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TS若返り傭兵は旅をする  作者: Aa_おにぎり
七両

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88/337

#88

食堂車を繋いで目的地に向かうスフェーンは出発した街でいくつか細々とした依頼を数件受けていた。その為、途中で停車することがあった。


『間も無く、目的地です』


貨物ターミナルに入る分岐点を確認し、ゆっくりと進入を行なって途中の貨物ターミナルに到着する。


「停車時間は五時間です」

『了解』


ヤサカは停車中に必要な材料を買いに行くと言うことで駅舎で一旦降りると、スフェーンはコンテナヤードで積んでいた貨物を下ろす作業を行う。

視界の先では突放したトリコロールカラーのク5000にアンドロイドが乗り込んで足踏みブレーキを掛けて減速をすると先に停車していたク5000の列車に連結される。


「五時間か…」


長めに設定しておいたとは言え、その間にやれる事も少ない。

すでに部屋の整理と掃除は終わらせており、私室含めオートマトン格納庫も整頓をしていた。


「オートマトンか…」

『最近は出番も減りましたね…』


新しく購入をした列車防衛用のオートマトン。最近はその出番も少なくなっており、武器も使わない物は処分していた。


「やっぱアレが強すぎるんよな…」


そう言い列車の武装区画の一つに入っている武器を思い返す。


『戦術E兵器ですか…』

「いやぁ、貰ったは良いけど。実を言うと最近はそれすら使わなくなって来ていると言う…」


そもそも複合型CIWSのおかげでそんなに危ない場所も走らないスフェーンの列車は野盗の襲撃に簡単に対応できた。


『そもそも指名依頼でも危険な路線を使わせないですからね』

「危険な線路使うの大体アングラな物混んでいる時だし…」


そもそも自分の場合、指名依頼を受けた時は必ず事前に料金を全額渡すよう言っている。


指名依頼と言う特殊な事態に対し、運輸ギルドは徹底的な非介入と個人情報保護を謳っており。あくまでも仲介に徹するのが役目であった。

故に禁制品を運んでいたとしても運び屋自身は依頼主との関係がなければ軍警に逮捕状を突きつけられる事もない。


そもそも禁制品というのは漏洩した場合や世間に広まった際に多大な事件や問題を引き起こす恐れのあるもの、もしくは過去にそう言った事態があった際にリストに加えられる品物のことである。

主なもので言えば化学兵器や各種培養液と言った過去に事件や事故を引き起こした品々であり、禁止される理由も当然理解できた。


『そう言った品を運ぶことも早々ありませんしね』

「おん」


指名依頼で運ぶ品物の大半が会社の制作した何かしらの試作品や緊急性のある商品などである。

前者の場合は偶にライバル社が送り込んだ野盗の襲撃があるが、それでもオートマトンを出すのはごく一部であった。


「…」


スフェーンは格納されたオートマトンを見ながら少し考えると、取り敢えず列車を出て空になった車両の上で煙草に火を付けていた。






====






鉱山に入って三日が経過した。


「しっかし深い…」


額から垂れる汗を拭ってライルは呟く。


「仕方あるまい。元々タルタロス鉱山の深度は把握している深さだけで二〇〇〇メートル。最悪もっと降るぞ」

「そんときゃ俺は降りるぞ…」

「あぁ、気温だけで65℃を超える。ここからは俺とアンドロイドだけで行く」


隣で座って休憩するロトはそう答える。

現在の気温は35℃、地下はおよそ一五〇〇メートルまで降りていた。


「大丈夫なのか?」

「何、防護服は持って来ているさ」

「写真を撮るのも忘れるなよ」

「無論だ」


そう言うと彼は体の冷却装置を付けた上で冷却用の循環液と酸素ボンベを付けた防護服を着て付き添いのアンドロイドと共に先に進む。

崩落したとは言え、ある程度の場所からオートマトンが通れそうな程の通路が開けており、そこが岩盤であった事は成分分析で判明している。


この気温で既にライルは疲労困憊で倒れそうであったが、気温を気にしなくていいアンドロイドが羨ましいと思いながらも同時にロトの現場主義故についたのだろう気力と体力に舌を巻いていた。


「さて、俺はしばらくここで休憩をしていますかね…」


そう言い彼は腰に下げていたアクエリアスの粉末を水に溶かしてボトルごと振っていた。




坑道は途中から岩盤に覆われた極めて堅牢な通路となってくれたおかげである場所から非常に歩きやすくなっていた。

ただし視界はゼロに等しい闇であるので、サーマルすら機能しないこの場所では手元と頭のライトが唯一の灯りであった。


「可笑しい…」


そんな中、ロトは溢す。すると横にいたアンドロイドも言う。


「かつてここはエーテルが埋蔵されていた場所。エーテル光があってもおかしくはないと思うのですがね…」

「あぁ、一切反応がないな…」


エーテルにはそれ事態に発光する機能があり、エーテル鉱山ではエーテル光を頼りに鉱脈を探す事もあった。


「後ろの通信は?」

「問題ありません」


そう言い、アンドロイドは自分の腰部から尻尾のように伸びている黒いコードを確認すると、ロトは短く頷いた。


「足元にも注意しないとな…」


そう言い、手元のライトを足元に向け、それを目に向ける。


「おっと…」


ライトの先では崩落した岩々が通路の半分を塞ぐように崩れており、ロトは空いている隙間にライトをやる。


「行けるか?」

「岩盤は先まで続いているようです。行ってみましょう」


成分分析で坑道の天井の岩盤の成分を見て安全性の確認をとっていると、ロトは背中からスネークロボットを取り出すと空いている通路の奥の様子の偵察を行う。


「検索、現在の外気温」


音声検索でコンピューターは防護服の外の気温を計測する。


『現在の外気温は58℃、人体の活等圏外です』

「空気は?」

『現在の外気成分は窒素八五パーセント、二酸化炭素二パーセント、酸素一パーセント、アルゴンやその他約十二パーセントです』

「とても人間が生きていけるような環境ではないな…」


ロトはそう溢してスネークロボットの灯りを確認して安全性を確認すると彼は岩を乗り越えて先に進む。


「酸素は?」

『現在、酸素ボンベ残量は九八パーセント。活動可能時間の計算を開始します』


酸素ボンベの残量から残りの活動時間の計測を開始すると、ロトの視界にタイマーが表示される。


『活動可能時刻は六時間三分です』

「…先に進むか」

「時間的に残り三時間になったら戻りましょう」

「あぁ、そうだな」


ロトは頷くと二人はそのまま洞窟を進んでいく。


「しかし…」

「どうかされましたか?」


ロトは足元に細心の注意を払いながら溢す。


「改めて自分の育て親がいるかもしれないと思うと、恐ろしくな…」

「…」


そんな彼の呟きにアンドロイドはどう返そうかと思っていると、


「良いさ、そんな困った顔をして貰われてはね」

「そうですか…」


アンドロイドは少し悲しげにした様子でロトを見る。

彼らに親と言える存在は居ない。彼らの生まれは工場であり、個々に搭載された電脳は最初から数多の情報を抱えており。人間の補助や協力のためにその身を奉仕できるように設定されている。


泣いたり笑ったりと言った動作ができ、人と同じ立場で暮らしている彼らが唯一人間と隔てているのは、アンドロイド達はあくまでも電脳やインターネットに上がった情報を元に動いていると言う点である。


基本的にアンドロイドは小柄な人型のみであり、ターレットやオートマトンに電脳が移動する事はない。


アンドロイドの電脳は全く同じものが二つあると互いに認識のずれが生じ、最終的に双方精神崩壊を引き起こして電脳が消滅する為、アンドロイドの禁忌とされており、死刑判決を受けたアンドロイドの処刑方法にブレイン・コピーというものが存在しており、これはアンドロイドの中で最も重い死刑方法と言われている。


「さっ、先を行こうか」

「そうですね」


ロト達は一旦止めていた足を進めると、そこでロトは暗闇の先に見えた違和感を感じた。


「?」


ロトは視線の先に映る違和感に指を差した。


「あれ、何だ?」

「ん?」


ロトに指摘され、斜め前下を同じく見るアンドロイドはそこで見た不思議にすぐに視界を暗視装置に切り変えた。


「っ!灯りです」

「エーテル光か?」

「発光の仕方が過去の履歴とほぼ同じです」


ロトも暗視装置に切り替えるとそこから溢れる光をバッチリと捉えると、足元の崖に目をやった。


「崖か…」


そこで足元の石を下に軽く落とし、落ちた時の音を観測する。


「十メートルくらいだな」

「ではハーネスを取り付けます」

「頼んだ」


早速崖に電磁式パイルバンカーを深く撃ち込んで支柱にし、後方に連絡を取ってアンドロイドを送ってもらうように言い、ローブとカラビナを用いて簡単な降下装置を作成するとそこからロトとアンドロイドは一人ずつロープを伝って降りる。

そしてエーテル光の漏れる場所を目指して歩くと、


「…」


その空間はある種の禁足の地のように見えた。


「っ…」


周りにエーテル光が溢れ、自分たちの立つ空間には岩で押しつぶされたターレットやオートマトンの残骸が残っており、崩落事故に巻き込まれたのだと推測できた。

ちょうど自分たちのいる場所が崖の上のようになっており、岩が突き出ていた。


「これは…」


そんな岩に潰されたターレットやオートマトンの中、数台のオートマトンが頽れていた。

ただそのオートマトンは塗装や装甲が焼けこげており、機体には腕を穿つほどの巨大な穴が空いていた。

中を見ると、そこには白骨化した一部体の無い遺体が座り込んでいた。

その遺体はドッグタグが残っていたので、ロトはそれを回収する。できれば他のオートマトンの残骸も退かしていきたいところだが、そもそも入り口で散々苦労していたのでオートマトンと言った作業用機械を持ち込むのは不可能に近いだろう。


「破口からの計算で20mm〜40mmと推測します」

「角度的に乱れ撃ちが当たったんだろうな」


貫通した破口を崖上の突き出ている方から見るとそこで地面に埋まった砲弾らしき物を見つける。


「これは…」

「砲弾形状から40mm電磁加速砲と推測できます」


砲弾を見てアンドロイドは即座に返答すると、ロトは少し息を呑んだ。


「今の外の様子は?」


少し緊張を抑えるためにロトは外の状況を聞くと、計測器は答える。


『現在の外気温は28℃。空気成分は窒素七五パーセント、酸素二三パーセント、二酸化炭素他成分は二パーセントです』

「外の空気とほぼ同じだと言うのか…」


そこで恐る恐る防護服のヘルメットを取ると、涼しい風が首元を通り、地上とほぼ変わらない…それよりも良い心地よさを覚えた。

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