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事件簿その3

「活動再開だ!みんな集まれ。」

 ボスの掛け声で、ミンファ、シード、ソレラの三人は、集まった。GWも終わった。まずは、会議だ。

 昨日、また中学一年生の美紀ちゃんが、暗い顔をして帰ってきた。何かあったようだ。


 みたび、われらの出番だ。われらは、原因の究明を行った。シードとともに、美紀ちゃんの夢に潜入だ。


美紀ちゃん、どうしたんだい?」ボスが尋ねる。


『妖精さんたち、来てくれたの?あのね。』


 原因は、ごみ箱の手紙。昨日、5時間目が始まる前、小学校からの友達の愛子ちゃんが、一枚の手紙をもって相談しに来た。愛子ちゃんの悪口を書いたうえに、まわりじゅうに「ばか!」「ばか!」と書いてある悪質な手紙だ。これをゴミ箱で見つけた別の小学校出身の朋美ちゃんが持ってきて渡してきたのだという。いじめ?なぜ愛子ちゃんの悪口が?これは、複雑な問題だ。


 『誰がこんなことをしたのかしら?これ、いじめなの?愛子ちゃんは、こんな手紙もらうような子じゃないのに。クラスの子かしら。それとも先輩?男の子?女の子?』


 疑問は、次々にわいてくるけど、われらは、答えることができない。


「絶対、犯人を見つけてあげるからな。これは、すぐには解決できない。しばらく、まってておくれ。」ボスが約束した。


 早朝、われらドレミファ探偵団は会合を行った。方針は決まった。今回は、広範囲の聞き込みが必要だ。

 「行ってきまーす!!」

 美紀ちゃんが出かけた。自転車登校も板につき、いくぶん疲れ気味に学校に向かう。五月病が気にかかる。自転車小屋に自転車を停めて、

 「おはよーっ」友達とあいさつを交わしながら、校舎に向かっていく。これなら大丈夫か?


 昼休みの教室。美紀ちゃんは、愛子ちゃんと話している。

 「昨日の手紙、誰が書いたかわかる?」

 「うん、入学式の次の週にケンカした塁ちゃんだと思う。でも、そのあとすぐ仲直りしたのに。」

 おや?どうやら、こいつが重要参考人その1だな。そして、証拠不十分だ。どうやってこいつらをサツに訴えればいいのだ?


 妖精にできることは限られている。美紀ちゃん、今回は、ちょっと時間がかかるぞ。まずは、塁ちゃんについていって状況確認だ。夢の中で、よーく話を聞かねば。


 『うん、愛子ちゃんとは小学校違うけど、入学式で仲良くなっていっぱい話したよ。でも、小学校の友達から愛子ちゃん、私の小学校の悪口言ってるって聞いたの。それで、頭に来て、愛子ちゃんの悪口書いた手紙をたくさん机に置いたの。』


「本人でなく、人が言ったことを真に受けちゃだめだよ。確かめなきゃ。」


『うん。よく聞いたら、愛子ちゃんは、悪口じゃなくって、私の小学校の子は、よく日に焼けて元気そうでいいねって言ったんだって。それを友達が、いなかもんで真っ黒だって言ってたって私に言っただけだった。小学校の先生が、初めて会う友達とは誤解が起こりやすいから気をつけろって言ってたの。後から思い出した。』

(……。)

『それで、いらなくなった悪口の手紙、ごみ箱に捨てたの。』

「そんなもの、人が見るかもしれないところに捨てちゃだめだよ。しかも、「ばか。」「ばか。」なんて、たとえケンカしていても、書くものじゃない。」

『うん。ごみ箱から取り出して、本人に渡す子がいるとは思わなかった。でも、わたし「ばか。」なんて書いてないよ。』

(……。)


 そうなると、重要参考人2に当たらねば。次の日も中学校に登校だ。

 次は、朋美ちゃんについていって状況確認だ。夢の中で、よーく話を聞かねば。


『あ、あの手紙?私が、ごみ箱で見つけたの。ちゃんと愛子ちゃんに渡したよ。そのまえに、私も「ばか」「ばか」って落書きしたけど。ちょうど、はら立つことあって、ぷんぷん気分だったから塁ちゃんの手紙に付け加えておいたよ。これで、二人のケンカが長引いて、面白いでしょ?』

(……。)

 いや、あきれている場合ではない。われらは、四人でこんこんとお説教を繰り返した。だてにトシはとっていない。しかし、本気で反省するまでに3日もかかった。


 状況を、美紀ちゃんに納得してもらうのに1日。どうやって愛子ちゃんと、塁ちゃんと、朋美ちゃんに納得してもらうかの会議に1日。


 一週間後、三人は、美紀ちゃんの前でお互いに自分のどこが悪かったかをいって、お互いに謝った。しかし、小さな心の傷は残った。われらが関わらなければ、心の大けがだ。美紀ちゃんも、がんばった。


 なんとか、一件、落着。こんな行き違い、たくさんあるだろうな。これからも、しっかり見守っているからな!



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