第58話 第4試合その③
「来ませんねをどうやら、カウンターが警戒されているようです。いかがしますか?フリューゲル様―――」
リヒトがそう尋ねた瞬間、ビルとビルの間に一瞬だけ人影が見えた。
「―――いや、やはり、その必要はなさそうです。今、人影が見えました。殺ります」
リヒトは忍者の如くその人影を追う。
とてもヘビィそうな漆黒の鎧を装備しているが、東京のビルをたんたんと飛んでいく。
(うっわっ。結構速いじゃん)
「隊長っ!そっち行きます!」
『ああ、こちらはいつでもオーケーだ。どんと来いアレン』
「りょよーっかいっ!!」
アレンはビルから地面に衝撃波を与えるほどの豪快な着地を決める。
リヒトもそれを追う。
しかし、リヒトが着地すると、ルイーゼ達が仕掛けた罠が発動した。
「くっ……なんだ!?これはっ…」
リヒトは真っ黒な正方形の箱に閉じこめられてしまった。
その正方形はガラスのような透明性を帯びている。
リヒトがそのガラスを経由し、外の様子を確かめようとすると、そこには、ルイーゼの姿があった。
「闇魔法上級魔法、闇結界だっ!」
「くっ……」
リヒトはその箱を内側からバンバン叩きながら、
「ここから出しやがれっ!!」
と、叫ぶ。
「おっとそうはいかねぇぜ。うちの隊長はそんなに甘くまはない」
「ぶっ壊してやる」
リヒトは腰に装備している漆黒の剣を鞘から取り出す。
そして、その剣を大きく振りかぶった。
「はぁぁぁぁぁっ!!!」
グサッ
その効果音は剣が正方形の箱を突破した音ではなく、リヒトの体を貫いた音だった。衝撃。
リヒトの頑丈そうな漆黒の鎧ごと体を貫いている。
「がっ……ぐはっ……」
(一体っ……なんだ……?)
リヒトがゆっくりと後を振り返る。
すると、そこには黒い幽霊がいた。
黒いというのはまさにそのまんまで、黒いと表現する他ない。
顔や腕、足など、基本的な人間の形をしているがそいつは明らかに人間ではない。
「なんだ……?こいつ…は……?」
「これが」そう言ってルイーゼが話し始める。
「闇結界。私はその黒い幽霊を闇結界内だけ自在に動かすことができる。終わりよ」
リヒトは一定ダメージを与えられ部屋に強制送還される。
そして、フリューゲル達に、リヒトがリタイアしたという通達が入った。
「中々の手練れがいるようですね。フリューゲル様」
「ああ、意外な結果だ。そろそろ攻めに行くとしよう」
一方、ルーターとリアはというと、
ルーターの的確な指示の下、リアの闇魔法の毒罠をマップ中に散りばめていた。
「―――よし、トラップはこれぐらいにしよう」
「はいっ!次はどうしますか?」
「そうだな―――」
ドーンッ
近くで爆発が起きた音がした。
それは、ネクサスセカンドのものではなく敵側のものだった。
そして、その爆発が起きた場所から一人、女が歩いてきた。
「私の相手はあなた達かしら?」
その女は弓を持っていた。
女は笑みを浮かべながらルーター達にゆっくり近づいてくる。




