第33話 魔王軍
これまでの銃夜達の一連の会話や行動はしっかりと魔王は聞いていた。
デュラハンが絶命する直前に通信魔法を発動したためである。
それは、ネルキア大帝国に繋がっていた。
ネルキア大帝国は魔王軍の城である。
「ヴォルガロス様」
そう言ったのはダークエルフであるカーナだった。
カーナは褐色肌に真っ黒な長髪の女だ。
もちろんエルフなので、耳が尖っている。
「リトヴァルキリーがやられました」
「ああ、そうだな……」
魔王ヴォルガロスは意外と小さい。
高校生男子のような背丈で、瞳が紅く輝いている。
真っ黒なローブに身を包み、頭には大きな角を二本生やしている。
ヴォルガロスは一面真っ黒な王室で、大きなそれこそ帝王が座るような玉座で肘をついて足を組み、カーナの報告を聞いている。
王室はかなり広そうだ。
カーナはひざまずきながら、報告を続ける。
「ヴォルガロス様どうして、リトヴァルキリーをアインハイトへ行かせたのですか?」
リトヴァルキリーとは銃夜がぶっ飛ばしたデュラハンのことである。
「どうしてか、ということだが、アインハイトへの侵略を試みたかったからである。我々の目的は世界征服っ!!!そのために第六感を有する猫人族を滅ぼし、従わせたかったということだが……」
ヴォルガロスは通信魔法で映された水晶を覗く。
「それなのに、なんなんだ、この人間はっ!くそっ!!くそ!!!くっそ!!!くそっ!!!!!くっそっ!!!!」
ヴォルガロスはその辺の置物を蹴りつける。
かなり、語彙力が欠けているようだ。
「ヴォルガロス様っ!」
カーナがその様子をなだめる。
少し落ち着いたヴォルガロスは静かに、座っていた玉座に座る。
「作るんだ……」
カーナは一瞬、「え?」という表情をした。
「リトヴァルキリーの墓を今すぐ作れっ!!」
カーナは意味を理解し、ヴォルガロスの方に熱い視線を送り、
「あ〜なんと慈悲深きお方。はっ!今直ぐ作らせますっ!」
そう言ってカーナはその場を去る。
「………」
ヴォルガロスは次に自身の執事であるアルフレッドを呼び出した。
「どうなさいました?ヴォルガロス様」
アルフレッドは背中にコウモリのような黒い大きな翼を生やしている。(今はその翼は畳んでいる)さらに、鋭い爪、尖った耳、喋る度ににゅっと現れる輝く牙。異形だが、かなり人型に近い。
「アルフレッド、ここに幹部を集めよ」
「はっ!」
アルフレッドは命じられた通り、ヴォルガロスの前に幹部を集めた。
魔王ヴォルガロスの前にし、幹部全員はひざまずく。
右から順に、ダークエルフのカーナ、デーモンで執事のアルフレッド、サキュバス、ヴァンパイア、ミノタウロス、ノーライフキング、ゴーレム、ガーゴイル、メデューサがズラリと勢揃いしていた。
こいつらは、ネルキア大帝国のそれぞれの階層のボスでいわゆる守護者達である。
「みな、よく集まってくれた。リトヴァルキリーがやられたことは知っているな?」
「「「はっ!!」」」
幹部全員が頭を深く下げる。
「リトヴァルキリーはある人間にやられた」
そういうと、
「なっ!人間にですかっ!?あの、リトヴァルキリー様がっ!?」
そう言ったのはノーライフキングのダース。
ダースは全身がスケルトンのような骨で完結しており、黒いマントを羽織っている。
さらに、魔導書のようは本をそのマントの内側に隠している。
主に魔法を駆使して戦闘する。
「そうだ。ダース。リトヴァルキリーは強い。が、一撃だ。私が連中の力を見誤ったばかりに」
「とんでもございません。単なるリトヴァルキリーのミスです。ヴォルガロス様の責任では―――」
「私の責任だと言っているだろっ!!!!カーナっ!!!!」
カーナを怒鳴りつける。
「はっ!出過ぎたマネを、お許しくださいっ!」
「はぁ~すまない。リトヴァルキリーをやったやつはヘリルスにいる」
「あのヘリルスですか?ヘリルスといえば人間の中ではかなりの巨大都市ですよね?」
メデューサのアッシュが言った。性別は女だ。
アッシュの下半身は蛇でできていて、赤く鋭い目は全てを石にする力がある。
「そうだ。次にヘリルスに侵略をしかける。リトヴァルキリーの無念を晴らすために。しかし、ヘリルスを攻めるにはしっかり戦略を立てなければいけない。今回の事で人間の脅威を改めて知った。そこで、次はヘリルスの近くにあったシーラという国を侵略することにした。確か、ヘリルスとシーラは敵対していたはず、うまく、シーラ領地を占拠し、シーラの人間共を我に従わせるのだっ!!!」
「「「はっ!」」」
「シーラには暗黒の使徒を送り込む」
暗黒の使徒とは魔王軍幹部の中の精鋭によって構成されている魔王軍最強部隊だ。
メンバーはカーナ、ダース、そして、ヴァンパイアのパンドラだ。
「「「了解致しました!!」」」
「お前ら、心してかかれっ!!」
「「「はっ!」」」




