第90話 魔王軍討伐作戦その⑦
一方、ヌル以外の他の隊員はというと、別の敵と交戦していた。
「おやぁ?これが、アルカディオンというやつかしら。初めて見たわ」
リンジー、マディリン、バナンの前にダークエルフが現れた。
ダークエルフは褐色肌で黒髪ロング、耳が尖っている。
リンジー達は途中、ガース、グイリオと二手に分かれたのだ。
ガース達は雑魚敵の討伐、リンジー達が親玉を討伐といったふうだ。
「2人とも気おつけて」
リンジーが言った。
しかし、マディリンは何かいけ好かない表情だ。
そして、バナンは感じ取った。
(あ……これ…まだ…喧嘩中だ…)
「それで、来るの?来ないの?」
カーナが挑発をしかける。
「もちろん、突破する!」
リンジーはヌルに感化されたのかかなりやる気モードだ。
「そう?じゃあ、行くわよっ!!」
カーナは両手に真っ白いサイコガンのような物を装備した。
「え?なにあれ?」
バナンが画像と共に司令室に送る。
「これ?ああ、これは私のスキル【創造】によって作られた武器よ。この前、リトヴァルキリーを襲った少年が所持していた物からヒントを得たのよ。たしか……ヘリルスだったかしら…あなか達と敵対している国よね?」
「だから?」
マディリンが言った。
続けて、カーナは、
「あら?怒らせてしまった?そうよね。ヘリルスから受けた傷はまだ癒えてないのかしら?」
バナンは操縦装置を力強く握った。
「黙れっ!!」
そう言い放って、カーナにアルカディオンを発進させていく。
バナンのアルカディオンは蜘蛛型だ。
蜘蛛型は機動力特化のアルカディオンで他のアルカディオンと比べた時に曲がりきれない所も曲がりきることができる。
「はあぁぁぁぁぁぁっ!!!」
バナンは勢いよくカーナに突進していく。
しかし、カーナは鮮やかに回避した。
それは、まさしく、アイススケーターのような軽やかな身のこなしだ。
「くっそぉ!!」
「あらあら、地雷を踏んでしまったかしら?そうよね。あなた達は昔、ヘリルスにいたんですものね。魔法の適性が無いあなた達はヘリルスから迫害や差別を受けた。そして、魔法が使えない劣等人種共が群れを作ってシーラを作った。それは、ヘリルスから得た武器で殺されたら屈辱ですよね」
「その減らず口を今!塞いでやるぅぅぅ!!!」
バナンが再び、突進を仕掛けようとした時、かつて無いほど冷静なリンジーが「待って!」と止めた。
「リンジー……?」
リンジーは通話越しに、
「バナン、少し感情的よ。あいつは私達から冷静さを奪おうとしているわ」
カーナはベロをだし、「知らない!」というような顔をした。
「よく見てよバナン。あれは、シーラで開発された機関銃にそっくりだわ。つまり、私達の方が文明は進んでいる。勝てないはずないじゃない?」
「うっ……それは、そうかも……」
リンジーは続ける。
「それと、マディリン!この間はごめん!」
マディリンは不意をつかれたので、少し戸惑った。
「え……?」
「そうだよね!ヌル含めて、私達でこのシーラを守るんだよね!」
マディリンはとうとう怒りという感情の消去に成功した。
「うん!私も無神経だったかも。ごめん!リンジー!」
リンジーは首を横にふる。
「うんうん。もう、いいよ。今は眼の前にいる敵を一緒にぶっ倒そう!」
リンジーには涙の中に笑顔があった。
「それじゃ、ダークエルフさん!精々死なないように」




