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添付画像

 ぶるぶるという震動に、木戸甚左衛門は懐を探った。移動行動電話ケータイの着信だ。画面を開くと電子矢文メールが一行「見ツケタ!」とある。信太屋敷に残した賽博格サイボーグの目玉が連絡を寄越して来たのだろう。


 急いで添付されている画像を開くと、時姫の息子の時太郎がはっきりと画面に捉えられている。


 ふっと甚左衛門は頬に皮肉な笑みを浮かべる。生憎だが、もう時太郎は自分にとって関わりのない相手である。今の甚左衛門は、いるかいないか判らない【御門】のことより、新たな展望に突き動かされている。


 空を飛ぶ船……。


 南蛮人はその船に乗り、光の速度よりさらに早くそらを旅するという。そのことを聞かされた時、甚左衛門の胸に南蛮人の船に乗り込むという熱情が生まれたのである。


 おれの器にとって、この星は狭すぎる……。


 気負いも無く、そう思う。


「甚左衛門!」

 甲高い緒方上総ノ介の声に甚左衛門は「はっ」と短く返事をして、するすると階段を駆け上がり、天守閣へと登っていった。

 八角形の破槌はづち城天守の窓近くに、上総ノ介が夕日を浴びて立っている。その側には南蛮人の狂弥斎という男がひっそりと控えていた。


「京の二輪車うま揃え、準備は進んでおるか!」

 甚左衛門はさっと膝をつき、畏まった。

「言うには及ばず、準備はおさおさ怠り無く、今頃は藤四郎殿の手配りにより、都大路に麾下の将が集合いたしおり候……」


「うむ」と、上総ノ介は大きく頷いた。上機嫌である。


 ぐっと身体を乗り出して窓越しに彌環びわ湖を見下ろした。湖面にはぎらぎらとした夕日が反射し、天守閣の内部を赤々と照らしていた。

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