第28話 過去その①
高校一年生の春。
その日は烈阿久高校の入学式だった。
「おらっ!一年、歯ぁ食いしばれっ!!」
名前の通りそこは決して良い学校ではなくいわゆる不良学校だった。
皇銃夜は高校受験に失敗してしまい結局こんな学校に入学する羽目に。
しかも、運悪く入学式初日だというのにその鋭い目つきのおかげで上級生に絡まれてしまった。
「うぐっ……」
「初日だしなぁ。今日はこれくらいにしといてやるよぉ。また、遊ぼうぜ」
(くっそ…あいつら散々俺を殴りやがって)
初日からどん底。これから先が思いやられる。
皇銃夜の青春はここで途絶えた。そう思った。
しかし、
「やぁー!少年っ!初日からボロボロじゃないかっー!ガハハハ!」
そこに一人の男子生徒が仁王立ちで立っていた。
「少年って……あんた、多分だけど、同級生だよな?胸に『入学おめでとう』って書いてあるバッチつけてるし」
「ガハハハ!バレたか!」
「俺は皇銃夜。あんたの名前は?」
「俺か?俺は五六 大地だっ!ガハハハ!!」
(こいつ終始笑ってるけど大丈夫か?)
「ところで、お前のその傷、保健室に行ったほうがいいと思うぞ!」
「ほっとけ」
そう言って銃夜は立ち上がり、その場を去ろうとする。
「明日、あの先輩達に仕返しをしてやらないか?」
熱血野郎から思ってもない言葉が飛んできたので一瞬帰ろうとしていた足が止まった。
「悔しいだろ!やられっぱなしじゃ?」
「ああ、もちろんだ」
銃夜はけっして振り返らずそう言い残して、校門へと足を運んだ。
これが、銃夜の光となる五六大地との出会いだった。
◇
翌日。
案の定、上級生の不良達は銃夜に絡んできた。
「おいっ!一年、ちょっと来いよっ!!」
かなりイラついている様子だった。
その不良に連れられ校舎裏まで連行された。
バッと不良は銃夜を壁に叩きつける。
不良は指をバキバキ鳴らして、
「おい、金」
「は?」
と、答えた瞬間まるで大砲のような重たいパンチが銃夜の顔面に直撃した。
「ふぐっ!!」
次に、不良は銃夜の髪の毛を掴んで左右に揺らす。
「おい、わかんだろ?金くれって言ってんだよ。早くしろ」
「………」
「ああ?、何睨んでんだぶち殺すぞ」
「悪いな。この目はデフォルトなんだよ」
「チッ…殺すっ!!!」
不良は銃夜に向かって手を挙げる。
しかし、
銃夜の表情は緩んでいた。
銃夜はポケットからデザートイーグルのエアガンを出し、不良の腹に突きつける。
「これ、本物なんだけどどうする?」
その台詞を聞いたとたん不良は銃夜に向かっていた手を止め、腹を抱えて笑いだす。
「ぷっ…ふははははははははははは。何言ってんのお前、バカだろ?あーだからこの学校来たのか」
「ふははははははははマジかお前」
「あーそうだなー撃って見ればいいじゃん。ふふふふふ」
ここで一人の不良が銃夜達に近づいてきた。
「おいおいおいおい、なーにやってんのよー」
見ればわかる。こいつが不良グループのボスだということが。
ヘビずらのそいつは小型ナイフをシャッと取り出しゆっくり歩いてきた。
(こいつ…完全に目がイッてやがる)
「お、なになに一年生?」
急に元々いた不良達が腕を後ろに組み、バッと頭を下げた。
「お疲れ様ですっ!!百鬼丸先輩っ!!!」
すると、その百鬼丸という男は銃夜がデザートイーグルを突きつけていた不良の前にやってきて、軽く肩を組んだ。
「おーお前さーさっさと金もってこいよって言ったよなぁ?」
「ええ、ですから、こいつから金を巻き上げようかと……」
「あ、なるほんね!ていうことで一年、さっさと金渡してくれないかな?うーんそうだなー、四あ、いやー、五万くれないかなー?」
そう言って百鬼丸は組んでいた腕を外し、銃夜の方に顔を合わせる。
「るせーバーカ」
銃夜は手元にあったデザートイーグルを百鬼丸の顔面めがけて発射。
「う、うわーなんだ、これ?涙がと、とまんねー!!!くっそっ!!!」
「催涙弾だっ!ちっとばかし改造させてもらった」
「お、お前らぁこいつを殺せっ!!!!!」
百鬼丸がそう合図すると、取り囲んでいた不良達が一斉に銃夜めがけて殴りかかっていく。
「はっーはー!!ようやく俺の出番かっー!!」
五六大地がそう叫ぶと同時に不良達に向かって大きな丸太が飛んでいく。
飛んできた方向を見てみると五六大地が「ガハハハ」と笑いながら木の上に立っていた。
「トゥー」
と、大地は木の上から飛び、地面に着地。
銃夜の腕を掴んで、
「逃げるぞっ!!」
と、手を引いてくれた。
一方、不良達はというと、大地が放った丸太によって全員仲良くその場でのびていた。




