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来客

「成る程……。わたしの直感の正しさが証明されたということだな。明らかな干渉が認められる。この図表の曲線は、本来この惑星は十四世紀ほどの政治状況にあるはずなのだが、今の状況は十六世紀後半のそれになっている。加速されているのだ。しかし着任中に、このような事態に遭遇するとは、運が悪い!」


「いかがいたしますか? この干渉を排除する行動は?」


 大尉の質問に中佐は頭を振った。

「計画は慎重にする必要がある。この殖民星が再発見されたのは一世紀前だが、以来ずっと開発局の指導の下、影響を最小に留めるよう観察が続けられた。この惑星はそれほど特異なものなのだ。さらに言うと、干渉は確かに認められるが、すでにこの惑星の政治状況に組み込まれている。我々が新たな動きを行えば、それもまた新たな干渉を生む」


 大尉は眉を顰めた。

「何もしないのですか? このように明らかな干渉があるのに?」


「何もしない、というのではない。我々は軽々しく動けないのだ。すでに状況は流動的だ。うっかりした行動をすれば、ますます悪くなる事態が考えられる」

「しかしそれでは……」

「まあ、待ちなさい。何もしない、というのではない。手は打ってある」


 松田大尉は、きょとんとした表情になった。

「どういうことですか、それは?」


 こつこつ、と扉の向こうから合図ノックがあった。松田大尉と、中佐は同時に扉に眼をやる。

 中佐が頷き、口を開いた。


「どうやら、到着したようだ。どうぞ!」


 中佐の声に扉が開いて、一人の人物が姿を現した。

 革製の陣羽織、紺色の伊賀袴、派手な色合いの服装の男がそこに立っていた。男の頬には目立つ傷跡が走っている。その傷跡が歪み、男はにやりと笑った。

 中佐は大尉に向き直った。


「紹介しよう、緒方上総ノ介の配下、木戸甚左衛門殿だ」

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