表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/26

第12話:ハンターズギルド


 俺とクリフは辺境地帯を抜けて、竜人の国カイスエント帝国の隣国、聖獣の国ゴーダリア王国に辿り着いた。

 ゴーダリア王国はフェンリルが支配する国で、人口の大半は獣人だ。


 ゴーダリア王国の一番西にあるキャトルの街。ここにはジャスティアの城塞にいるときに何度も来ているから、少しは顔なじみの奴らがいる。


「へー……ここがゴーダリア王国の街なんだね。エリアザード辺境伯領の街と、そんなに変わらない感じだけど」


 反応を見れば解るように、クリフは初めてキャトルの街に来た。

 魔物の魔石や素材を売って買い物をするために来たときは、1人で移動した方が速いから、クリフには悪いけど一緒に連れて来なかったからな。


「クリフ。とりあえず金を作るために、ハンターズギルドに行くからな」


 ハンターズギルドとは、魔物狩りを仕事にするハンターと呼ばれる者たちを束ねる組織だ。仕事の斡旋と、魔石や魔物の素材の買取りを行っている。


「魔物の素材の買取りを頼むよ」


「グレイさん、いらっしゃい。グレイさんが持ち込む素材は良いモノばかりだから、大歓迎ですよ」


 美人というよりも可愛い感じの受付係が笑顔で応える。

 俺はこれからグレイと名乗ることにしたから、ハンターズギルドにもグレイという名前で登録した。


 ちなみに俺が売った魔石と素材は、辺境地帯の魔物のモノじゃない。

 そんなモノを売れば騒ぎになるってシェリルに言われたから、昔狩ったまま『収納庫(ストレージ)』に死蔵しているモノを売っている。


 街で生きて行くには金が必要だけど、ジャスティアのところにいるときは酒と食材を買うくらいしか金を使わなかったから、そんなに金は必要なかった。

 だから辺境地帯に行く前に倒した魔物の魔石と素材が、まだたくさん残っている。


「クリフ、おまえもハンターとして登録しておけよ。ハンターの登録証は一応身分を証明してくれるから、持っていると便利だぞ」


「そうなんだ。だけど僕はゴーダリア王国のお金をまだ持っていないからね」


 カイスエント帝国とゴーダリア王国では流通している貨幣が違う。

 カイスエント銀貨とゴーダリア銀貨では価値が違って、カイスエント銀貨をゴーダリア王国で使うことはできない。両替商で手数料を払って交換する必要がある。


「魔物の素材を売って金が入ったから、それくらい俺が払うよ」


「ダメだよ、グレイ。お金のことはキッチリしないと」


 クリフは真面目だからな。とりあえず俺がクリフに貸すという形で、ハンターの登録料を払うことになった。

 ちなみにクリフが俺をグレイと呼ぶのは、事前に打合せしたからだ。


 ハンターに登録すると言ってもやることは簡単で、用紙に名前を書いて名前が刻まれたプレートを貰うだけだ。このプレートがハンターの登録証になる。


 俺たちがハンターズギルドに来たのは夕方。ハンターズギルドに併設された酒場は、仕事を終えたハンターで席が半分以上埋まっている。


「よう、グレイ。1ヶ月ぶりか?」


 獣人じゃなくて、人間の男が話し掛けて来る。無精髭の20代後半。こいつはカイラム・ローラン。知り合いのC級ハンターだ。


 ハンターは功績によって等級が上がる。一番下がF級で一番上がS級の7段階。カイラムはちょうど真ん中の等級ってことだ。


 ちなみに俺は月に1回程度、魔石と魔物の素材を買い取って貰うために来ていただけだから等級はF級のままだ。


「カイラム、あんたは相変わらず仕事もしないで飲んでいるのか?」


「馬鹿言うなよ。今日の仕事はキッチリこなしたぜ。それよりもグレイが他の奴と一緒だなんて、めずらしいな」


「僕はクリフと言います。グレイの友だちで、さっきハンターになったばかりです。右も左も解りませんが、どうぞよろしくお願いします」


 クリフが俺の友だちと言ったのは、これも事前に打合せしたからだ。余計なことを言うと説明するのが面倒だからな。


「おう。俺はC級ハンターのカイラムだ。グレイとは知り合いってところだ。よろしく頼むぜ」


 クリフの丁寧な挨拶にカイラムが戸惑っている。魔物を狩るハンターなんて仕事をしてるい奴は、言葉よりも先に暴力って連中が多いからな。


「マスター、俺とクリフに酒と料理を適当に頼むよ」


「グレイ、ここの支払いも後で払うからね」


「ああ、解っているって」


 ホント、クリフは真面目だよな。


 俺とクリフはカイラムがいるテーブル席に座る。カイラムと初めて会ったのもこの酒場で、俺を人間と勘違いしたカイラムの方から声を掛けて来た。


 竜人が人の姿をしているときは、見た目で人間と区別がつかない。竜人がゴーダリア王国のハンターズギルドに登録する筈がないから、俺はそのまま人間で通している。


 ゴーダリア王国はカイスエント帝国と隣接しているから、それなりの数の人間がいる。だけど2つの国が交流しているのは、両国を繋ぐ街道がある南部だ。


 キャトルの街がある北部は辺境地帯が2つの国を隔てていて、交流がないからこの辺りに人間の数は少ない。だからカイラムも数少ない人間のハンターだと思って、俺に声を掛けたんだろう。


――――――――――――――――――――

ちなみに、この世界の獣人は頭の上の耳と尻尾が生えている以外は、ほとんど人間と変わらない姿をしています。爬虫類系の獣人もいますが、例えば蛇の獣人は目が蛇で舌が長いだけなど、やはり見た目は人間と大きな差はありません。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ