第43話 フリューゲルの人選
「フリューゲル様っ!デュラハンが討伐されたという報告が参りましたっ!」
そう、声を上げたのはゲミュートだった。
ゲミュートは魂の守護者の団長室でフリューゲルにさらに報告を続ける。
「そうか。敵の軍勢は?」
フリューゲルは机に肘をつき、手を組みながら言った。
ゲミュートはかなり怒っているように感じた。
そして、フリューゲルのそのプレッシャーに圧倒される。
「ひ、100体以上という報告ですっ!」
「100体か」
「はっ!」
ゲミュートの額から汗が一滴こぼれ落ちた。
「ふっ面白い」と、フリューゲルは笑みを浮かべた。
戦闘狂のそれだった。
ゲミュートはフリューゲルの意外な反応に安堵し、いつも通りに振る舞うことにした。
「それと、もう一つご報告がございます」
「なんだ?」
「我々も、そろそろ勇者選抜に向けてパーティーを人選せねばはらないかと。規定によりますと3人だそうです。なので、3人選ばなければなりません。どうしますか?」
「3人?何をいっているんだ?一人は既に決めている。2人だ。ゲミュート」
「そうでしたかっ!そして、私の見積もりですと、勇者候補者は全員かなりの実力者かと人選は慎重に選ぶべきだと思います」
「そうか、わかったリストを見せろ」
「はっ!」
と、ゲミュートがいくつもの紙をフリューゲルに渡す。
その紙に記載されているのはヘリルスの国籍を持つ冒険者や兵士といった実力者の情報だ。
フリューゲルはこれらを見て、人選するつもりのようだ。
「なかなか良いのがいるな」
それらの紙をサーッと見つめて、
「決めたぞ」
と、ゲミュートに言う。
「はっ!」
数時間が経ってフリューゲルが選んだ2人が集結した。
「では」と言ってフリューゲルが話しだす。
「ここに連れてこられた理由は知っているな」
「もちろんでございますっ!フリューゲル様っ!」
そう言ったのは漆黒の防具に身を包む手慣れた様子の冒険者だ。
名前はリヒト。とても、大柄な男で、背中には大剣を背負っている。
そして、もう一人は弓を背中に装備している冒険者だ。女性である。名前は、サハリン。彼女もまた、ヘリルス屈指の指折りの冒険者。ちまたでは有名な弓使いだ。
「それで、フリューゲル様。その勇者選抜の参加人数はきっかり4人と聞いていますが、私と、リヒト、そして、フリューゲル様。あと一人はどうするおつもりですか?」
「そうだな。あと一人既に決まっている。この団長室の外にちょうどいるはずだ。入れっ」
フリューゲルがそう言うと、団長室のドアがゆっくりと開かれる。
そこには、ゲミュートの姿があった。
「あと一人はゲミュートだ。異論はあるか?いや、ないよな?私が選んだのだから」
「はっ!」
サハリンはひざまずいた。
「し、しかし、フリューゲル様。こう言っちゃあなんですが、我々の実力を測らなくてよろしいのですか?」
と、リヒトが若干前のめりになりながら言った。
「私の目に狂いがあると言いたいのか?」
「いえ、フリューゲル様がいいのであれば……」
「お前らの実力は既にこちらで調査済みだ」
「そ、そうだったんですか」
「ああ」
フリューゲルは改まって、
「これからお前らにこちらで用意した作戦を伝える。我が野望のためにその力を存分に発揮してくれ給え」
「「「はっ!!」」」




