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濡れ手で画用紙をつかめ

放課後、コットンを勝手に使ったことを神崎に謝ると、いいよ、それぐらい。と言って神崎は教室の棚から描きかけの絵を取り出した。


いつもの神崎だったら「使った枚数だけ金払えよ!コノヤロウ!」などとおどけたのかもしれないが流石に今日を含めて3日しか


絵を描く期間がないのでみんな自分の絵に向かい真剣なまなざしで絵と対峙していた。サイトは画板に留められていた画用紙を


外すとどうやって絵を描くか考え出した。猫や色の配色は今のままでも問題ないはず。インパクトが足りない、インパクト...


ブツブツと独り言のようにアイデアを捻っていると前の方に座っている大和の絵が目に入り込んできた。


どうやら今日は地底人の背景を描きこんでいるようだ。浮き出るように描いた地底人を引き立たせる為に背景は黒一色にするようだった。


アイツも色々と考えているんだなぁ、と関心するとサイトはある事に気がついた。あれ、この構図だと猫が覗き込んでるのが


鏡だってわからなくね?俺の部屋の置き鏡は縦置きで大きさが高さ130cmくらいあったはず。縦置き、縦置きと呟いた後、


サイトはそうだ!そういうことだったのか!と声を上げ立ち上がった。大和がビクッ、と驚いて机に色を塗ってしまっていたが


気にしなかった。サイトは横向きに握っていた画用紙を90度反転させ、縦向きに持ち変えると、おし!と会心の笑みを浮かべた。


横書きで描いていた絵を縦書きに直した。たったこれだけのことだがサイトの絵に関していうとこれは大きな効果があった。


猫のサイズは少し小さくなってしまうが鏡を真ん中に大きく描くことによって手前側の猫と奥側の猫、といった


「鏡を隔てて別の世界」を描くことが可能になったのだ。さらに手前の猫を少し傾けて描けば絵に奥行きが出来るのでは、という


アイデアも浮かんだ。サイトははやる気持ちを抑え自分のノートに下書きを始めた。今まで参考にしていた写真はもちろん横書き用の


撮影である。向きを変えることで当然構図も少し変わってくるのでサイトなりに写真に写っていない部分も考えて描く必要が出てきた。


サイトは自分の部屋にあったものを思い浮かべながら鉛筆を動かした。まず左下に本物の猫の絵。やや右よりの中央に大きな鏡の絵。


その中に写る驚いた表情の猫の絵。奥行きを出すために左上に机の脚。右下には数学の教科書を斜め半分だけ描こう。そのような


構図で絵を描くことに決めた。今まで描いていたものより多くの物が必要になったが、サイトはこの描き方なら「足りないなにか」を


埋められる!と確信していた。部員達が各々にアイデアを捻ったり、時間に追われたり、体調不良をカバーしながら絵を


描き続けるとそれぞれの絵の上に三回太陽が昇った。いよいよ決戦の金曜日がやってきたのである。

少しずつだけどサイトが絵がうまくなっていってるのを表現できてればいいな、と思っています^^

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