第60話 第4試合その⑤
一方、ルイーゼとアレンはというと、ゲミュートと交戦していた。
「あらあら、お仲間、一人落ちましたよ。これなら、もう一人も落とされるまで時間の問題ですかね」
「へっ、うちの闇を舐めんなよ」
「そうですか?ま、どうでもいいですけど、そろそろ参らせていただきます」
「アレン、来るぞっ!!」
ゲミュートは早速ルイーゼとアレンの真下に魔方陣を展開させた。
「重力上級魔法、圧力」
刹那、魔方陣の上にいたルイーゼとアレンには多大なる圧力がかけられた。
まるで、上から像でも降ってきたように。
「さらに加圧っ!!」
「「グハッ!!」」
さらに、像がもう一体。
ルイーゼとアレンから出血が止まらない。
しかし、そう簡単には抜け出せない。
上からの重圧が邪魔をして動こうにも動けないのである。
『た、隊長っ!!やばいっす!俺、そろそろ、ダメージがっ!!!』
通信魔法でゲミュートに悟られず会話をする。
『わ、私がなんとかするっ!!!』
『な、なんとかってっ?』
いつもはルイーゼに対して敬語口調だが、アレンにはそんな余裕はないだろう。
『なんとかよっ!』
「ほらほら、どうしたんですか?お二人さん?」
「くっ!闇上級魔法っ!カースっ!!!」
ドクンッ
ゲミュートは感じる。
違和感?
「何かしましたね?」
「え、ええ、今、私とあなたの間に呪いをかけたわっ。呪いの内容は、リーダーである私が落とされたら、あなたのリーダーであるフリューゲルも一緒に落ちるという盟約よっ。
さぁ、今すぐ、この加圧を止めなさいっ!」
「ハッタリですか?」
「そう思うのも悪くないわね。フリューゲルが落ちるなら、私の役目なんかは終えたようなものなのだから」
ゲミュートは不機嫌そうな顔して、
「ちっ」
舌打ちをして、後退する。
すると、ルイーゼとアレンは加圧から解放された。
「もし、その呪いが本当ならば、今、ルイーゼさんはかなり魔力を消費したようですね。それに、さっきの加圧で体力まで奪われているみたいだ。もう一押しというとこですか?」
「おいおい、女?俺のことは覚えていてはくれないのか?」
アレンはルイーゼばかり警戒しているゲミュートに腹がたった。
まるで、自分が無力だと言われているように感じて。
「あっははは、まだいたんですか?さっきの加圧で落ちたと思いましたよ」
アレンの表情が力む。
「あ゙あ゙あ゙っ?」
「そう、怖い顔をしないでもらえますか?それに、あなたはさほど強くない。天地がひっくりかえっても勝てませんよ。あなたの能力は底が知れてますからね。斧を振ることしか能がない人形はとっとと落ちちゃってくださいよ」
「ぶち殺すっ!!」
アレンはゲミュートに向かって走りだす。
「アレン―――」
ルイーゼがそう止めたが今のアレンは聞き耳を持たなかった。
「はああああああっ!!!」
と、ゲミュートに斧を振るう。
ざっくざっくと空気を切り裂く。
しかし、その自慢の斧の腕でもゲミュートの前では役に立たない。
なんども斬撃を繰り出したが、一回もゲミュートには当たらなかった。
「稚拙」
斬撃を避ける中、ゲミュートはそう呟いた。
「なにおっーー!!!」
さらに、斬撃を繰り出す。
何度か斧を振るった時、ゲミュートに斧を止められてしまった。しかも、指で。
ゲミュートは自分がしている手袋の上から、親指と人指でアレンの斧をすぱっと止めてしまったのだ。
「!?」
「重力魔法、重力操作」
瞬間、ゲミュートが掴んでいる指がアレンの斧を折ってしまった。
指先から重力魔法を発動しているのだ。
「なにっ!?」
アレンは絶望する。
今までの修行が無駄になってしまったこととフォンゼルからもらった斧をいとも簡単に破壊されてしまったことに。
「闇魔法、溶解液っ!」
後から、ルイーゼは手のひらから溶解液をゲミュートに向かって放出した。
しかし、ゲミュートはそれを避ける。
「溶解液ですか」
それでも、ゲミュートをアレンから離すことに成功した。
すぐに、アレンに駆けつける。
「大丈夫か?アレン」
「は、はいっ!隊長っ!しかし、俺の武器が折られてしまいましたっ」
「私は、その武器を失っても戦える人員を選んだつもりだぞ。お前ならまだやれる。私が保証しよう」
絶望中のアレンにルイーゼという光が照らされた。
「うすっ!」
「ほう、まだやるつもりですか?」
ゲミュートは腰にあった剣をとうとう抜いた。
「一気に終わらせます」




