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第57話 第4試合その➁

 ルイーゼの作戦で散り散りになったのには理由がある。

 ルイーゼは闇魔法以外にも通信魔法が使えるのだ。

 これは、他のパーティーと比べた際に、遠隔で味方との意思疎通を図るという点で一歩アドバンテージを獲得できる。

 これを使った作戦なのだ。

 そして、勇者選抜で通信魔法が使えるのは唯一人ルイーゼだけだ。

 これが、彼女らの強み。


『ルイーゼ隊長。見つけましたぜ』


 アレンは高層ビルを次々と飛んでいき、フリューゲルを監視できる位置に移動できた。


 それは、フリューゲル達からすると、ちょうど死角になっていてバレにくい。

 ビルを影にしてフリューゲル達の動向を伺っている。


『やつら、どうやら、カウンターをしかけるつもりらしいです。あまり、迂闊に近寄らない方がいいっすね』


「ああ、わかった。アレン」


『ルイーゼさん!』


「どうした?ルーター?」


『やつら、カウンターを仕掛けるために固まっているんですよね』


「ああ、そう聞いている」


『じゃあ、僕から一つ考えがあります。それは―――』


 ルイーゼの表情が少しピクリと動いた。


「わかった。その作戦で行こう。いつもありがとうな。ルーター」


『いえいえ、そんな』


 ルーターの顔が少し紅色に変わる。


『なんだなんだ。ルーター?照れてんのか?』


『アレン!うるさい!』


『ま、まぁまぁ』


「ふっ、大分賑やかになったなネクサスセカンドは……」


 唐突にルイーゼの脳裏に蘇る。

 それは、ネクサスの墓参りをした後に遡る。

 そう、その日からルイーゼは切り替えてパーティーを作ることに専念していたのだ。


 まず、かつて、ネクサスの仲間だったフォンゼルという男が作った孤児院に行ってみた。

 フォンゼルは孤児院で優秀な剣士を育てるために建てたので孤児院に行ったら多くの子供達が庭で剣を振るっていた。


「こんにちは〜」


「おう、これはこれは、ルイーゼ殿。どうされたのですか?」


 ルイーゼは悲しそうな顔をしながら、

「今、フォンゼルのお墓参りを終えた後だ」


「はい、わたくし共も昨日行って参りました。本当に残念に思います」


「ああ、だが、彼も冒険者をやっていたのだから、ある程度の覚悟はあっただろう。私も昨日行くはずだったのだが、泣きつかれてそのまま寝てしまっていた。そこで、一つ頼まれてくれるか?」


「ええ、わたくしにできることがあるのならば」


「私はフォンゼル率いるネクサスの目標だった魔王を討伐することにした。これが、散っていった仲間達との唯一の繋がりだから。この繋がりだけは切りたくはない。そこで、仲間がほしい。この孤児院で優秀な剣士を2名ほど私によこしてくれ」


「わかりました」

 と言って、剣を振るっていた子供達に

「おーい」

 と大声で言った。


 ぞくぞくとルイーゼの目の前に子供達がやってくる。


「うーん」

 職員は数秒考える。


「アレン、ルーター前に来い」


「「はーい」」


「こいつらアレンとルーターといいます。昔、フォンゼル殿直々に剣を教えてもらったことがある2人なので、何かとお役に立つかと」


「ああ、ありがとう」


「よろしくお願いします」


 ルーターは深々と挨拶をする。

 しかし、アレンはどこか遠くを見ていた。


「こら、アレンっ!お前も挨拶しろっ!」


「うぃーっす」


「全くっ!でも、ルイーゼさん安心してください。時間が経てばそのうち慣れてくると思うので」


「すまない」


 それから、徐々にアレンとも話せるようになっていき気づくとルイーゼを隊長呼びしていた。

 なんでも、ルイーゼの圧倒的な力を目の当たりにしたかららしい。


「あ、あのー。掲示板をみなたのですが―――」


 リアはルイーゼが丁度パーティー募集をしていたのでここに入ることに決めた。


「リアといったな。私はルイーゼだ。よろしく、簡単に面接を行うがいいか?」


「は、はいっ!」


 面接にはルイーゼだけでなく、アレンやルーターも同席していた。


「まず、名前を教えてくれるかな?」


 リアは片側目隠れしている紺色の髪の毛をかきあげて両目がぱっちり見えるようにピンを留めた。


「わ、私はっ!!リア・ゲルナートですっ!リアって呼んでくださいっ!!」


 自己紹介で変な所で区切ったり無駄に声を大きくしたり、人と会話することに慣れていないように感じる。

 しかし、リアの両目はしっかりルイーゼに合わせている。


「リア。次にどんな攻撃ができるんだ?」


「はいっ!私はっ!―――」


「り、リア。ちょっと言おうと思ったけど普通でいいよ」


「は、はぁ」


 リアはピンを外す。


「私は、闇魔法が使えます」


 ボソボソと喋る。


「あ?聞こえねぇよっ!」


 アレンが怒鳴った。

 が、ルイーゼは「なんでもない、続け給え」とアレンを軽くしばく。


「はい、私の闇魔法は最上級魔法まで使えます」


「さ、最上級っ。ほう」


 ルイーゼは上級魔法までしか使えないのである。


「はい。いつか仲間と一緒に冒険がしたいと思ってました、けれど、私みたいな雑魚相手に構ってる暇はないじゃないですか。だから、私、レベル上げだけは自力で頑張っていたんです。その結果ここまで―――」


 すると、ルイーゼは、

「はいっ!採用っ!即採用っ!」

 と、リアを歓迎した。


「おいっ!隊長っ!いいのかよこの根暗女っ!」


「おいっ!アレン、口が悪いぞっ!!ごめんな、こういうやつなんだ。でも、そのうち慣れるから―――」


「はいっ!よろしくお願いしますっ!」


「ほら、初対面の時のアレンよりいいぞ。この子」


 これが、ルイーゼ達、ネクサスセカンドの軌跡、そして、魔王という大きな目標への第一歩である。



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