投票の仕組み
いよいよシサアクも40話目に入りました!
読んでくださっている方ありがとうございます^^
みんながしばし休憩をとっていると大和が、そうだ、審査員の人達にお茶を用意しなきゃ、と言い、準備室の奥にあるやかんと
お茶の元を取りにいった。意外と気が利くヤツなんだな、とサイトは思った。
準備が終わって10数分経っても先輩達がこないので、そわそわしながらサイトは神崎になぜなのか聞いてみた。
「先輩達はみんな3年生で就職や進学の相談で急がしいんじゃね?今日は週末で職員会議もあるし。まぁ、みんなが集まるまで
リラックスしてればいいと思うよ。」
自分でリラックス、と言った神崎だが机の下で貧乏ゆすりをしていた。やはり平静を装っても緊張しているのだろう。
そんな部員の空気を察してか、大和が「お茶ができましたよ~」とみんなに紙コップを配り始めた。サイトはお茶を飲みながら
それだったらわざわざ木田君に掃除当番代わってもらう必要なかったかもな、と思い始めた。隣で条一郎があちっ、とお茶を噴いていた。
条一郎が教室の脇にあった雑巾で制服のズボンを拭いていると、がらがら、とドアが開き、
「みんな、お待たせ。準備できた?」
と真面目な顔で少し笑みを浮かべたノマ部長が入ってきた。今日はいつものおふざけモードではないようだ。その後ろから
パーティの催し物をみるような目で舞先輩、その後ろに一度も会った事のない女の部員が教室に入ってきた。ノマ部長がみんなの絵と
表情を見渡すと、持っていた洋服店の紙袋をがさがさとあさり始めた。一年生達が頭に?マークを浮かべているとノマ部長は教卓に
理科の計量で使われる目盛りの付いた細長いビンのような容器を取り出した。おそらく掃除担当の理科室からくすねてきた物
だろう。それを机の上に5本並べると、紙袋から卓球のピンポン球を取り出し、それを部員達に見せながら言った。
「審査員の持ち点はひとり1点で、絵の順番に並べられたこの入れ物にいいなぁ~と思った人の作品にこうやって投票していきます。
ぽん、と。タカジョー、にやにやしない。デモンストレーションだから。ひとりずつ審査していって一番投票数
の多い人が今日のウイナーかな。」
ノマ部長が投票の仕組みを実践しながら教えてくれた。いまやったように一番端の容器にピンポン球を入れると条一郎に一票
入りました、という事になるのか。これにはものわかりの悪いサイトも納得した。机の上で足を組んでいた舞先輩が口を開いた。
「それじゃ誰に投票したかわからなくなりそうじゃない?メスシリンダーに名前を書いたほうがいいかもしれないわね。」
いや、わかるだろ。と一年生部員はツッコミたくなったが、ノマ部長はにゃるほど、そうだよね。と言ってノートの最後のページを
びりびりと破り、マジックで名前を書き、切れ端をセロテープで透明の容器に貼っていった。一番右からタカジョー、サイサイ、
ザッキー、やまちん、よしぷーと貼られた容器を見て舞先輩がよし、これで大丈夫。と頷いた。一年生部員達はこの緊迫した
状況下に色々とツッコミ所が出てきたが緊張を切らさないように他の先輩達、先生達がくるのをじっと、待っていた。