第85話 魔王軍討伐作戦その➁
「前方に敵を確認」
ヌルは通話越しに淡々として言った。
続けて、
「さらに、3000ものアンデッドを確認する」
『了解!!』
ガンマ隊も通話越しに返す。
「これより、ガンマ隊、作戦を開始する。目の前にいる敵を殲滅せよ」
『了解!!』
再び、ガンマ隊は一斉に言った。
横並びできれいにガンマ隊全隊員のアルカディオンが集結する。
その光景はまるでマーチングバンドのようだった。
しかし、そのきれいな列は崩壊する。
『ボス!オレっ、一番つおいやつ倒してくる!!』
マレナが一人、蜘蛛型のアルカディオンを走らせて、そう言った。
正直、勝てるわけないが、止めようとしても彼女は止まることができない重度の戦闘狂。最早、ここで彼女の力を存分に使ったほうがいいのかもしれない。
ヌルは最終的にそういう結論にたどり着いた。
『はぁ~』
マレナの通話から気が抜けたため息が聞こえてくる。
それは、ヌルによるものだった。
『了解、あまり無茶はするな』
そして、ヌルはマレナの意向を渋々承諾した。
「やったー!!オレっいっぱい、ぶっ殺す!」
「ひゃっほーい」などというマレナのはしゃぐ声が通話ではなく直に聞こえてきた。
そして、その声と共にマレナは3000もの大群の中に一人突っ込んでいった。
『大尉!俺達も負けてらんねーっす』
ガースがマレナに感化され、アルカディオンを前進させた。
「ああ、そうだな。みんな好きに暴れてくれ」
ガンマ隊の通話の向こうでヌルがそんなことを言った。
そして、ガンマ隊全隊員のアルカディオンはマレナがきっかけとなり3000ものアンデッドの大群に突っ込んでいく。
そんな光景をブルーライトガンガンの司令室で見ていたサドラー少佐は通話越しに、
「はぁ~呆れた。一応、全員帰宅命令は出ていることをお忘れなく。アルファ隊やベータ隊、そして、デルタ隊の後方支援もあるということをしっかり頭の中に入れておきなさい」
しかし、ガンマ隊はその聞こえているはずの通話を無視して各々ガンガン戦闘をしていく。
ヌルの通話から「おうらぁー!!」だったり、「死ねぇぇぇぇ!!!」といった野蛮な言葉が飛び交っている。
ヌル自身も言葉にはしないが、そのようなことを思っているらしい。
そして、ヌルも、数千体のアンデッド達を新型のサソリ型アルカディオンでどんどん蹴散らしていく。
スケルトンは一発ブレードが当たるとボロボロに壊れてしまうし、死霊騎士なんかは自慢の盾や防具が全く機能していない。
『どうかしら、新型アルカディオンの乗り心地は?』
ヌルは戦闘の最中耳にある通話装置を気にしながら、
「少佐?ええ、かなり、いいです」
『そう?なら、そのまま幹部を倒してきなさい!』
「了解」
機動力良好、ブレード良好、耐久力良好。
しかし、ヌルの心はざわついていた。
それは、魔王軍最強部隊、暗黒の使徒のプレッシャーからなるものだろう。




