第75話 第6試合その➅
そして、シャイナーは未だフリューゲルと鬼ごっこ状態だ。
フリューゲルお得意の時間停止を使えばいいと思うかもしれないが、それには射程距離が必要なようだ。
おそらく時間停止から行動できる時間や歩数が限られているのだろう。
シャイナーは森の木々を上手く盾にしながらフリューゲルをどこかへ誘導しているようだ。
そして、シャイナーはようやくある地点までたどり着く。
そのある地点というのは、シエル、ラーシェとのあらかじめ決めていた合流地点だ。
そして、その合流地点にはラーシェが張っている魔術結界が施してある。
状況としては木々に複数の魔法陣が書かれており、ラーシェが呪文を唱えると魔法陣を囲むようにバリアが張られるということだ。
「ちっ…あの金髪野郎どこまで逃げる気だ……?」
追いかけながらフリューゲルはそんな事を思ったりした。
しかし、シャイナーはその結界内に入り、ピタリと足を止める。
その結界内にいるシャイナーの魔力量でラーシェは悟った。
すぐさま、ラーシェは呪文を唱える。
しかし、やはり、ラーシェの呪文内容は理解できなかった。
わかることは明らかに現代語ではないということだ。
「―――封っ!!」
かろうじて最後の『封っ!!』だけは聞き取れた。
「シエル。シャイナーさんがやばそうだ。助けに行こう」
シエルは少し考えた。
未来予知を実行しているのだろうか。
「そうですね。かなりやばそうだ。助けにいきましょう」
しばらくして、シャイナーのもとへシエルとラーシェが駆けつけた。
シャイナーとフリューゲルはバリアを隔てて睨み合いのような事をしていた。
そして、シエルとラーシェはあらかじめ設定されていた定員なのでそのバリアをすんなりくぐり抜けることができた。
「遅くなりました。シャイナーさん」
「いや大丈夫だ。それより、やつは、フリューゲルはどうやらこのバリアを突破できないようだ」
フリューゲルはバリアに手をかざす。
しかし、一瞬にしてその手はバリアによって反発し、弾かれる。
フリューゲルは考える。
(これは、おそらく魔法ではない……!!魔術かっ!)
魔法と魔術の違いはその年代によるもの。
ざっくり言えば魔法は現代武器で魔術は古代武器ということだ。
古代武器なので現代を生きたフリューゲルに到底破壊することは不可能とされる。
「少しはやるようだな」
フリューゲルはそう言った。
どうやら、会話はバリアを通してできるらしい。
しかし、シャイナー達フォルトゥーナはそれを無視。
一時休戦という形になってしまっている。
「シエル、そっちはどうだ?」
「はい、もちろん全員やりました」
「ナイス!と、言いたいとこだが、まずはフリューゲルを倒すことに集中しよう」
「聞いてきたのそっちですよね」
かなり軽い会話が繰り広げられている。
「フリューゲルの魔法は時間魔法。モルゲンレーテは既にやられた。しかし、モルゲンレーテが残した遺産はフリューゲルが時間停止を使えるということ」
「遺産って……まだ、死んでないですよね……」
「うっ……そこは飲み込んでくれっ!!」
「時間魔法ですか?それなら、僕の未来予知と何か通ずる物がありそうです」
「っていうか。今は平気なの!?」
横からラーシェが口を挟む。
「だって時間停止でしょ?だったらこの魔術結界突破されちゃうんじゃ……」
「大丈夫だ。おそらく、フリューゲルの時間停止には制限がある。それは何かはわからないが。証拠として、僕がここまで逃げ切れたこと。そして、今襲ってこないこと。この2点が示している」
「なるほど」
ラーシェは納得したようだ。
そして、フリューゲルはとうとう動き出す。
「時間魔法、時間逆行」
「「「!?」」」
そして、シャイナー達の視界は光で包まれた。




