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TS若返り傭兵は旅をする  作者: Aa_おにぎり
四両

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17/336

#17

砂漠の大都市ウリヤナバートル、そこでは多くの富豪が住まい。豪勢な生活をしながら、大量の従業員やその下の最下層の人間を取り仕切る。


金融都市のウリヤナバートルは物や金が集まる場所であり、それに比例して貨物輸送も増えている。


多数の企業が鎬を削って一つの都市を発展させており、街にはこれでもかと広告が並んでいた。


そしてルマリテなどと言った周辺の中規模都市はこのウリヤナバートルに財をもたらし。鉄路を用いて訪れる人々の為の休憩所として作られていた。


砂漠の中のオアシスに作られる村々はそこに数少なく自生する植物を糧に牧畜や畑作を行って生きていた。






「〜〜♪」


軽く鼻歌を歌うスフェーンはこの街を起点とし、ギルドで仕事を受けて荷物を運び、依頼料の金を受け取る。

早急に手に入れるべき簡易キッチンセットはどれを買おうななどと考えながら運転をしていると、ルシエルから報告が上がった。


『未確認機を確認。数六』

「コレは……野盗だろうなぁ」


スフェーンは砂漠の砂丘の中の鉄路を走りながらそう溢すと、スフェーンは運転室から離れる。


「運転は任せた」

『了解です』


後ろのオートマトンに乗り込むと走行中の列車から天蓋のロックを外し、真ん中から格納庫の部分だけオートマトンが起き上がると、スフェーンはバックパックに装備された25mm自動小銃を確認しながら列車から飛び降りた。


「さて、一仕事と行きますか」


砂漠に降りたスフェーンはそのまま背中のエンジンを吹かして一旦飛ぶと、上から小銃の引き金を引いた。


『何だっ!?』

『くそっ!襲撃だ!!』


上からの奇襲で一機を的確に破壊し、左手に超音波ナイフ。右手に25mm自動小銃を持って接近する。これが30mmだったら両手持ちだった事だろう。


「よっと」


そして腕を振って飛んで行く鋼鉄のワイヤー付きの超音波ナイフは一機のオートマトンに命中すると、同世代の別会社のオートマトンの脚部を破壊する。


『うわっ!!』

『くそっ、一機相手に何手間取ってやがる!!』


綺麗に破壊された腰部に機体の姿勢が追いつかず、砂漠の砂に埋もれるオートマトン。ワイヤーを引っ張ってナイフを回収。残るは四つ。


「ウチを襲うんだ。適当に撃って死んでも構わんよな?」


そして四脚の多脚戦車の胴体に25mmを撃ち込むも、自前の装甲で弾かれ。逆に旋回した砲塔から120mmの機関砲を撃たれる。


「おっと」

『馬鹿め!戦車をオートマトンが破壊できるかよ!!』


剥がれた塗装や統率力から見るとこいつらは恐らく元PMCだろう。

バックパックで燃料のエーテルを消費しながら再び飛び上がると残ったオートマトンを狩る算段を立てる。


野盗の中にも多くの種類があり、犯罪組織に加入したゴロツキや倒産した会社のPMCや戦線から脱走したPMC。あとは傭兵をしながらと言う奴もいた。

ただまぁ、どんな過去があろうと野盗は全て自分の荷物を狙うゴミ屑という事だ。


ーーーーッ!!


そして着陸する瞬間、飛んでは降りるをしていた時。地表に無数の弾丸が駆け抜け、コレにはスフェーンも思わずもう一度噴射して別の場所に着陸する。

何があったかと振り返ると、そこでは30mmガトリング砲を構える四脚の多脚戦車が居た。


「まーじか」

『こいつで細切れにしてくれるわ!!』


残っているのは二機のオートマトンと、四脚の多脚戦車二機。多脚戦車は120mm機関砲、もう片方は30mmガトリング砲を装備の、控えめに言って超ヤバめな状況。新米だったら撤退を選んでいる事だろう。


「さて、どうしたものかね?」


対応をどうしたものかと考えていると、


『スフェーン、準備が完了しました』

「おぉ、そうかい」


その時、ルシエルが言い。スフェーンは少し楽しげな雰囲気で目の前の四機を見た。


「武器は奪った方がいいか?」

『彼らの持つ武器に今の貴方に必要となり得る装備はないかと』

「ほら、重機関砲とかガトリングとかさ」

『武器を鹵獲して売却を行うにしても修理から始まると思われます』


鹵獲するなら弾倉で十分と言う意見を聞き、スフェーンはやれやれと思いながらもルシエルに伝えた。


「まあいいや、やってくれ」

『了解です』


するとその瞬間、対峙していた四機の傭兵と、擱座した一機のオートマトンの横全てを薙ぎ払うように遠くから飛んできた光線が一瞬で彼等を蒸発させ、同時に砂丘の一部を掠めて抉った。


「ははは、相変わらずスゲェ威力だ」


その正体は車両の元はガトリング砲のあった場所に取り付けた例の変態研究者が生んだ戦術E兵器だった。元あった武器は換金してスフェーンの懐にある。取り外しは頑張ってオートマトンを使って外した。元々ブロック式の武装なので簡単に取り外しができたのだ。


エーテルを消費する代わりにE兵器を発射可能なカノン砲形式のE兵器。

冷却に少し時間がかかる事や、発射の時に折り畳まれた砲身の展開やらで少々時間をとってしまうが、攻撃力は見ての通り。正直、一貨物列車の火力には些か過大であり。あの変態が会社から設計図ごと盗んだのも納得できた。


『あの研究者は、コレが量産される事で戦場が大きく変わることを恐れたのでしょうか?』

「ないだろ、エーテルに恋した奴だぞ?」


しかし、あの研究者はこいつを押し付けるようにスフェーンに渡してきた感は否めなかった。まぁ、元々列車の防護用以外に使う予定はないし、こいつを流した後に起こる事は予想できる頭はあるので流すつもりも無いが……。


「さて、街に戻るか」

『ええ、依頼の品物は鮮度が優先されるので急いだ方がよろしいかと』

「あぁ、そう言えば今日は冷蔵だったな」


軽く話しながらスフェーンは焼けてガラスになっている砂漠の一角を見ながら列車に戻った。






====






「あちゃー」


そしてウリヤナバートルに帰還後、スフェーンはそれを見て軽く愚痴った。


「穴空いてら」


列車に開いた銃痕を見て中の状態を確認する。きっとさっきのガトリングを持っていた野盗が撃った一発が当たったのだろう、列車に傷が付いていた。


「直さないとな」


そこで穴の空いた機関部の外装を外すと、中身を確認する。


「貫通はしているようだが……うげっ」


そこで見たのはパイプが傷付き、エーテルが漏れている状況だった。オマケに機関部を貫通して壊れている。動力分散式で複数のエーテル機関を装備しているこの列車だからこそ、ここまで走り終えていた。


『エーテル流出量はそれほど問題ありません。今のうちに修理をすれば大きな被害になりません』

「兎に角直さないと……」


機関部の蓋を取って確認をしていると、外で声をかけられた。


「何しているんだ?」

「あっ、マルシュ」


もはや見慣れた格好のマルシュが機関部に入っているのを見て声をかけてきたようだ。彼女とは何度か出会っており、偶に食事に誘ってくれることもあった。


「ちょっと機関部が壊れちゃって……」

「あぁ〜、銃弾が当たったのか」


漏れているエーテルや、穴の空いた機関部の外板を見て推測するとスフェーンは機関部に貫通していた事を話した。


「兎に角直さないと……」

「おいおい、自前で直すのか?」


マルシュはやや驚いた様子で聞き返すと、スフェーンは頷いた。


「一応、軽くの修理なら直せる技はありますので」


そう答えるとマルシュは呆れた様子で軽く頭を掻く。


「はぁ……お前さんの能力の高さは知っているけどさ。この状態なら、一回修理工場持って行った方がいいぜ」


そう言い、所々汚れの付いた車体を見ながら言う。目の前の少女は、恐らく色々な場所を巡ってきたのだろう、そういった汚れが溜まっていた。


「前に洗ったのは?」

「大体十ヶ月」


期間を聞いてマルシュは呆れた口調で言った。


「なら尚更だ。修理ついでに洗車してもらえ」

「えぇ〜、でも修理工場って詐欺をしている事が多いじゃ無いですか」


基本的に修理工場は支払われた代金から中抜きをして儲ける。なので品質の低い品を正規品に見立てて修理する民間のオートマトンの修理工場とかがよくあるのだ。


そして企業が運営している修理工場もあるが、そっちに行くと今度はオプションパーツをつけないかと色々と煩いのだ。

オマケに他社製品のを持ち込むと露骨に嫌な顔されるし、ひどいと値段の嵩増しや勝手に機関部を自社製品に載せ変えていこうとする。なのであまり修理工場に良い印象はなかった。傭兵時代もそれが嫌だったから自分で直していた事が多かったし……。


「修理工場の印象最悪すぎんだろ……」


そんな嫌がるスフェーンを見て親でも殺されたのかよと適当な事を考えつつもマルシュは言った。


「街の郊外に私もよく使う民間の修理工場がある。信頼できる奴だから、連れてってやるよ」

「本当ですか?」


マルシュの信頼している民間工場ならと言うことで、スフェーンは彼女の案内でその修理工場に向かう事になった。

今までの付き合いでマルシュにはある程度信頼が置けると判断したからだ。


「私が機関車で引っ張ってってやるから、連結の準備頼んだよ」

「分かりました」


操車場には多くのポイントがあり、ここら辺は個人所有の機関車が雑多に並ぶ区域だ。

そしてマルシュも個人所有の機関車一両を保有しており、スフェーンの貨物列車と違ってコンテナ車を借りる必要があるが、輸送力を簡単に増やす事ができる。


『行くぞ』

「はい」


前方にマルシュの機関車が停車し、スフェーンは連結器を開ける。通信を繋ぎながらスフェーンは白旗を振りながら停車位置まで誘導すると、旗を横に持って一旦停車させる。

運転室でマルシュは旗を確認すると、スフェーンは再度連結器が開いているのを確認して旗を下ろすと、ゆっくり前進して自動連結器が作動すると数回前後に軽く動いてしっかり連結されたのを確認する。


「問題ありません」

『よし、乗りな。送ってってやる』


今回は本格的な輸送では無いので、電源接続もなしにスフェーンは送って行って貰う事になる。


「よろしくお願いします」

『はははっ、律儀なのは良い事だよ』


窓越しにスフェーンはマルシュを見ると、彼女は運転台を移動して先頭方向に向くとマスコンを動かしてスフェーンの列車を引いて機関車を移動させ始めた。

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