Arasuji
初投稿です。
気が向いた時にでも読んでやってください。
桜舞い踊る通学路、少年は期待に胸を膨らませながら坂道を登った。
湾岸沿いの強い潮風が彼の不自然に逆立てた髪をすり抜けていく。
そう、今日はこの俺斉藤才斗の初登校日だ。
サイトは同じような真新しい制服を着た学生達を見ながら、彼らとは違う登校口から
道立しおさい高校の門をまたいだ。他の新入生徒らしき学生があれ?というような感じでこちらを見る。
サイトはまず、他の生徒達とは違う行動をとったということで優越感に浸っていた。
初登校時はまず職員室にきてから教室に向かうように、と担任の先生に言われていただけなのだが。
裏登校口から上履きに履き替えるとすぐ近くに職員室が見えた。サイトははやる気持ちをおさえながらノックもせず職員室のドアを開けた。
ドアの近くの女の先生に話かけるとしばらくして年配の先生がこっちにやってきた。どうやらこの人が俺に電話をくれた担任みたいだ。
「斉藤...才斗君だったね。私が1年3組の担任の寺田雄二だ。1年間よろしくな。」
サイトはこちらこそ、と言い小さく頭をさげた。寺田先生は続けた。
「学校が始まってまだ1週間だから授業にはぜんぜんついていけると思う。まずはクラスになれることだな。」
サイトがはぁ、と言おうとすると後ろから始業を告げるチャイムが三回流れた。
「まず、入学にあたって色々手続きがあるから。2時間目から授業に参加してな。」
そう寺田に言われ、サイトは書類の手続きをするため奥の部屋へ招かれた。
サイトの胸の中では新しい学び舎での期待が大きく広がっていた。