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報酬

「君が持ってきた分析によると、その人物の干渉によりこの惑星の地方豪族たちの間に活発な活動が見られ、本来の発達段階を跳び越え、この惑星は地球の戦国時代の様相を現している。そんな工作をして、いったい、何の得があるのか……」


 大尉は立ち上がった。


「すぐ逮捕すべきです! その人物の身柄を確保し、再発見された殖民惑星の正常な発達を阻害したという罪で拘禁しましょう」


「それが簡単にいかんのだ。君も知ってる通り、逮捕状を取るには、この惑星の政治状況の変化と、当人の活動に因果関係を立証する必要がある。それには途方もなく時間がかかるよ。それまでこの惑星の政治状況が待ってくれるかどうか」


 甚左衛門が割り込む。


「そこで、おれの出番、ってわけだ。おれはさっきも言ったとおり〝現地人〟だ。あんたらが掟に縛られ動けなくとも、おれなら自由に動ける。おれがあんたらに代わって、その南蛮人のことを探っても良いんだぜ」


 大尉は目を細めた。


「それで、甚左衛門さん。あなた、引き換えに何を要求なさるつもりなの? 無料奉仕ボランティアはあなたの柄ではなさそうね」


 甚左衛門は真顔になった。


「そう、おれは、あんたらにある報酬を望んでいる。おれは最初、緒方上総ノ介の配下の木本藤四郎についたころ、一国一城の国主になれればいいと思っていた。やがておれの望みは大きくなった。緒方上総ノ介は天下を狙っている。おれだって狙ってもいいはずだ、とね」


 松田大尉は叫んだ。


「あなた、まさか?」


 甚左衛門は手を振った。

「いいや、今のおれは、さらさら天下など眼中にない。おれの望みはもっと大きくなった。おれは、この世界を出たい! あんたらの船に乗って、星の世界へ行って見たいんだ」

 大尉は意外な言葉に、口をあんぐりと開けて甚左衛門の顔を見つめた。


 甚左衛門は頷き、繰り返す。


「そうさ。おれは、あんたらの世界が見たいんだ! 頼む! おれを、あんたらのスペースシップに乗せてくれ!」

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