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第8話 蛇狩りに行こう

 ルーナの馬を森の入口の木にくくりつける。


「お前ら少し道を外れるぞ。」


 銃夜とルーナはアイリスに連れられ、現在森の中にいる。

 銃夜が初めに訪れたようなゴブリンがいた森とは比にならないような場所で、それこそ冒険者がクエストを受信して来るようなそんな場所。

 駆け出しというよりもっとビギナーな銃夜達からすると立ち入ってはいけないようなそんな所だ。

 ある程度の戦闘経験と自身のスキルで補おうなんて甘い考えだった銃夜は森の深くまで行くとその自信がいつの間にか心配に変わっていた。

 森の中はとてつもなく嫌な雰囲気を放っている。銃夜はそれを見逃さなかった。

 が、まだまだ遠足気分のルーナは気づいていない模様。

 少し、モヤッとした霧が出始めた頃。


「止まれっ!」


 アイリスが手で銃夜を止めて一旦待ったと合図をかける。


「どうしたんだ?」


「これをよく見てみろ」


 アイリスが指を指し示した方向を見てみると何かを引きずってような跡があった。

 その跡は森の奥深くまで細長く伸びている。


「これはサーペントが通った跡だ」


 アイリスがその跡がついている地面を虫眼鏡やリュックから出した辞書のような分厚い本などを用いてよーく観察する。

 そして、なにかわかったようにこちらを振り返る。


「ほら、ここを見てくれ。ここの地面にサーペントの血が染み込んでいる。つまり、今サーペントは何らかの理由でダメージを負っている。今が狩りどきた」


 ここでルーナは歩きながらアイリスに身長を合わせるかのように少し前かがみになり、

「アイリスさんが求めているサーペントの血液はこの染み込んでいる地面から抽出することはできないんですか?

 ここの森は不気味ですし、早く終わらせたいというのはあるんですが・・・」


 と、この辺りでルーナもようやくこの森の異常さに気づいたらしい。


「なーにを腑抜けたことを言っているんだ?それでもヘリルス王国の兵士か?

 それに、こんな少量の血液では目的の薬を作ることができないのよ」


「だそうだルーナ」


「ほら、さっさと先へ進むよ」


 銃夜達一行はサーペントの物だと思われる跡を辿っていった。

 進行方向にある木々をアイリスが持っていたサバイバルナイフのような小さなナイフで切っていき、その後を追っていく。

 しかし、なんだ?と、銃夜はこの森に入ってからずっと謎の違和感を感じている。


「しっ」


 アイリスは人差し指を口元に当てる。

 と、同時に銃夜とルーナは腰の低い姿勢をとる。


「あそこだっ」


 次にその人差し指をそのまま目の前にある大きな洞窟の方に向けられた。


「おそらくサーペントはあそこに居る。追ってきた跡がこの辺で途切れているからな」


「だったら早く討伐しましょうよ!」


 ルーナはアイリスを急かす。


「ああ、だが、まて。そんなに焦らなくて良いまずは洞窟内の状況把握だ。でなければ作戦の立てようがない」


「だったら俺が見てくる」と、銃夜は腕や足を伸ばしたりし、手首や足首をぶらぶらさせて準備運動をしながら言った。

「ルーナとアイリスはここで待っててくれ」


 銃夜は俊敏かつ穏便に洞窟の入口付近まで行く。


【スキル】感覚探知


 白黒のシルエットの中、銃夜のVRのようなビジョンが視覚に展開される。

 やはり、アイリスの読み通りサーペントと思われる大きな蛇のシルエットが見えた。


「!?」


 そして、銃夜はここでさっきから気になっていたある違和感について気づく。


「……わかった…これは…そうか違和感の正体、それは今までこの森に入って一切モンスターと出会っていなかったんだ。

 そして、今このシルエットに映ったのは……」


 シルエットに映った物とは一匹のサーペントが大量のモンスターを食糧として保存しているというものだ。


 その大量のモンスターを倒したということはそれなりの戦闘能力、レベル、圧倒的な何かをもっているということを覚悟せねばならない。


 そのモンスターはゴブリンやコボルト、オークにトロール、そして、一番目立つおそらくこの森のトップに君臨すべきレベルのモンスターレッドオーガが数匹いた。


 ほとんどのモンスターは既に殺害されているようだ。


 サーペントは一匹のレッドオーガを口に咥える。


「……っ…」


 一匹のレッドオーガはまだ息の根があるらしい。が、あの状況では助かることがないだろう。


 おそらくアイリスが見つけた血痕はレッドオーガとの戦闘中にできた傷なんだと推測する。


 サーペントはレッドオーガをペロリと丸呑みしてみせた。

 サーペントの胴体はその場所にレッドオーガがいるということが示されているようにぷっくり膨らんでいる。


「これは…まずい…流石に勝てる気がしない」


 と、銃夜は悟る。


 だが、


「おーいジューヤぁーおそいぞーなんだーサーペントはいなかったのかー?」


 銃夜の帰りが遅かったので心配したのかアイリスがやって来た。


「おい、バカっあんまでっかい声出すなっ」


 !?


 気づいたときには遅かった。

 既にサーペントは洞窟から抜け出していた。

 あのデカい体で俊敏に動くことができるとは。


「くそっ!サーペントはどこにっ!」


 アイリスの後方に細長い影が一瞬チラついた。


「き、気のせいか?」と、銃夜は手で目を擦る。

「と、とにかく、アイリス近づくなっ!サーペントが近くにいるっ!」


「なにっ!?」


(どこだ?どこへ行った?)


 辺りは逆に静か過ぎるほど静寂に染まっている。

 その緊張感でこの場から離れることができない。

 ふと、何か聞こえてきた。ゴゴゴゴゴと地面が唸っている。


 一瞬、銃夜は直感で察した。


「アイリスっ!下だっ!」


 アイリスの居た地面から緑色の巨体の持ち主サーペントが現れた。

 サーペントは地面に潜って俺達の動向を伺っていたのだ。

 しかし、その身体はあまりにも大きすぎた。大きすぎるが故に周りの森林の景観が崩れていく。

 まさに歩く環境破壊である。

 そして、動くのが遅かった。いや、動いてはいた。ただ、サーペントがその行動をさらに一步上回る。アイリスはそのままサーペントの長い胴体によって巻き付かれ拘束されてしまった。

 さっきのレッドオーガがもう消化しているのか、ぷっくり膨れたお腹はもう無くなっていた。


「う、うわぁー!!」


「やられたっ!」


 奴を仕留める。

 銃夜はサーペントに向かって手をかざす。

 スキル鑑定を使用する。


【名前】 サーペント

【種族】 竜族

【性別】 メス

【レベル】 398

【装備】 なし

【攻撃力】 1923

【防御力】 1854

【魔力】 1000

【スキル】 猛毒、麻痺、捕食、薙ぎ払い、毒耐性、麻痺耐性

【備考】 全長10m


「は?」


 銃夜の瞳孔が開き、鳥肌が立つ。


(蛇なのに…竜…?)


 サーペントのステータス内容は銃夜の想定をはるかに凌駕していた。


(いやいやいやおかしいでしょレベルが違う。こんなの勝てない。

 なになんなのあれ全長10mって、レベル398って・・・)


 と、とにかく攻撃しないとっ。


 銃夜はエターナルライフルを取り出し、サーペントに向かって撃つ。

 発射された弾丸が、サーペントを目掛けて飛んでいく。

 しかし、通用しない。サーペントの胴体によってカキンッとすぐに弾かれてしまう。

 皮膚を貫通することができない。

 まるで、サーペントの皮膚と肉の間に鉄の装甲でもあるかのように。

 その後もやはり、何発も撃ち込んでも弾かれたり、撃ち落とされたりして、全くもって手応えがない。


 そして、装備していたエターナルライフルがサーペントの尻尾によって薙ぎ払われてしまい、そのまま宙に舞う。


 呆然とする銃夜。

 エターナルライフルの消失により、思考が停止してしまう。

 空いた口が塞がらない。


 エターナルライフル、着地。しかし、着地した地点はサーペントの後ろ側に位置している。

 故に、エターナルライフルを取り戻すにはサーペントの背後に回り込まなければいけない。


 だが、当然不可能。こんな巨大なサーペント相手に死角を取ろうなんてのは今の銃夜にとって限りなくゼロに近い成功率のミッションである。


 そうこうしている内に、今度はサーペントの薙ぎ払いが銃夜自身に炸裂した。


「はっ・・・・っ!!」


 銃夜の身体はまるで、テーブルクロスを敷くように軽々しくふわっと宙に舞う。


「ジューヤぁーーっ!」


 遠くでアイリスが銃夜を呼ぶ声が聞こえてきた。


 銃夜、一応着地。幸い地面がぬかるんでいてそこまでの大怪我をするわけでもなかった。

 だが、銃夜の身体は確実にダメージを受けている。

 骨折まではいかなくとも、肩の骨にヒビが入る程度の怪我を負った。

 銃夜は右手で左肩を抑える。

 しかも、今の薙ぎ払いによってエターナルライフルからさらにとうざかってしまった。


 いよいよ本気でやばいと思い始める銃夜。

 銃夜の顔つきは覚悟を決めたようになっていった。


 そして、今、即興で作戦を考えた。

 だが、あまりいい策とは言えない。

 まず、前提として、エターナルライフルが手元にないといけない。どこかに隠れているであろうルーナの力を必要とする。


「賭け事上等、やってやんよ」





お読みいただき、ありがとうございます。


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