第55話 瞬殺
そして、第2試合の戦いは見事シャイナー達の勝利で終わった。
まもなくして、次の対戦に移行する。
第3試合はネーベルvsシックザール。
ネーベルとはルーナと同じ騎士団の同期で同年代だ。
ルーナの親友のような存在だ。
「あ!次、ネーベルだ!」
モニターの前、部屋の真ん中で一人嬉しそうに言った。
「ネーベル?」
「はい、私の同期です。親友です」
銃夜に簡単な説明を終えた後、一人事を言うように、
「うわーネーベルも出てるんだ!」
そして、第3試合が幕を開ける。
銃夜達は部屋のモニターで観戦をする。
ルーナの同期ということでネーベルを応援することにした。
モニターのAIのような機械的な音声が銃夜の耳を冷たくする。
『さぁ、第3試合です。第3試合は、リーダーのネーベル率いる水天一碧対シックザール率いるゴールドイクリプスです』
ネーベルのパーティー名水天一碧は海から空を自在にかけるという意味だ。
地球上どこにいても助けに行くそんな勇者の鏡のようなパーティー。
メンバーは、ルーナと同期のネーベル。
ネーベルは紫色のポニーテールの少女。主に剣と魔法を使って戦う。
そんな、ネーベルの右腕を担うのはクラフト。クラフトは同じく魂の守護者の一員。赤髪の長髪の少年でネーベルの後輩に当たる。長身の彼がネーベルより年下というのは少々奇妙だが、彼と彼女の間にははっきりとした上下関係が生まれている。
ネーベルが出した問題に100%答える程の実力が彼にはあるのだ。
召喚魔術を得意とする。
召喚魔術とは、術者本人が契約した魔物や人間を召喚するというものだ。
さらに、双子の冒険者スイとルイだ。
この2人は短剣を使って戦う少女だ。青髪の長髪で、水魔法を得意とする。そして、この2人のコンビ技はかなり強力だ。
『両チームスタート地点に着いてください』
またしても機械的音声が耳を突き抜ける。
『0』
そうカウントされ、第3試合は始まった。
「指揮は私が取るっ!」
ネーベルは紫色のポニーテールを揺らしながら言った。
「ああ」
赤髪のクラフトは頷く。
スイとルイは表情を変えずに、
「わかった」とだけ。
ネーベルは目の前のシックザール達をどうにかしようと模索する。
シックザールは真っ白な頭に黒のロングコートといったかなりの中2センスだ。
いつも両手をそのコートのポケットに突っ込んでいる。
今も、まるで、標的にしていいと言わんばかりに戦場のど真ん中に突っ立っている。
シックザール以外のメンバーは全員物陰に身を潜めているのでよく見えない。
「作戦は決まった。クラフトは―――」
ネーベルがクラフトに指示をしようとした時、既にシックザールは動いていた。
シックザールのパーティーメンバー達はおそらく誰も声を発していない。
ただ、シックザールに抗う者を消すだけの作業だ。
突如として、プチ作戦会議をしているネーベル達の頭上に黒い雲が出現した。
その雲はビリビリと何かを生産している。
「ライトニングストライク」
シックザールではない他のメンバーの誰かがそう発する。
刹那、目を瞑るほどの光がダンジョン内を照らした。
それは、やがて自分達の体中をビリビリと駆け巡る。
痛いと思う暇もなく気づくと水天一碧は全員黒焦げとなり、試合は終了した。
それをモニターで見ていた観客はみな瞬間的すぎて何が起こったかと理解が追いついていない。
それは、銃夜率いるユキヒメと愉快な仲間たちとて例外ではない。
しかし、この中で唯一その理解ができた人が一人いた。
それは、魂の守護者の騎士団長、そして、ヘリルス長年の歴史にして最強で最恐の剣聖と謳われた男。
フリューゲルただ、一人だった。
(今のは落雷。あれは、光魔法。それも最上級魔法のようだ)
フリューゲルはいかにも待遇が良さそうな部屋で一人、玉座に腰掛け、仲間達とはその事を共有せず納得していた。
「さて、次は我々か」
フリューゲルはゆっくり玉座を立った。




