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敦盛

 上総ノ介は隣に控えている狂弥斎を見やった。


「狂弥斎! それでは例の計画、始めようぞ!」

 南蛮人は微かに頷いた。

「いつでも出発できます……。後は、殿のご命令を待つのみ」

 相変わらずひそひそとした喋り方である。軽く一礼をすると、狂弥斎は静かに階段を降りていく。それを見送り、甚左衛門は上総ノ介に訊ねた。


「殿、本気で御座いますか?」

「ん?」と上総ノ介が意外そうに甚左衛門を見た。

「そち、まだ信じられぬのか?」

「はあ……」


 甚左衛門は恐縮した。上総ノ介の胸で「人生五十年……」と敦盛の一節が聞こえてくる。上総ノ介の移動行動電話の着信音である。取り出し、耳に当て上総ノ介は大きく頷く。


「用意ができたようじゃ」


 上総ノ介は窓に身を乗り出す。甚左衛門も身を乗り出し、外を眺めた。


 城の外観は大きく変わっている。城の中庭は総て木の板に覆われ、そこから巨大な帆柱が突っ立っていた。


「帆を揚げ──っ!」


 城のあちこちで水主かこが声を上げる。この計画のため倶鬼くきから呼び寄せた御仁おに衆たちだ。

 青光りした身体に頭から突き出した二本の角。傀儡くぐつに負けず劣らず怪力の持ち主である。帆柱には無数の御仁衆の水主が取り付き、緒方家の家紋である九曜星を染め抜いた三角帆を広げていた。


 ごとごとごと……と、城の全体が震えだした。


 風を感じる。


 外の景色が動いている。城が動いているのだ。

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