をサボった事をかあちゃんに叱られるだろう。でもそんなの関係ねぇ。


最悪の状況からすこし、いや、かなり光明が見えてきたような気がした。


シサアクは毎日仕事帰りに1話ずつ投稿しています。

ストーリーが軌道にのるまで毎日更新していきたいと思っています。

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