第87話 魔王軍討伐作戦その④
「なんだ!?こいつはぁ!?この骨?骸骨はよぉ!!」
バナンが始めにダースの存在に気づいた。
「拡大したやつを送りますっ!!」
バナンはワンタップ操作でダースを拡大した画像をガンマ隊全隊、司令室に送った。
「こ、こいつは!?」
その送られた画像を見てサドラー少佐は驚愕する。
『どうかしましたか?少佐』
「どこかで見たことがあるわっ」
サドラー少佐は数秒間考えた。
「お、思い出したわっ!!そ、そう、この骸骨は2年前、シーラを襲ったワイバーン襲撃事件の主犯っ!!大量のワイバーンを操っていたとされるノーライフキングっ!!」
(2年前……)
ヌルの中で一瞬、時が止まる。
そして、サドラー少佐は司令室にいる職員に、命令する。
「今すぐバンクを調べてっ!!」
「了解っ!!」
職員のいい返事が司令室に鳴り響く。
サドラー少佐は再度、画面に戻り、ガンマ隊の指揮を担った。
そして、ダースはというと、
「では、2年前同様、シーラ帝国を殲滅……いや、破壊しましょう。彼らの『心』をっ!!」
そう言って、ダースは大きく跳躍する。
ダースは真っ赤なマントをひらひらさせながら、空を舞う。
「いえぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
着地。
着地した地点は、ヌルの目の前。
他の隊員は跳躍と着地という早すぎる工程に目を追うことができない。
ヌルの目の前にきた時に、初めてダースの存在を認識した。
「くっ……見えなかった……」
「なんだよ!?早すぎるっ!?」
「ヌルっ!!」
しかし、逆だった。
ヌル・バタリアンはその早すぎる工程に圧倒されることなく、逆に喜んでいるという表情だ。
ヌルは笑顔のまま、
「ふっふっふ、正直、会いたかった。お前か、ワイバーンの主犯はっ!!!」
「ひょっひょっひょっ、ばれていましたか」
ヌルは左眼についている眼帯を解く。
その解かれた左眼は、赤黒くえぐれていて見ているだけで、痛々しい。
「この左眼と妹を奪った罪は大きいぜ。その骨、バラバラに分解してやるよっ!!!」
ヌルはアルカディオンをダースに向かって発進させる。
「新機種のこいつをぶつけてやるぅぅぅ!!!」
サソリ型アルカディオンは、ダースをめがけて特攻していく。
「死ねぇぇぇぇぇ!!!骸骨野郎ぉぉぉ!!!」
ヌルはアルカディオンのブレードでダースの胴体中心に斬撃を加える。
しかし、ダースはそのブレードを指二本でピタリと止めてしまった。
「先程、新機種と聞こえたのは聞き間違いかな?この程度で私に勝とうと?」
そして、その二本指のまま空中に投げ捨てる。
さらに、ダースは空中を浮くヌルのアルカディオンと同じ高さまで跳躍した。
「ふん!」
ダースはヌルのアルカディオンを地面に叩きつける。
土煙がヌルのアルカディオンを覆った。
「だめだなー。だめだめだめ。そんなんじゃだめだよぉ」
ダースがそんなことを言っている内にヌルはアルカディオンの機体を起こす。
「流石に、ブレード一本ってのは厳しいか」
ヌルはダースにそう言った。
やがて、アルカディオンを覆っていた土煙が落ち着いた。
すると、思いっきり地面に叩きつけられたにもかかわらず、ヌルのアルカディオンの機体は無傷だった。
「そして、流石だな。ワイバーンの鱗は。お前が育てたのか?ありがとうな。おかげで最強の装甲が完成できた」
「本気、、、ではなさそうですね、、、」
ダースは真っ赤なマントの内側から、一冊の本を取り出した。
その本のカバーは真っ黒で白で古代文字表記のタイトルがつけられていた。
「これは、魔導書。実は私、魔法を主体として戦闘をするのです。こっからはフルスロットルというやつですかね?」
ヌルはこれまでにない満面の笑顔で、
「ふっ面白いっ!!!!」
ちなみに、ワイバーン事件の主犯がダースだとわかった理由はダースの魔力がワイバーンから溢れていたからです。
この世界の魔力はDNAのような物なので、すぐに個人を特定することができます。(シーラの技術を用いれば)




