回想~少佐~
銀河帝国の首都「洛陽」市は人類の発祥地、地球にあり、その人口は軽く三億を越える。
行政府の中心に位置するのは監察宇宙軍本部で、緑に囲まれた皇居を守るように、その建物は聳えていた。
が、上野三郎太少佐の勤務する情報部はひっそりとした一角にあり、普段は人の出入りもほとんどない。
少佐は情報部の入口に立ち、じっと人物同定検査が終わるのを待っていた。宇宙軍の制服は着ておらず、平服である。目立たない背広に、帽子を目深に被っている。
やっと検査に合格し、扉が開いた。
人気の無い廊下を進み、指示された部屋へと向かう。
扉を開けると、簡素な椅子がぽつんと置かれ、少佐を迎える。少佐はなんの躊躇いも無く椅子に腰掛け、楽な姿勢をとった。
飾り気の無い壁が輝き始め、画面が展開して一人の男が姿を見せた。恰幅のいい体格で、宇宙軍の制服を着ている。襟章には大佐の階級が光っている。大佐は口を開いた。
「上野三郎太少佐だね? 早速だが、君にある任務を伝えることになる。この任務は、第一級の守秘義務があり、君には拒否する権利が与えられる。だが拒否した場合、ここで君が見聞きした記憶は消去される。判っているだろうが……」
少佐は頷き、大佐の言葉を遮った。
「判っております。守秘義務のことも……」
大佐は肩を竦めた。上官が話しかけているときに、それを遮るなど言語道断である。だが、情報部員にはそれくらいの自主性は認められているので、咎めることはできない。
画面が切り替わり、宇宙空間から眺めた惑星の景観になった。真っ黒な背景に、青と緑に彩られた惑星。見かけは地球そっくりだが、人類の居住可能な惑星はみな同じに見える。




