ハズレ異能『陰』の不遇アイドルは、なぜか裏社会で頼られてしまう。～アタシはステージで輝きたいのであって、最強のエージェントになりたいわけじゃありません！～

　――２０XX年！
　世界は核の炎に包まれなかったが、大いなる変革期を迎えていた。世界各地に現れた『異能』と呼ばれる特殊能力を持つ、不思議な者たち。同時多発的に出現したそれによって、世界各国では熾烈な研究競争が始まった。
　だが時は流れて、異能という存在が当たり前になった日本では、他の国と比べてまさに異色な職業が誕生していた。
　その名も――異能アイドル！
　彼女たちは自身の異能を用いて、ファンたちを虜にしていく。そんな輝かしい世界に、一人の少女が飛び込もうとしていた。

　少女の名前は朱鷺坂スズメ。
　アイドルとしては完全にハズレの『陰』という異能を持つ彼女は、どんな奇跡かとある事務所のオーディションに合格した。アイドルとして一歩を踏み出した彼女であるが、当然『陰』の異能のせいで目立たない。

　そんなある日、スズメは社長に呼び出される。
　いよいよ解雇かと思っていると、社長は裏社会で働かないかと持ち掛けてくるのだった。

「アタシはアイドルがしたいの！　裏社会で最強とか、そんなの求めてません！！」

　だが、そんな彼女の思いとは裏腹に。
　一人の少女を救うため、スズメはその世界に足を踏み入れるのだった。

　
※Ｒ１５と残酷な描写は保険です。