第5話 バヘ村の祭り
ここ、バヘ村では今夜祭りがある。
村人達はその祭りに向けて大忙しだ。
しかし、数時間経ってもルーナはまだ目覚めない。
(このまま目覚めないなんてことないよな……)
銃夜は圧倒的強者の立ち振る舞いを思い出す。
今鑑定しても以前見た時と変わってなくてさっきのチート状態がまるで嘘のようだ。
「ふわぅーわ」
などと考えてる内にルーナが例の空き家から大きなあくびをしながら出てきた。
銃夜はすぐにルーナのそばに駆け寄った。
「ルーナっ!大丈夫、なのか?」
「はいっ!私は平気ですっ!突然気絶してしまってごめんなさい。でも、もう平気ですっ!」
ぱっと見ルーナは平常運転のようだ。
だが、何があるかわからないので一応休んでおくように銃夜は伝える。
「はい、わかりました。了解ですっ!」と、ルーナは敬礼。
「もう少し寝ておきます。でも、祭りが始まったら起こしに来てください。祭り、私も参加したいですっ!」
「うん、わかったよ。準備は俺達がやるから回復が最優先事項だ。ゆっくり休め。」
銃夜は祭り開始までの準備を手伝った。
ちなみにどんな祭りかというと、この村の死者を祀る祭りなのだ。
この日だけは死者と生者を繋ぐ日なんだとか。村人達は死者と対話ができるようで死者におもてなしすることになっている。そのためのオークの肉らしい。
ドクロのような中二っぽい飾り付けや十字架のペンダントを首から下げている村人達を見ているとなんだか、恥ずかしい気持ちになってくるのはなぜだろう。
銃夜の仕事は薪を斧で割り、それを櫓状に組み立てる仕事だ。
組み立てたら火を付けて終了。
なんやかんやで祭りの準備が整った。
この祭りは部外者である銃夜達も参加できる。
(よし、そろそろルーナを起こしに行くか。)
「おーい!ルーナ!祭りの準備ができぞっー
って、うぇっ!!」
おいおいおい、そんな淫らな格好で寝ていたのかよ。
今まで着ていた甲冑を脱ぎ下着の状態で寝ていた。まぁ、それはそうなんだが。
胸や足が乱れていてとてもエッチぃ…。
寝返りを打つ度に見えそうで見えない胸を一点集中で見つめてしまう。
「……んっあっ…」
おい、やめろ変な声出すな。
と、銃夜はあることを思い出す。
(そういえばそうだったぁー!俺童貞のまま転生したんだったぁー!
だめだし、刺激が強すぎるぅ!!)
ルーナのエロい姿に興奮して、起こそうにも起こせない。
ここで起こしたら負ける気がする。
そんな葛藤を自分の中で繰り広げていると、
「……んっあーお、おはよー…ございます?…」
ルーナが自ら起きてきた。
ルーナは別に恥じらいがないらしくそのまま何事もなかったかのように祭りの案内と概要を要求する。
祭りの案内と言われても屋台があるわけでも花火が上がるわけでもない。
ただ、村中で銃夜力作のキャンプファイヤーの火を囲むようにしてご飯を食べたり踊ったりするだけである。
ご飯はもちろん銃夜達が取ってきたオークの肉。
どうやらラウルさんもお気に召したらしい。
よかったよかった。
それより、オークの肉って上手いの?見た目はブタが二足歩行で歩いていただけだけど食べる気が失せる。
何せ、銃夜はその狩りをしてきた人員の一人だからだ。直接手を下した訳では無いが体が生理的に受け付けない。
銃夜はオークの肉をわざと避けていたら、ラウルさんや村の人達に「美味しいよ」とか、めっちゃプラスのことを言ってくるので空気的にも雰囲気的にも食べずにはいられなかった。
おそるおそるオークの肉に思いっきりかぶりつく。
「うっ…………」
「ど、どうかしたんですかジューヤさん?
え、もしかして毒?毒ですか?」
ルーナは心配そうに銃夜を見つめる。
「う、うめぇぇぇぇぇ!!!!!」
その場にいた人達は皆一気に安堵した様子を見せる。
「おい、ルーナ食ってみろってめちゃくちゃ美味いから。」
銃夜はルーナの口に無理矢理オークの肉を突っ込む。
「ぐっ、ふぐっ、ひょっとまっへふははいっ!」
ルーナの顔はまるでリスのようにほっぺを膨らませる。
「ああ、口の中で肉が溶けていく。これぞ肉の旨味って言うの?肉汁がどんどん溢れ出てくる
さいっこうだぜっ!」
と、安い食レポをする銃夜。
そして、一瞬で楽しい一時が過ぎていった。
気づいたときにはもう真夜中だった。
日付が変わり村の人達が祭りを終え、それぞれの家に帰っていく。
今日、銃夜達は先程までルーナが寝ていたとされる空き家に泊まることにした。
翌朝、ラウルさんからクエスト報酬の地図をもらい村の皆に挨拶をして再びルーナとヘリルス王国に向けて出発するため村を出た。
お読みいただき、ありがとうございます。
「面白い!」、「続きが読みたい!」と思っていただけたら、
ブックマーク登録と、少し下にある「☆☆☆☆☆」をクリックしてして応援していただけると嬉しいです!
ぜひ、よろしくおねがいします!