届かなかった手紙
短編です
ある日の昼休み、ユリちゃんから呼び出された。
「ナカムラ君、急にごめんね」
「いや、いいよ。・・・で、話って?」
もじもじと頬を赤らめるユリちゃん。もしかして、これは・・・告白イベントか!?ずっと好きだった隣のクラスのユリちゃん。俺みたいな男にも微笑みかけてくれる優しい子。まさか、そのユリちゃんが、お、俺に!?
「コレ、・・・コバヤシ君に渡してほしいの!」
ユリちゃんの手には、ハートのシールのついた封筒が握られていた。
「コバヤシ・・・、今日休みだけど」
「わかってる、でも、渡してほしいの!お家近所でしょう?あ、絶対開けないでね!」
コバヤシかぁ・・・。
「おっけ~。渡しとくよ」
ユリちゃんに使える男だと思われたくて、俺はへらへら笑って快諾した。
くそう・・・コバヤシめ。なんでアイツばっかりモテるんだ・・・。俺だってルックスは悪くないと思うのに。でも確かに、コバヤシは優しいし、イケメンだし、爽やかだし、スポーツ万能だし、勉強は社会以外は基本的に上位にいる。今度の中間テストで社会科が80点を超えるようなら、俺はコバヤシとの友達関係を解消してやろうと今決めた。
家に帰って、カバンを開けたらユリちゃんの手紙が少し曲がってしまっていた。やばい。こんなクシャクシャの状態で渡したら、ユリちゃんに嫌われてしまうかもしれない。
開けないでと言われたけど、おなじ封筒を買って来て、手紙を入れ替えよう。
百円均一に向かって、ユリちゃんのと変わらない白い封筒を手に取った。そのあとはシール・・・と探して、ふと、コレ、ハートじゃなくて、星とかにして、好意の成分を減らしたら・・・、コバヤシもラブレターだと思わないんじゃ?いや、いっそのこと、渡さないってことも・・・できるのでは!?ユリちゃんには「ちゃんと渡した」って言えばいいし、ソレを確認する術はない・・・よな。コバヤシが貰ってないって言っても、俺は渡したって言うだけで・・・良いよな?
渡さないなら・・・中身見てもいいかな・・・。
俺は何かに誘われるように、封筒を開けた。いや、これは、封筒を入れ替えるためのものだから。そう、そのためだから、決して邪な気持ちではなくて!!
なんて心の中で言い訳をしつつ、封筒を開けると、ナカからモワモワと煙が出てきて、俺はそれを吸い込んでしまった。
「ゲホッゲホッゲホッ」
慌てて窓を開けて、換気をしたけど、いったい何が!?
出した拍子に開いてしまった手紙には、赤い字で大好きという文字がびっしり書き込まれていて、手紙の真ん中に黒い字で「さよなら」と書かれていた。おまけに小さな魔法陣を書いたような紙も入っていて、女子たちがよくやってるおまじない的なやつかな?
でも今のところ体に何の変化もない。煙吸い込んでびっくりしたけど、体に害はなさそうだ。
あれ、なんだかだんだん眠く・・・。
一日休んで学校に行くと、ユリちゃんと目が合った。
「あ、こ、コバヤシ君、おはよう」
「おはよう」
ユリちゃんは何か驚いたような顔をしてすぐに走って行ってしまった。可愛いなぁ。
クラスに行くと、今日はナカムラが居ない。
「あれ、ナカムラは?」
「まだ来てない。昨日はコバヤシで、今日はナカムラが休みか?」
「珍しい~。そう言えば昨日の夜、近所に救急車来ててさ~」
「なんだよ~事件?」
「音すげぇの!ナカムラ聞いてたかな~!」
後でナカムラに聞いてみよ~。
——愛ゆえの?——
「え~、みんなに残念なお知らせがあります」




