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第31話 動き出す罠

 アインハイトの門の前に着くと、ゲミュートから貰った代行証を見せてすぐに王宮へと案内された。


 案内してくれたのはトーマスというアインハイト国の王様の執事だ。

 当然、トーマスは猫耳はしてるし、尻尾も生えている。

 耳の色や尻尾の色はコーヒー牛乳のような茶色だった。


 聞いていた通り、どこもかしこも猫耳だらけ。


「はっはははははすばらしい!私が望んだ世界が今まさに目の前で行われているっ!!」


 銃夜からはこれまで発せられたことのない不気味な笑い声がこみ上げてきた。


「もージューヤさん!キモいですよ!」


「ふっふっふ、キモくてけっこうだな!フリーデン、猫人族は文字通り『神』だな」


「おい、ジューヤ語彙力が小学生になっているでありんす」


 横からユキヒメがツッコミを入れる。


「こちらですニャン」


 そう、トーマスに言われ、アインハイト王国の王様の部屋へと案内された。


「こいつら語尾に『ニャン』ってつくぞ。やべぇな」


「別に猫人族なら普通です。やばいのはジューヤさんの方ですよ」


 フリーデンが銃夜に耳打ちをする。


「よくぞおいでくださいましたニャン」


 と、なかなか渋い声で王様が歓迎してくれた。


「ちっ、ジジィも『ニャン』いうんかい」


 そう言葉を漏らすと、フリーデンがひじで銃夜の脇腹をつついた。


「うごっ……」


 そして、小声で、


「おい、ジューヤさん。そろそろ黙りあがれですよ」


 フリーデンはかなりご立腹なご様子。


 王様は白い猫耳に、丸メガネをしている。

 さらに、白い髭はもう既に伸び切っていて、王様の顔を隠すほどだった。


「ささ、こちらへどうぞですぞニャン」


 王様に案内されるがまま、応接室にて話は行われた。


「えーではまず、私の名前はランバート・アンベールでございますニャン。今日はおいでくださりどうもありがとうございますニャン」


「いえいえ、俺の名前は皇銃夜。こっちの魔法使いはフリーデンで、こっちの小さいのはユキヒメ」


「ええ、存じ上げていますニャン。そこで、改めて貴方がたに頼み事がありますニャン」


「ああ、詳細な説明を頼むぜ」


「まず、我々の第六感アナザーアビリティについては―――」


「確認済みだ」


「よもやよもや、そうでしたか。それでは話が早いですニャン。我々のその第六感アナザーアビリティが感じ取ったのですニャン。今から数時間と経たないうちに魔族がこのアインハイトに攻め込んでくるということを」


「その第六感アナザーアビリティとやらで、敵の詳細はわからないのか?」


「敵はデュラハン。魔王軍の幹部に当たる者ですニャン」


「デュラハン……」


「そのデュラハンはおよそ、100体のスケルトンという部下を従えて侵攻してきますニャン」


 100体という数字を聞いて、銃夜は違和感を感じた。


「100体だと……?それは、おかしい。だって、それなら、なぜゲミュートは俺達にだけクエスト任務に行かせた?」


「確かにー!!」と、フリーデンも共感する。

「だって、先のゾンビでの戦いではヘリルスの冒険者全員で戦ったのにどうして今回は私達3人だけなのでしょう?」


「それに、ゲミュートはこうも言っていた。ヘリルスとアインハイトは協力同盟で対等に結ばれていると。これでは、対等ではなくアインハイトを破滅に追い込んでいるとしか思えない、しかも、俺達を巻き添えにして」


「なんですとニャン!!」


 非常時でも、『ニャン』は忘れなかった。


「おい、ランバート!ヘリルスとアインハイトの同盟は対等ではないのか?」


「あ、ジューヤさん!様をつけてください!王様なんですよ!」


「ああ、悪い。それで、ランバート様、ヘリルスとアインハイトの関係は対等ではないのですか?」


「いえいえ、確かに対等でございますニャン。私はゲミュート様からは『ヘリルス最強の3人』と言われていましたニャン。私も、3人だけで来たことにはとても驚いていましたニャン。しかし、ここは、信用するべきかと」


「な、なるほどな。つまり、破滅に追い込まれたのはアインハイトではなく俺達だというわけか。いよいよまずい展開になってきた」



 ◇



 一方、ゲミュートはというと。

 騎士団長室にて。


「やりましたね。フリューゲル様」


「ああ、このヘリルスを統べる者は私だけで十分だ」


「ですが、少々やりすぎかと、このままジューヤらがやられてしまえば、ヘリルスとアインハイトの関係に傷がつくのでは?」


「大丈夫だ。アインハイトとて、関係を自ら切りたいとは思っていないだろう。私の目的はそのジューヤとかいうやつを排除すること。その目的が達せられればアインハイトには私が直接魔族らを滅ぼしに行く」


「し、しかし―――」


 ゲミュートはフリューゲルに何かを言いかけた。が、今のフリューゲルは聞き耳を持たない。


「黙れっ、お前は誰のなんだ?」


「私はフリューゲル様に従える者でございます」


「そうだ。あの恩を忘れるでないぞ」


 ゲミュートは敬礼する。


「はっ!!」



 ◇


 銃夜はこの緊急時にあまり焦っている様子はない。


「というか、ジューヤ、案外冷静でありんすな」


「そうか?考えても仕方ないからな。俺は意外とリアリストだったりする。とはいうものの何か手を打たないと」


 フリーデンが「うーん」と考え込む。

「確かに後数時間も経たずにデュラハンが来てしまうんですからね」


 銃夜の表情が緩んだ。


「いやいや、違う違う。考えるべき点はそこではない」


「え、そこではないって……」


「今俺達が考えるべきはただ一つ。ゲミュート、いや下衆げすートをぶっ飛ばすことだけだ。くっくっく、やってくれたな下衆げすートの野郎こんなにワクワクするのは不良を一網打尽にした時以来だぜ」


 銃夜は「くっくっく」と、不敵な笑みを浮かべていた。




裏切りです。

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