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第49話 新たな策略

 モルゲンレーテが提示した5桁12口1.5秒という設定は明らかに異常である。

 もう、勝負を決めようとしている。


「で、やるのか?」


 その設定が異常なことはシャイナーは十分理解していた。

 だから、初めにあの設定で挑んだのだ。


 が、シャイナーにも、負けられないプライドがあったのだ。


「……よ」


 シャイナーの声は小声で震えていた。


「え?よく聞こえなかったな」


 モルゲンレーテはここぞとばかりに煽る。


「やるよっていったんだよ!!準備だ。審判っ!」


 再び、黒板上で数字が猛スピードで駆け抜けていく。


 73542 45775 72542 84267 41542 75468 75875 23698 42475 12547 35685 97512


 この間実に18秒、そして、一つの数字が出てくるスピードは1.5秒。

 この速度で計算なんてできるはずもない。


 しかし、モルゲンレーテは笑みを浮かべている。

 それは、とても不気味な笑顔。

 そして、モルゲンレーテはペンを走らせた。


「書き終えたぞ」


 そう言ってシャイナーの方に視線を向ける。


「どうした、シャイナー。早く書きなよ。まぁ、いいや。審判」


 モルゲンレーテが書いた答えをシャイナーに見えないように審判に見せる。


 その紙には、680928と書いてあった。


 そして、シャイナーも、紙を審判に見せた。


 同じく、そこには680928と書かれていた。


「両者正解です」


 瞬間、モルゲンレーテはバンッと机を叩き、席から立ち上がる。


「嘘だっ!!イカサマだぞっ!貴様!」


「イカサマ?はてなんのことだ?」


「今私が提示した答えを書き写しただろっ!!」


 発狂した。

 が、意外にもシャイナーは冷静だ。


「おいおい。何言ってるんだよ?俺がイカサマをしているだって?それに、お前は俺に見えないようにしていたじゃないか」


「くっそっ!!方法はわからないが確かに貴様はイカサマをしているっ!!」


「そうか?だったらもう一戦、次で確実に殺してやるよ」


 シャイナーの金髪の髪がヒラヒラと風になびく。


「ああ、次で最後だ」


 モルゲンレーテは叫びながら、

「審判、5桁10口0.5秒だっ!!」


 しかし、シャイナーは冷静に、

「5桁10口0.5秒か。確かにいい考えだと思うぜ。だがな、さっきも言った通り、次で確実にお前を殺す。比喩だがな」


「どういう意味だ?」


「7桁5口0.000000000000000000000000001秒だっ!!!」


 シャイナーの設定は明らかに極端すぎている。

 これには、モルゲンレーテだって呆れてしまう。


「はぁ~バカか?現実的ではない」


(ああ、そんなことは重々承知だ。しかし、ここで、引くわけにはいかない。確実に勝つ。そして、勝つ方法は正攻法では不可能だ。もう既にあるトリックを施している。

 そして、今までの僕の予想が正しければモルゲンレーテは煽られれば必ずこのイカれた勝負に乗ってくる)


「だが、僕はこの設定を推すぜ。何だ?無理か?そのスキルを持ってしても無理なのか?おい。はぁ~じゃあ勝負を降りるということでいいか?」


「いいだろうやってやるよっ。なぜなら、人間には認識できない速度だからな。シャイナー、私と君もだ。両者不正解でも引き分けは引き分け、次の勝負に移行するだけだ」


(シャイナー、こいつ一体何を考えていやがる?イカサマか?いや、それは考えづらい。なぜなら、しようがないからな。それに、私のスキルは目視できれば自動計算できる。私の方が勝率がある)


「で、では7桁5口0.000000000000000000000000001秒で問題を始めさせていただきます」


 審判がそう宣言した。


 審判は魔法で黒板に問題を出す。


 9131572 4128753 6417802 1479583 5748236


 シャイナーは俯いて解答を書いていく。


 しかし、モルゲンレーテの手は止まっていた。


(やばいぃやばいぞぉ!!速すぎて問題が読めなかった。

 なのに、あいつは―――いや、考えろ見えなかっただけで、脳はしっかり認識しているはずだっ!!

 スキル錬合れんあいカリキュレーションっ!!!)


 モルゲンレーテはニヤッとした。


(やったっ!やったぞっ!答えが見える。やはり、脳はしっかり記憶していたっ!!)


「なぁ、シャイナー。どうやら、私の勝ちのようだ」


 モルゲンレーテはそう言って自分が書いた紙を審判に見せる。


「34473964だっ!!!!死ねぇ!!シャイナーぁぁぁぁ!!!!」


 モルゲンレーテはシャイナーに自身の解答を突きつけた。


 が、シャイナーが出した答えに困惑する。


「えっ!?」


 シャイナーは、「40222200」と書いた紙を提示した。


「どうした?モルゲンレーテ。顔が青いぜ」


 シャイナーの目は集中していた。


「どうした?審判。早く答えを言え」


「は、はい。答えは40222200。なので、シャイナー様の勝利となります」


 再び、モルゲンレーテは机をバンッと叩きつけ、席を立つ。


「ば、ばかなっ!?あり得ない、なぜだ!?問題すら認識できないはずだぞっ!!」


「そうだな。モルゲンレーテ、一つ教えてやるよ。僕のスキルは幸運だ」


 モルゲンレーテは冷や汗を垂らしながら、

「だから、何だと言うんだっ!!」


「だから、幸運なのだ。僕は。勝ちは勝ち負けは負けはい、お前、僕の下につけ。いい指揮官になるだろうぜ」


 モルゲンレーテは持ち前の冷静さをなくしており、あり得ないほど取り乱す。


「イカサマだ!!こんなの、だってあり得ないだろっ!!」


「うるせぇ!!」

 シャイナーは怒鳴る。


「それで、審判。俺の勝ちというわけだが、しっかりルールは守ってもらう。ラーシェもモルゲンレーテを俺のパーティーに加える」


「は、はい。おっしゃる通りでございます」


「だとよ。モルゲンレーテ」


「くっそっ!!まぁ、いい。そういうルールだったからな。だが、私は再び、お前に勝つ。お前のパーティーに加わるとはその準備期間というわけだ」


「なんでもいいが、勝つのはまた僕だ。だって強運なのだから。はっはっはっ」


「うるせぇ!!次は絶対殺してやる」


「はいはい、まずは、勇者選抜のためにぞんぶんに働いてもらうよ。はっはっはっ」


 だが、シャイナーの作戦は実際そんなものではなかった。

 幸運なんてスキルではあるが不確かな物で賭けるほどシャイナーは甘くはなかった。

 時はラーシェ対モルゲンレーテに遡る。

 ラーシェがカードを集めている時。


「ラーシェさん。僕のスキルは未来予知です。そこで、あなたはモルゲンレーテさんに敗北します」


 シエルはラーシェにそう告げた。


「そこで、僕から提案です。次の勝負はシャイナーさんにフラッシュ暗算を仕掛けます。なので、ラーシェさんはシャイナーさんにある術式を施してほしいんです」


「ある術式?」


「はい、物がゆっくり見える術式です。構築は可能ですか?」


「ああ、可能だね」


「では、今のうちにお願いします」


 そう、シャイナーにはあらかじめ、ラーシェの術式を施していたのだ。

 しかし、この作戦はイカサマ判定に当たるのと同時に、プライドの高いモルゲンレーテの神経を逆なでしてしまうリスクがあるのでこのことをシャイナーは説明することはなかった。


 そして、シャイナーはこのパーティーメンバーで勇者選抜に挑むことにした。


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