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アウトサイダー

サイトはおもむろにPSPの起動スイッチを引き上げ、ゲームが起動するまでの間ぼんやりと雲を眺めていた。


今日は5月15日。とっくにゴールデンウィークは過ぎている。今日は桜の散った公園で午前の授業をサボることにした。


目の前のキャラクターが無表情で敵のモンスターを殺していく。サイトは日ごろのモヤモヤを蹴散らすようにゲームに没頭していった。


本当はこんなことやりたくない。でもやりたいことがみつからない。一体何の為にわざわざ遠い、友達の居ない高校を選んだのだろう。


答えの出ない考えを頭の中で巡らせながらサイトはいらだちが募っていくのを感じていた。なぜ?どうして?


気づいたらゲームのキャラクターは息絶えていた。


サイトはいてもたっても居られなくなってあーっ、と大きな声で叫んだ。どうせ平日の昼間、こんな時間にキレたって問題ねぇよ。


そう思っていたら白いワゴン車からモンペのような作業着を着た2人組みが出てきた。やばっ、とサイトは思ったが


自分が撒いたタネ、2人組みを睨んだ。2人組みはサイトが座っているベンチを囲って、そのひとりが言った。


「おにぃちゃん、学校は?どうせサボって休むんだろ?調子こいて叫んでんじゃねぇよ。」


金髪で長身の若者はサイトの内心を見透かしたような事を言った。むっとして更に睨み返すともうひとりが言った。


「俺はてめぇみたいな中途半端でナヨナヨしてるガキが一番嫌いなんだよ。」


と声を荒げるとサイトの肩を拳で強く突付いた。いてっと声を出すとこいつPSPもってやがる。よこせ!


と言ってきたのでサイトはカバンを持ち一目散に公園から逃げ出した。それを見て不良が追いかけようとしたが


金髪が静止してこう言った。


「逃げてばっかりかよ。ほんとだらしねぇな!」


サイトは人気がなくなる路地の方まで走った。気がつくと目から涙がこぼれていた。


怖かったんじゃない。何も言い返せなかった自分が情けなかった。逃げてばっかりの自分。どうしていいかわからなくて


しばらく湾外沿いの路地をぶらぶらとうろつきながら頭の中を整理しようと必死だった。

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