表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/73

革靴

 店へその南蛮人が姿を表したのは、開店して程なくの、まだ朝の早い時間であった。店には朝早くの客に供される早朝定食モーニングを目当てに来店者が卓について、半分ほどの入りである。


 からん、と店の扉に取り付けられた土鈴が鳴って来客を報せる。その音に、白い南蛮前掛エプロンけを身につけた給仕の娘が元気良く「いらっしゃいまし!」の声を上げた。

 が、姿を表した客に、娘は思わず立ち止まり頬を赤くした。


 南蛮人である。しかも女だ。


 意外な来客を見て、店のざわめきがぴたりと止まった。客たちは好奇の視線を南蛮人の女に送っている。


 伽羅シルク南蛮服ドレスに膨らんだ垂下穿スカートき、黒い革靴の女は、眉間に皺を寄せ、険しい表情で立っている。

 背が高く、五尺五寸はありそうだ。細面で、流れるような金髪が背中にかぶさり、抜けるような白い肌に、青い目をしていた。


 女は給仕の娘に短く声を掛けた。


「二階へ向かいます。よろしいですね?」


 切り口上のような口調に、給仕の娘は慌てて頷いた。南蛮人の女は返事を待たず、さっさと階段を登っていく。


 かつ、かつと女の革靴の底が鋭い連打音スタッカートを立てて登っていく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ