第29話 過去その➁
皇銃夜と五六大地は走りに走った。
気づいたら既に日が沈みかけていた。
とても綺麗な夕日だった。
銃夜と大地はその沈みかけている夕日を眺めながら河川敷で休憩することにした。
「なぁ、銃夜。あの夕日まるで俺達みたいだなぁ」
「どうゆう意味だ?」
「あの沈みかけている夕日はいずれ見えなくなる。俺は夕日がまるで、何かから逃げているように思えるんだ。
俺達だってあの夕日のように逃げてきた。な?似てるだろ?」
「似てねぇえよ。キメェ」
「ガハハハ!!」
大地は急に立ち上がる。
「銃夜は何か好きなものとかあるのか?」
「なんだよ?急に」
「何って?俺達友達だろ?それぐらい教えてもらってもいいじゃねぇか」
「いつから俺達は友達になったんだ?」
「一緒に不良を倒しておいて逆に友達じゃないのか?何?親友?俺はそれでもいいけどな」
銃夜は一呼吸入れ、
「銃」
と、答える。
銃夜が「銃」と答えるまで、少しの間があった。
この間の意味を銃夜は知らない。
「え?」
「銃」
再び同じ回答を繰り返す。
「そうか、銃かー!使ってたもんなっ!」
「これか」と、銃夜はポケットからデザートイーグルを取り出す。
「おお!!かっこいいじゃないか!!」
「………」
「あ、そういえば聞いたことがあるぞ!サバゲーというところに行くんだろ?」
「サバゲーか。いったことないな」
「むむ!?そうなのか?」
「まぁ、な」
(人見知りなんでなこっちは)
「そうか!!じゃあ、行ってみよう!!」
「は?なんで、そうなるんだよ!!」
「俺も興味が湧いたぞ!だから、銃に詳しいお前と、行くことにした!」
「行くことにしたって……俺はまだYESといってないぞ!」
「いや、行こう。さぁ、行こう!」
銃夜は大地に連れられるまま、サバゲーへと足を運んだ。
「ここか」
着いたのは室内フィールドがあるサバゲー。
木の板や、箱などといった障害物がいくつも設置されている。
さらに、二階に続くような階段も設置されている。
フィールドは思ったより広そうだ。
「さぁ、やろう!」
「でも、お前、武器もってねぇだろ?」
「あ」
すると、銃夜は学校のカバンから一丁のスナイパーライフルを取り出す。
「お、お前!学校のカバンにこんなの入れてきたのかよ!」
「うるせーな、自己防衛だよ。これめっちゃ重くて不良を殴ろうとしてた」
スナイパーの名前はM40A5。
アメリカ海兵隊が使用していたM40ライフルの亜種で、ボルトアクション式のスナイパーライフル。そして、有効射程範囲は800mだ。
「にしても、かっこいいな。M40A5だっけか?」
「ああ、貸してやるよ」
「ええ!いいのか!?」
「いいよ、俺これあるし」
銃夜は再び、制服のポケットからデザートイーグルを出す。
「うん!」
その後、店員さんからルール説明を聞いた。
ルールはこうだ。
それぞれ、スタート位置についたら、ゲームのスタートコールがあるまで、発砲してはいけない。
自身に、BB弾があたったら「ヒットです!」と宣言すること。
そして、被弾してもヒットコールをせずゲームを続行することいわゆる、ゾンビ行為は禁止行為にあたる。
ざっとこんなところだ。
そうして、一式の装備を整えた銃夜達はさぁ行くぞという時に声をかけられた。
「ちょっとーそこの君達ー!」
声の方を振り向くとそこには、二人の優しそうなサラリーマンがいた。
一人は声をかけてくれた仏のような顔をしたおじさんで、もう一人は、賢そうなけれど、無口なおじさんだった。
「なんだよ?おじさん達?」
「君達初心者だろ?僕たち二人と一緒にやらないかい?」
「どうする?銃夜?」
大地が銃夜に聞いてみる。
「いいよ」
と、銃夜が回答すると、すぐに大地はおじさん二人に向かってYESと言う。
「オーケーだー!」
「よかったー!じゃあ、ゲームは殲滅戦で、2対2でやろう!」
チーム分けは次の通りだ。
銃夜と無口なおじさんペア。
大地と仏なおじさんペア。
これが、じゃんけんのグーパーで分かれた結果だった。
そして、先程仏なおじさんが言っていた殲滅戦は基本的でシンプルなルールとなっている。
制限時間内に相手チームを殲滅させた方のチームの勝利ということだ。
お互い、それぞれの場所に着いた。
銃夜達は一階フロア、大地達は二階フロアのスタートだ。
お互いはお互いのスタート地点を知らない。
「ゲーム開始っ!!」
そう、アナウンスされた。
そして、何も言わず、無口なおじさんは歩いて行く。
銃夜もそれに、ついて行く。
銃夜の装備はデザートイーグルと、サブウェポンでグレネードを一つ持っている。
無口なおじさんはというと、AK47。アサルトライフルだ。サブウェポンは銃夜と同じくグレネード。
無口なおじさんは姿勢を低くしながらゆっくりと敵を探るように動いている。
そんな、無口なおじさんにたいし、銃夜はイライラしたのか、
「おい!作戦とかないのか?」
と、少し強めに言ってしまった。
しかし、無口なおじさんはただ、
「しっ」
と、冷静に人差し指を口に当てるだけだった。
なので、銃夜はこのまま、無口なおじさんの後を追っていった。
すると、パスンッとスナイパーライフルが銃夜に向かって撃たれた。
銃夜はそのBB弾が真横を通っていくのを感じた。
無口なおじさんはすぐに、銃夜を木の板の裏に隠す。
(やばい…すぐに対応できない……)
そう思った矢先、木の板の真横にグレネードが飛んできた。
(まずい…)と思い、すぐに木の板から脱出しようと走り抜ける。
しかし、待っていたのは大地のスナイパーライフルだった。
だが、これも、銃夜はギリギリでかわす。
銃夜がかわしたのか単に大地が下手なだけなのかは分からないがとにかく無事に次の障害物に隠れることができた。
無口なおじさんはというと、銃夜とは逆の方向にあった障害物に隠れている。
BB弾が飛んできた方向から「くっそー!」という大地の声が聞こえた。
その声を無口なおじさんは見逃さない。
グレネードをその声がする方向に投げる。
BB弾が弾ける音がした。
「ヒットー!」と、大地の声が聞こえてきた。
無口なおじさんは大地をやったんだ。と銃夜は思い、次に仏なおじさんを狙いに行く。
どうやら、仏なおじさんは案外近くにいたらしく、無口なおじさんの「ヒット」という声が聞こえてきた。
(まずい…な…俺はあの仏なおじさんが何の武器を持っているか把握していない……)
ここは慎重にさっき無口なおじさんがやったような方法を取ろうと思い、無口なおじさんの「ヒット」という声が聞こえてきた辺りの方にグレネードを投げる。
しかし、「ヒット」という声がないので、外れてしまった。
銃夜は障害物を盾にして、その方向に進んでいく。
一瞬、銃夜は動いた影を見逃さなかった。
その方向にデザートイーグルを発砲する。
しかし、その方向には仏なおじさんはいなくて、気づくと銃夜の真後ろにいた。
刹那、仏なおじさんはサブウェポンである小さなナイフを銃夜に向けて斬りつける。
が、銃夜はこれもかわす。
「お、まじか…少年……」
そんなような声が聞こえてきた時には既に、銃夜はトリガーを引いていた。
結果として、銃夜は勝った訳だが、後でおじさん達に話を聞くと手加減はしてくれていたらしい。
まぁ、当然だろ。銃相手にナイフ縛りをしていたのだから。
その後、銃夜と大地はしっかり「ありがとうございました!」とお礼を言って、家路を辿るのだった。
二人の帰る姿を見て例のおじさん達が何か会話をしている。
「あの二人凄いね…とくに目つきが悪い子。俺のナイフ、絶対当たったと思ったのに…あれはまさしく『透明人間』だね!」
「うん」




