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屋敷
道々、時太郎は信太屋敷の場所を尋ね歩き、ようやく屋敷跡に辿り着いたのは、夕方近くになってからだった。
「これが、そうか……」
それきり、言葉を失った。
まさに屋敷は廃墟そのものだった。
正門の屋根には苔が生え、雑草が生い茂っている。屋敷を取り囲む塀にはあちこち崩れが見え、門の扉は外れて内側に倒れこんでいる。
屋敷の中に入り込むと、荒れようはさらに酷い。
胸まで達するほどの雑草が生い茂り、庭園の木々は鬱蒼として日差しを遮っている。
時太郎は、屋敷の縁側に腰を下ろした。隣にお花と翔一も座る。
時太郎は黙り込んでいる。
お花は焦れて声を掛けた。
「ねえ、これからどうする?」
「判らない」
時太郎は首を振った。
ともかく母の住んでいたという屋敷に辿り着いたはいいが、これからどうするなど、考えたこともなかった。