表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/57

第47話:用件


 犯罪組織『ロズワルド会』のマービーに、女が下着姿でポールダンスを踊る酒場に招待された。とりあえず、俺たちは自己紹介する。名前を告げただけだが。


「まずは『ザクスバウルの毒蛇』を潰してくれたことに感謝します。最近奴らはデカい顔で好き勝手にやっていたので、目障りだったんですよ」


 ガルブレナには犯罪組織が乱立していて、『ザクスバウルの毒蛇』はその一つに過ぎないらしい。組織同士は反目していたり、協力関係にあったりと、その関係は様々だ。


「それでマービー、あんたが俺たちに接触した目的は何だよ?」


「グレイさんは話が早くて助かります。単刀直入に言いますが、私たち『ロズワルド会』の客分になりませんか? うちがバックにつけば、あなた方にもメリットがあるでしょう」


「俺たちを組織の抗争に巻き込むつもりか?」


「抗争に加わることを強制したりはしませんよ。グレイさんたちが納得(・・)したときだけ、手を貸して貰えるだけで結構です」


 あくまでも客分だから、そこまで強い繋がりがある訳じゃなく、荒事(たらごと)が起きたときは参戦するかどうか、報酬次第で決めて構わないってことか。


「グレイさんたちは『ザクスバウルの毒蛇』を一夜で壊滅させたんですから、うちの客分になったからと簡単に手を出す馬鹿はいませんよ。むしろどこの組織とも関係ない今の方が、馬鹿に狙われる可能性が高いと思います」


 犯罪組織と繋がっていた方が、チンピラに絡まれることは少なくなるだろう。


「犯罪組織の片棒を担ぐつもりはないよ。喧嘩を売って来る奴は、叩き潰せば良いだけの話だ」


 レベッカたち『野獣の剣』のメンバーが頷く。ライラは冷めた目でマービーを見て、クリフは俺の言葉に顔を引きつらせている。


「そうですか……では仕方ありません。とりあえず、この話は諦めますよ」


 断ったら『ザクスバウルの毒蛇』のように、力ずくで来る可能性を考えていたけど、マービーにそのつもりはないらしい。


「うちはグレイさんたちと事を構えるつもりはありませんよ。今日はあくまでもお近づきの印に店に招待しただけです。どうぞ遠慮なく、好きなモノ好きなだけ注文しください。店の女を口説いても構いませんよ」


 最後の台詞にライラがマービーを睨みつける。


「勿論グレイさんとライラさんの邪魔をするつもりはありません。ライラさんほど美しい方はうちの店にいませんから」


「マービーも良く解っているようだな。さあグレイ、ここからは2人で楽しむとしよう」


 周りを完全に無視して、ライラが俺に抱きついて唇を重ねる。

 いつものことだけど、マービーは俺が女にだらしない奴だと思うだろう。俺が1人でいるときに、ハニートラップを仕掛けて来る可能性があるな。


 レベッカたちは本当に遠慮なく好き勝手に注文して、散々飲み食いしている。

 ガゼルとシーダは下着姿の女たちに普通に接客されている。ギースは両手に(はべ)らせた女に、ちやほやされて上機嫌だ。


 クリフは如何にもこういう店に慣れていない感じで、居心地が悪そうだ。女たちに敬語を使って、下着姿をチラチラ見て顔を赤くしている。クリフは女に慣れていないだけで、興味がない訳じゃないからな。


 ドアを叩く音がして、マービーの部下が部屋に入って来る。部下が耳打ちすると、マービーが立ち上がる。


「野暮用ができましたので、ちょっと失礼します」


「マービー、俺たちに関係があることか?」


 俺は魔力が感知できるから、この店に入って来た奴らに気づいている。


「さすがはグレイさんですね。他の組織の連中が、グレイさんたちがこの店にいることを嗅ぎつけたようです」


「だったら俺も行くよ。別に構わないな?」


「ええ、勿論です。他の方も好きにして下さい」


 俺たちは全員、マービーについて行く。部屋を出ると、店の入口付近にガラの悪い男たちが10人ほどいる。

 男たちの中心にいるのは、頬に傷があるライオンの獣人。身長は2m近く、太い腕はギース以上だ。


「おいマービー、『灼熱(しゃくねつ)(さそり)』のガンツ様が来てやったぜ!」


 『灼熱の蠍』ってのは別の犯罪組織だろう。


「ガンツさんが私の店に来るなんて、めずらしいですね。いったい何の用ですか?」


「惚けるんじゃねえ。俺様が用があるのは、てめえの後ろにいる奴らだぜ!」


 ガンツは値踏みするように俺たちを見る。


「『ザクスバウルの毒蛇』を壊滅させたって話だから、どんな奴らかと思ったが。何だよ、身体も小せえし、大したことねえな」


 ガンツは本気でそう思っているのか、俺たち挑発しているのか。


「なんだと、てめえ……」


「喧嘩を売るなら相手になる」


 どっちにしても、ギースとレベッカが真っ先に喧嘩を買った。


「ギース、レベッカ、ちょっと待って! もう少し話を聞こうよ!」


 クリフが2人を止めるけど。


「いきなり来て、好き勝手に言うなって。俺たちに興味が失せたなら、臭い口で喋っていないでさっさと帰れよ」


 喧嘩を売られて、俺も黙っているつもりはない。


「ほう……言うじゃねえか。てめえがこいつらの頭か? 腕っぷしに自信があるなら、俺が試してやるぜ」


 ガンツは腕を前で構えて筋肉を隆起させる。力に相当自信があるようだな。


「マービー、店を壊すつもりはないから構わないか?」


「仕方ありませんね。グレイさん、好きにしてください」


 マービーは苦笑しているけど、俺たちが他の組織と敵対するのはマービーも望むところだろう。俺はガンツの方にゆっくりと歩いて行く。


「近くで見見ると、思った以上に小せえな。良いぜ、一発先に……」


 ガンツが言い終わる前に、腹に拳を叩き込む。勿論手加減して吹き飛ばないように、(ねじ)じり込むように力を伝える。

 拳が腹にめり込むと、ガンツは白目を剥いて崩れ落ちた。


ここまで読んでくれて、ありとうございます。少しでも気に入って貰えたり、続きが気になる方は、【評価】とか【ブクマ】をしてくれると嬉しいです。下の星マークで評価できます。

☆☆☆☆☆→★★★★★

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ