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入洛

 京の都を見下ろす丘に立ち、時太郎とお花、それに翔一の三人は目を瞠っていた。


「なんだろう、あの列は?」

 時太郎の問いかけに、翔一が答える。

「どうやら二輪車うまの群れのようで御座います。あんな大勢の二輪車、初めて見ます」


 翔一の言葉通り、京の朱雀門を目指し、延々と二輪車の列が土埃を巻き起こし、進んでいた。

 二輪車に跨る武者たちは各々の旗指物を背中になびかせ、身につけた鎧兜の前立てや打ち物が日差しを浴びてきらっ、きらっと反射している。二輪車の立てる爆音いななきが風に乗って微かに聞こえていた


「ということは、いくさか?」


 時太郎の言葉に翔一は首を振った。

「そうとは思えません。戦なら、あの二輪車に従う徒歩かちの兵の姿が見えません。付き従うのは槍持ちや、道具運びの小者ばかりで御座いませんか」


 翔一の指摘に時太郎は「ふうん」と頷いていた。時太郎は翔一の分析に内心、舌を巻いていた。一目ちらっと見ただけで、ずばり核心を突く翔一の観察目に、時太郎は感心する。


 狸御殿のあの騒ぎがあってひと月近く、三人は歩き詰めに歩いて旅を続けていた。

 狸姫によって精気を吸い尽くされ、ひょろひょろに痩せていた翔一も、ようやく肉がつき、足下もしっかりしてきた。


 といっても、最初に出会った頃のたぷたぷに肥え太った姿ではなく、旅が鍛え上げたのか、精悍な印象に変わっている。

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