第69話 謙遜ですか?
一方、皇銃夜とアサシンの戦いはというと、いつの間にか終結していた。
銃夜はスキル感覚探知で透明化を突破、そして、絶対命中である程度の照準を定め、一気に3発胴体にぶち込む。
その後、一定ダメージを迎え、アサシンは強制送還された。
「アサシンっていうだけあってかなりの隠密キャラだったな。ま、俺の敵じゃねぇ」
静かなるプリズンダンジョン内で皇銃夜はこう呟いた。
そして、機械的音声の『第5試合突破おめでとうございます』という言葉と共に例の部屋に戻される。
戻ると、ルーナは回復魔法師の手当を受けていた。
帰還するやいなや、フリーデンがルーナに華麗なる土下座を決めた。
それにはブラック企業の社畜もびっくりだ。
両手を地面につき、おでこを地面に接着させている。
そして、熱血指導の体育教師にまさるぐらいの大きな声で謝罪した。
「すいませんでしたっーーー!!!」
部屋中を轟かせた。
回復魔法師のおっちゃんなんて今にでも目玉が飛び出そうだ。
そのくらい、この場にいた人達を驚かせた。
しかし、ルーナはその謝罪の意味を知らない。
これは、真面目なフリーデンの勝手な自己満足なのだから。
「ち、ちょっといきなりなんですか?フリーデンさん顔を上げてください!」
少し戸惑うルーナに対し、
「いえ、私はルーナさんにとんでもないことを思ってましたっ!!」
「とんでもないないこと?」
ルーナはピンときていない。当然だ。
ただでさえわかりにくいのに天然なルーナはもっとわからない。
「はい!」という言葉と同時にフリーデンは顔を上げる。
そして、その言葉は続く。
「私はルーナさんのことを勝手に誤解してました!!」
「だからなんの誤解なんですか?」
「私はルーナさんが弱いフリをしているとも知らず、裏でぐちぐち言ってましたっ!!本っっっっっ当に申し訳ございませんでした!!!」
ここで、ルーナの頭にはてなマークが浮かぶ。
「私は弱いですよ」
フリーデンはとうとう土下座のモーションを止めて、
「謙遜ですか?」
と、真顔で言った。
それに、対して、ルーナも真顔で答える。
「いえ、謙遜ではないです」
「え?」
「私、本当に弱いんです。さっきだって私がもっと鍛錬をしていたら防げた事態だったと思います」
「でも、前に、ジューヤさんを何度も救ったって話は?」
「あーあれですか?あれは全部ジューヤさんがやったんですよ。私じゃないです」
すると、フリーデンは銃夜の方に目を向ける。
「騙した?」
と、たった一言。
「い、いえ、いやいや、本当だってなんで?え?」
テンパる銃夜。銃夜自身もルーナの覚醒は無意識ということを知らなかった。
フリーデンはすごい眼差しでこちらを見つめてくる。
「いや、知らない。あいつが嘘ついてる。まじまじ」
そう言った言葉を繰り返すも、ルーナも全く逆のことを行ってくるので、フリーデンはドッチボール状態になっていた。
「で、どっちが本当なんですか?」
フリーデンがとうとう勝負を決めようとしてきた。
しかし、無意識下というアリバイがない状態なのでその後も決着はつかなかった。
そして、フリーデンは諦めてしまった。
「もう!私、ジューヤさんについて行くって言ってしまったじゃないですか!どう責任取ってくれるんですか?」
「ど、どうって?」
「もう、いいです。この勇者選別が終わったらきっちり決着をつけてもらいますからね!」
フリーデンは怒りマークをおでこにつけながら、プンプンとそのままソファに向かって行ってしまった。
「はぁ~」
最後にユキヒメが大きなため息をついた。
彼女にとっては全てがどうでもいいようだ。




