第61話 第4試合その➅
ゲミュートの剣は紅く輝いていた。
まるで、太陽のように神々しかった。
「そろそろ終わらせなきゃフリューゲル様に怒られてしまいそうだ。全壊させていただきます」
ゲミュートはその紅く輝く剣を鞘にしまい、構える。
「見せましょう。私の抜刀術を」
「アレンっ、来るぞっ」
アレンはファイティングポーズを取り、頷く。
「千紫万紅」
刹那、ゲミュートの鞘から剣が超速で飛び出す。
まるで、ロケットのように。
そして、ゲミュートの斬撃はアレンを斬った。
―――花?
アレンが斬撃を食らい目にした光景。
それはとても美しい一面の花で埋め尽くされていた。
そして、気づくと痛みという恐怖が襲ってくる。
―――いや、違う。花ではない。俺の血だ。
「アレンっ!!!」
「安心してください。死なない程度には調整しています。殺してしまったら負けですから」
アレンは部屋に強制送還。
一瞬だった。
そして、取り残されたルイーゼは絶望する。
み、見えなかった。
ルイーゼの視覚ではゲミュートの抜刀は目で追うことができなかった。
ゲミュートの抜刀術は自身の重力魔法で鞘に多大なる圧力をかけ、抜刀する瞬間に鞘の中で剣が加速しているのだ。
その速度は瞬間的にマッハをも超越する。
まさに、ロケットスタート。
「で、ルイーゼ様はいつ諦めるのですか?」
ルイーゼは心の中でゲミュートには勝てないと悟った。
勝てるビジョンが浮かばない。
重力魔法だけでなく、千紫万紅という技もあるのだ。
それに、闇結界、カース、溶解液と魔力がもう残っていない。
文字通り、詰み。
すまない。ネクサスの皆、魔王を打ち倒すのは私達でななかったらしい。
「くっ……ここまでか……」
「やっと諦めましたか」
ゲミュートは再び抜刀の構えに入る。
「千紫万紅」
(っ……また……か……)
ゲミュートはさらにためる。
次の一撃でルイーゼを確実に仕留めるつもりだ。
そして、ゲミュートは自身の剣をがっしり握る。
(く、くるっ!!)
「蟲害操術」
聞き覚えのない声がゲミュートとルイーゼに突き刺さる。
それは、女なのだが、とても低い声。
しかし、ルイーゼはよく耳をすませると遠くのどこかで聞いたことのあるような声だった。
「!?」
ゲミュートは気づく。
―――虫?
ゲミュートの体中をゴキブリやらムカデやらが這いずり回っていた。
「っ……!!」
抜刀する手にもたくさんの虫でいっぱいだった。
「ひゃあっ!!」
ついに、抜刀の構えがなくなる。
そして、先程、「蟲害操術」と言い放った声の方に目を向けると目が紅く光り、鬼の形相をしているリアが血まみれで突っ立っていた。




