第79話 作戦
―――ガンマ隊。
それは、ヌルが率いている部隊だ。
全部で7人の兵がいる。
全員、かなりの強者だ。
そして、ヌルによって作戦が言い渡される。
ヌルは作戦室にあるホワイトボードの前にガンマ隊全員を集め、集会を行った。
その中には、リンジーの姿もある。
昨日の今日で気まずいのかリンジーはヌルから顔をそらし続けている。
「それで、大尉。作戦はどんなようで?」
ガース・チェントーニが言った。
ガンマ隊の一人で、つるっぱげの頭をしている男性だ。
「今からみんなに資料を配る。サドラー少佐からの資料だ。これに作戦の概要が載っている」
ヌルはガンマ隊の一人ひとりに資料を配った。
「その資料に書いてあることをまとめるとこうだ」
ヌルは作戦をホワイトボードに書き込む。
「大尉、これって……」
マディリン・ポーチェが呟いた。
白髪の長髪でおでこがでている女性だ。
「ああ、マディリン。俺達は最前線を任された」
ホワイトボードの内容は一言で言うと、最前線での戦闘が主になっている。
戦場からの無事な帰還はまずないと言っていいだろう。
シーラ帝国の中でも最強と言われている、隻眼のデッドライナー率いるガンマ隊なのだから仕方ないと言えば仕方ない。
それ以外に勝ち筋が見つからないのだ。
今回の魔王軍討伐任務はそれほど過酷なのだ。
「うひょー今回も俺死んじゃうかもー」
バナン・パッカは意気揚々と言った。
彼はどうやら死を恐れていないらしい。
身長も相まって世間知らずの幼子のようだ。
「こら!バナン!これは戦争なのよ!そんなんだと本当に死んじゃうかもよ!」
マディリンがお母さん口調で言った。
同年代のはずなのだが、本当の親子のように見える。
「まぁまぁ、いいじゃん。いつもそう言って生き残ってきたし」
今度は、グイリオ・ターニがバナンに乗っかる。
再び、マディリンはお母さん口調で、
「もぉ~」
と、ほっぺを膨らます。
「それで、大尉、ほぼ死が確定しているようですが、そのーなんというか、目標みたいなのってあるんで?」
ガースが手を小さく上げて言った。
「そうだな。目標っていう目標はないが、サドラー少佐からはとにかく殲滅せよとの指示が出ている」
「だーかーらーその殲滅数を聞いてんじゃん」
そして、ガンマ隊最後の一人、マレナ・セベールが声を高くしていった。
彼女はヌルほどの実力はないが、ガンマ隊の中ではトップレベルの能力を持っている。
「そうだな。マレナならどのくらいできそうなんだ?」
ここで、マレナはヌルから配られた資料をペラペラとめくっていく。
そして、魔王軍の推定レベルが書かれているページにたどり着いた。
「大尉、オレなら、魔王軍幹部3人の内、2人は余裕で殺れますよ!」
マレナはいわゆるオレっ娘だった。
赤髪の少女である。
ちなみに、マレナが出した結論ははっきりいって無茶だ。
子供の戯言ぐらいに思っていいだろう。
まず、敵戦力が、およそ3000体のモンスター及び魔王軍幹部で、対して、こっちは援護や支援はあるとは言え、たったの7人だ。
いくら、マレナの能力が高くても、いくらアルカディオンの性能が優れていてもこの数を相手するには流石に無茶である。
しかし、マレナはその中でも強敵とされる魔王軍幹部を2人倒すことができると言っているのだ。
無謀だが、それぐらいの気合がないと到底無理なのかもしれない。
やがて、諸々の作戦会議が終了し、各自、自室に戻っていく。
作戦会議は約1時間程度だったが、リンジーはその間、一言も言葉を発することはなかった。




