第59話 第4試合その④
「ルイーゼさん。こちら、1名ご来店です」
ルーターがルイーゼに通信魔法で知らせる。
『なにっ!?こっちにも1人いる。ルーター、リア、やれそうか?』
「はい、なんとかやってみます。落ちたらすいません」
『ああ、やばそうだったら助けに行く』
「ありがとうございます」
ルーターはルイーゼとの通信を切り、弓使いの女に注意を向ける。
弓使いの女とはサハリンだ。
「なぁーに。独り言?まぁ一瞬で終わらせてあげる」
「それはどうも」
(こっちには2人いる。それなりのアドバンテージは確保しているつもりだ)
サハリンは、背中から矢を一本取り出し、弓にかける。
「ほぉーっら」
矢は弾丸の如くルーターに飛んでいく。
が、「させませんっ!!」
リアが魔法を展開する。
「闇魔法、混乱っ!!」
リアの手から真っ黒いオーラのような物が出現する。
そのオーラを飛んでくる矢に照準を当て、魔法が発現させる。
闇中級魔法混乱。
有する能力は対象を混乱させる。
それは、無機物だろうが、有機物だろうが関係ない。
そして、対象とされた矢は混乱する。
進行方向を180°進行方向を回転させ、サハリンの方に飛んでいく。
「おっ、なんだ?」
サハリンは飛んできた矢をひょいっとかわす。
「なんだなんだ?新手の魔法か?」
「くっ……リア、一度戦線を離脱しましょう。我々では勝ち目が薄い」
「なに?逃げんの?」
「いいですか?リア、僕の合図で走ります。ついてきてください」
リアは頷く。
「3…2…1…今ですっ!!」
ルーターは走り出す。リアはそれを追う。
しかし、サハリンは、追わない。
追う必要がないのだ。
サハリンの武器は弓。つまり、ゴリゴリの飛び道具。
「逃さないっ!」
サハリンは一度に矢を3本同時に撃ってくる。
曲線を描く矢は滑らかな軌道でルーターに命中した。
ルーターの体には3つの穴が空く。
(貫通矢っ……!!)
ルーターはその場に倒れながらも矢の種類を分析した。
ドクンッ
その時、ルーターの体に異変が起こる。
(これはっ!?この痛みはっ!?)
遠くから、サハリンがゆっくり歩いてきた。
リアは戦闘態勢を構える。
「どうやら、効いてきたようだね」
(そうか、これはっ毒かっ!!)
「私の矢は特殊でね。どんな時にも対応できるように色んな種類の矢を常時装備しているのだよ」
ルーターの体内に猛毒が回る。
「はやくそれどうにかしないと死ぬわよ」
「そう…か…毒か…奇遇…だな…」
ルーターはニヤリとする。
「こっちもだよっ!!」
「何を言ってっ―――」
ドスッ
サハリンが歩いてきた通路が突然無くなった。
サハリンの体は地面に沈んでいく。
「!?」
「こっちも毒罠を仕掛けた」
そう、ルーターとリアでマップ上のありとあらゆる所に、毒罠を仕掛けていた。
ルーターは逃げると見せかけてサハリンの進行方向を誘導していたのだ。
そして、毒罠は中々サハリンを離してはくれない。
「全然抜け出せないっ!!」
しかし、サハリンが放った毒矢はかなりの猛毒だったため、
「リア、僕は先に行く。やるべき事はやったつもりだ。後は頑張れ」
ここで、猛毒によりルーターは一定ダメージを超えてしまい、部屋に戻される。
「わ、私も頑張ります!」
リアは一人、戦場に取り残されてしまった。




